第一話 はじまり、目指す場所
至らぬところもあると思いますが、これからよろしくお願いします!
「はあっ!!」
金髪の、神々しいオーラを纏った男が放つ剣撃。
それは空間を引き裂く威力だ。
不可視、不可避の斬撃が飛ぶ。
わずかに受け止め損ねた黒髪の男が、
傷をつけられてしまった。
「うおおおおおっ!」
黒髪の、禍々しい空気を纏った男が放つ魔法。
それは星全体を包む規模だ。
辺りすべてが炎に包まれた。
紅いと言うよりは紫がかっている。
わずかに金髪の肌を焦がした。
すかさず金髪も剣で追撃。
更なる攻撃に警戒しながら、確実に間合いを詰めていく。
一方黒髪も魔法で応戦。
未来でも予知したかのように、確実に動きを封じていく。
これら全てが超速の中で行われている。
刹那を駆ける攻防、常人には視認もできない。
それは一種の芸術で、もはや永遠に続くかに思えた。
しかし、いつの時も、永遠などは存在しない。
儚くも美しい闘いが、終わろうとしていた。
黒髪が賭けに出た。金髪もそれに応える。
互いが放つ究極の奥義。
「「これで…終わりだァーーッ!!」」
その衝撃は闘技場全体どころか、この世全てまでをも割る勢いだ。
辺りからは何の音も聞こえない。
異様な空気に包まれていた。
決着の刻。立っていたのは…
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宇宙の中心からずっと離れた、100人余りの小さな村。
そんな場所に、オレは住んでいる。
「ジオ。何してんだこんな所で。」
声をかけてきた黒い髪のクールな顔立ちのやつは、オレの親友。
こいつの名前はカイ。
ま、ライバルってのもオレが勝手に言ってるだけなんだけど。
村の外れの丘で、オレは涼んでいた。
カイも言ってたけど、オレの名前はジオ。17歳。
「両親が呼んでる。帰るぞ。」
「そうだな、帰るか!」
カイにはそう返した。
ほんとはもうちょっと居たかったんだけど。
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「ただいま!」
「ただいま。」
挨拶にも個性は出るもんだな。
カイとは家をともにしている。
なぜって?カイは養子だからだ。
生まれも育ちも分からないとかいうだいぶ訳ありらしい奴だ。
「遅いよ、ジオ。もうお昼できてるんだから。」
「ごめんって母さん。それよりさ、食べ終わったらまた出かけて良い?」
「言っても聞かないんでしょ?夕飯までには帰ってきなよ。」
「ありがと!」
今話してたのは母さんのユナ。