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短編

太陽さんと月くんがおさぼりしたひ

わたしたちのすむ世界(せかい)には太陽(たいよう)さんと(つき)くんがいます。

太陽さんと月くんはきょうだいで、太陽さんはやさしいおねえさん、月くんはげんきなおとうとです。


太陽さんと月くんは毎日、(あさ)(よる)におしごとをします。

どんなおしごとだかわかりますか? そう、太陽さんは朝にライトでまちをてらして「おはよう」をいい、月くんは夜にカーテンをしめてまちをくらくして、わたしたちに「おやすみ」をいいます。



あるひ、太陽さんは月くんにおねがいをしました。

「わたしね、さいきんおしごとばっかりで、とってもつかれちゃったの。だから、きょうはわたしのおしごともしてもらってもいい?」

月くんはビックリしましたが、いつも太陽さんにおせわになっているので、

「うん、いいよ」

そういって月くんは、きょうだけ朝もおしごとをすることになりました。




朝、月くんは太陽さんのおきにいりのライトをまちにむけます。そして、

「みんな、おはよう」

といいました。

ですがまちはてらされません。どうしたのでしょう?

月くんは太陽さんのライトのつかいかたをしらなかったのです。

どうしようとおもいましたが、きょうだけだからいいやとおもってそのままにしました。




太陽さんはまちにきました。

まちのなかはおみせでいっぱい。太陽さんはうれしくなって、ちゃんと朝になっていないのにもきづかないで、お洋服(ようふく)やさんにはいりました。

「うわぁ、かわいいお洋服がいっぱいある」

太陽さんはおおはしゃぎ。

「どのお洋服がいいですか?」

そう、おみせのおねえさんがききました。太陽さんは、

「このみどりのワンピース、もりみたいでかわいいから、これください」

そういって、太陽さんはみどりのワンピースをかってだいまんぞく。




太陽さんがおみせからでると、

「あれれ、まだ朝になってないや。まだねなきゃいけないのか、こまったなぁ」

そう、おとこのこのこえがきこえました。

「あらいけない、ちゃんとライトがついてないじゃない」

太陽さんは夜のままなのにきづき、あわてて月くんのところにかえります。

「だめじゃない、ちゃんとライトをつけてくれなくちゃ」

太陽さんは月くんをしかりました。

「ライトのつけかたがわからなかったんだ、ごめんなさい」

月くんはあやったので、太陽さんはゆるしてくれました。

「おねえちゃん、そのワンピースはどうしたの?」

月くんは太陽さんにたずねます。

「お洋服やさんでかったの、かわいいでしょ」

太陽さんはニコニコわらって月くんにじまんしました。




その夜、月くんはおきにいりのカーテンをしめ、まちを夜にして「おやすみ」をいいました。

そして、月くんはおもいました。


みんな夜になると、おうちにかえらなきゃいけない。ぼくが夜にするとみんなかなしいかおをする。

なのに、おねえちゃんが朝にすると、みんなよろこんであそびにいく。



ぼくは、じゃまなのかなぁ。と、月くんはかなしくなりました。




あるひ、月くんは太陽さんにおねがいをしました。

「ぼく、さいきんおしごとばっかりで、とってもつかれちゃった。だから、きょうはぼくのおしごともしてもらってもいい?」

太陽さんはビックリしましたが、このまえ月くんにおせわになったので、

「うん、いいよ」

そういって太陽さんは、きょうだけ夜もおしごとをすることになりました。




夜、太陽さんは月くんのおきにいりのカーテンをしめます。そして、

「みんな、おやすみ」

といいました。

ですがまちはくらくなりません。どうしたのでしょう?

太陽さんは月くんのカーテンがひっかかって、とちゅうまでしかしめられなかったのです。

どうしようとおもい、こまってしまいました。




月くんはまちにきました。

まちのなかはおみせでいっぱい。月くんはうれしくなって、ちゃんと夜になっていないのにもきづかないで、オモチャやさんにはいりました。

「うわぁ、カッコいいロボットがいっぱいある」

月くんはおおはしゃぎ。

「どのオモチャがいいですか?」

そう、おみせのおにいさんがききました。月くんは、

「このロボット、きらきらしてカッコイイから、これください」

そういって、月くんはきらきらしたロボットをかってだいまんぞく。




月くんがおみせからでると、太陽さんがあわててたようすで月くんのところにはしってきて、

「カーテンがうまくしまらないの。たすけて」

といいました。ですが月くんは、

「おねえちゃんがおしごとをすると、みんなよろこぶのに。ぼくがおしごとをすると、みんなかなしいかおになるんだ。おねえちゃんばっかりよろこばれて、ずるいよ」

そういって、太陽さんのいうことをききません。それどころか、月くんは太陽さんからにげてしまったのです。




月くんは、こうえんのベンチにすわり、ぼうっとあそぶみんなをながめていました。すると、おんなのこがいいました。

「もうねむたくなってきちゃった。でも夜になってないからまぶしくてねられない、こまったわ」

そのとき、月くんはおもいました。みんな、ぼくのこともひつようだとおもってくれているんだと。




月くんはおおいそぎで太陽さんのところへかえりました。そしてカーテンをしっかりしめ、「おやすみ」といいました。

みんなおうちにかえっていきます。さっきのおんなのこはニコニコわらって「ただいま」といって、おうちにはいっていきました。

月くんはよかったとおもいました。



太陽さんは月くんに、

「そのロボット、どうしたの?」

と聞きました。月くんは、

「オモチャやさんでかったんだ、カッコいいでしょ」

月くんはニコニコわらって太陽さんにじまんしました。




そしてきょうも、太陽さんはライトをつけて「おはよう」といい、月くんはカーテンをしめて「おやすみ」といいます。



でも、もしかしたらまた太陽さんと月くんがまちにあそびにくるかもしれません。もし太陽さんと月くんにあったらみんな、「いつもおしごとありがとう」といってあげてくださいね。

太陽さんも月くんも、「ありがとう」とみんなによろこんでもらえるのがいちばんすきなのですから。


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― 新着の感想 ―
[一言] 戸猫又駅長です。 小説、見させていただきました。 とてもかわいらしい内容でよかったと思います。 これからもがんばってください。
2011/02/24 16:12 退会済み
管理
[一言] とても優しい語り口ですね。作者様の人柄が表れているようです。 初めての童話なのでしょうか? 仕事柄児童書に触れる機会の多い人間なのですが、優しい言葉で、小さな子どもにも理解しやすく書かれてい…
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