第二話 ひとつめの舞台
よーし、着いた。
300光年離れた星の、中心にある町。
別名で魔物の町だとか言うけど、なんで?
ここら辺では2番目に栄えた町らしい。
〈オーケンの町へようこそ!〉
そうやって掲げられた看板の隣を通り抜けると、すげぇ!ってなった。
全然雰囲気が違うんだ。
レンガで出来た建物!
整備された道!
明るい街灯!
村から出たことあんま無いし、新鮮だ!
「なあ、カイ!面白いな!」
予想していい?
"別に?"だな。
「まあ、そうかもね。ていうか、いちいち話しかけなくていいよ。オマエには対応しきれないから。」
いや、なが。
まだ連れられたこと根に持ってんの?
そんなことを話してて、ふと目にとまったのは、
ここが役場ですよと言わんばかりの建物。
直感が教えてくれた。
"ここに行きなさい"と。
「お邪魔します!」
「おいジオ、恥ずかしいから声の声量控えろ。」
いきなり釘を刺されてしまった。
まあいいや。それより、人だ。
溢れかえってる。
まあ、動けないほど溢れてるわけでもない。
奥の、これまた如何にもなカウンターがオレを呼んでいる。
直感の正体か。
「あ、すみませーん。強いやついますか?」
もうめんどくせ。単刀直入に切り込んでしまえ。
「は?強い人、ですか?」
「はい!オレを鍛えてくれる人、探してます!」
「ええと…いきなりそのように言われましても、まだ何も…」
そうだよね。
これはオレが悪いな。
「まあそうですよね。すみません、いきなり。だったら、あの人はつえーとかあの人はやべーとか教えてくれませんか?」
「はっ。」
ん?
クスッと笑う声が横から聞こえたぞ。
「なんだよカイ。急に笑って。」
「別に?馬鹿正直に親の言いつけ守って礼儀正しく振る舞うオマエの姿が面白かっただけ。似合わねぇな。オマエの敬語。」
「はっ、じゃあなんだ?一生笑ってろ!」
「では、有り難くそうさせて頂きます。」
こいつ!
「あの、先ほどの件なんですが…。」
「ああ!ごめん。じゃなくて、すみません。えっと、ぜひ教えてください。」
隣でにやけてるカイはほっとく。
「はい、例えば後ろに座っている男性の方。ケイオスさんと言うのですが、凄まじい怪力です。他にも、窓際に立っている女性の方。ミラさんと言うのですが、彼女に勝る魔術師はいません。」
まさしくプロって感じの対応。
いやプロなんだけど。
こういうの全くできないから、尊敬する。
なるほど、ケイオスさんにミラさんと。
あとで話しかけてみよう。
「なるほど、ありがとうございます。参考になりま…おわ!?」
「ちょっとどいて!私の番!」
なんだ!?いきなり、横から割り込まれた。
気の強そうな感じの人だ。
同い年かな?
「ええと、困ります、アイシャさん。順番は守っていただかないと…」
「うっさい!私が出せと言ったら出してよ!もう今月カツカツなの!」
「いや、事情は分かっておりますが…」
うーん。無理に踏み入らない方が良さそうだな。
「えーと?その、アイシャさん、ですか?よければ譲りますよ。」
「何あんた!良い人ぶらないでくれる?うざったい!」
んだとやる気かてめぇ。
まあ…我慢だ。落ち着け。
「一番稼げるものを用意して。今すぐ!」
ちゃっかりオレの前には行くんだな。
「分かりましたから。それなら、これは…」
「それが一番稼げるの?だったらそれにして!もう!余計な時間取らせないで!」
一目散に去って行った。もう居なくなってた。
足はや。
今のは洞窟だかの字が見えたな。
面白そう。
にしても勢いあったな。
吐く言葉全てに"!"がつく勢いだ。
でもそういう感じは嫌いじゃない。
まあ、態度は悪かったけど。
…あ、なんのために来たのか忘れるところだった。
「えっと、ありがとうございます。あとでその2人には声かけます。」
「はい、困ったことがあればいつでもどうぞ。」
「ありがとうございます。じゃあ、また機会があれば来ます。よしカイ、行くぞ!」
あれ、早速声かけようと思ったら、ケイオスさんは消えてた。忙しいのかな。
となればミラさん?
ミラさんは、立ち姿を見るだけでも、なぜか親近感が湧くな。
オレに姉さんがいたら、こんな感じの人だろうなと思ってしまう人だな。
髪色が同じ小麦色だからか?
後ろで髪を束ねてて、軽装備だ。
魔術師とか言ってたけど、ローブも帽子も着けてない。
オレは181cmだけど…身長はオレより高いんじゃないか!?
あ、言っとくがジロジロ見てないし、変態では無いからな。
よーし、早速行くか。
「すみません、ミラさんですか?」
「ん?どうしたの?ジオくん。」
「えっ?なんで名前…」
「さあ、何ででしょう。」
なんだ?混乱してきたって。
「カウンターでの話を聞いてたんだろ。分かれよ、ジオ。」
「カイは黙れ。」
いよいよ喧嘩が始まりそう。
「いいね、賑やかなふたりだ。聞いてたよ。ジオくん?つぇ〜やつを探してるんだっけ?それならちょうどいいや。よければ私が教えようか?」
…まじ?こんな早く?
「え、いいんですか?」
カイもびっくりしてる様子。
「ちょうどよかっただけだよ。探してたんだよ、君たちみたいな人を。」
探してた、ってなんだ?
「疑ってる?私こう見えて結構つぇ〜んだよ?例えば、今回優…」
その時だった。
バコン!!
勢いよく扉が開いた。
「大変だ、町のはずれに魔物の大群が!」
「あちゃー、タイミング。悪いねジオくん。話の続きはまた今度。」
「え?あ、待っ…」
ミラさんは走っていってしまった。
魔物の町ってそういう事か。
そんな都合よく行かないもんな。
でも待てよ。着いて行ったらダメなんて言われてないよね?
「だろ?カイ。」
「何がだろ?だよ。」
「行くぞ。」
「…あーはいはい、分かったよ。」
強くなるチャンスかも!?
――――――――――――
なんだこれ。
いや、被害が…とかじゃなくて。
至る所に窪地が出来てて、魔物たちが何かから逃げている。
人だ。人から逃げてるんだ。
誰から?
後ろ姿は、見覚えのあるものだった。
「ミ、ミラさん…?」
圧倒的だった。
幾千ともよべる魔物たちが、成す術もない。
火?水?風?雷?土?なんかぐにゃぐにゃ?
よう分からんものばっかり。
杖だって使ってないし、息をするように魔法を吐き出してる。怖。
でも、見つけた。1人目の師匠。
こんなに強くて、それで、オレを鍛えてくれる人。
いつのまにか、魔物は全滅。
荒れた戦場に立っていたのは1人だけだった。
みんなが一斉に騒ぎ立てる。
「うおおお!!!ミラ姉がまたやったぁぁあ!」
「ん?ミラ姉?」
疑問に思ってたら、町の住人が話しかけてきた。
「なんだボウズ、知らないのか?あの人はいつも街の世話係みたいなことをしているんだ。それで、みんなの姉ちゃんキャラが浸透しててな。」
「へぇ〜。」
「おいジオ、何してんだ。」
「うおっ!カイ、居たのかよ!」
「は?気づかなかったとは言わせないぞ。オマエが連れてきたんだからな。」
「はは、そうでした…。」
――――――――――――
あれから少し。
あの後正式に弟子入りを申し込んだ。
やっぱり快諾された。原因は不明。
カイも強制的に弟子だ。笑える。
いよいよ今日は、
ミラ姉の授業?講義?講座?まあ、どれかは分かんない。
「おいジオ、なんで僕も参加することになってる。別に強さとか興味ないって。」
「ノリと流れ?というか、それ口癖になってない?」
「ふざけんな。」
そんなことを話していたら、声が聞こえた。
「お、もう2人とも居るね。早いのは良いことだ。」
ミラ姉がきた。
そういえば、あれからミラ姉呼びさせてもらってる。
自分から、というより、仲良くなろう!とか言って向こうから勧めてきた。
「それじゃあ、早速いこうか。ついてきて。」
オーケンでの旅が、始まった。
オーケンの町、始まり始まり〜。




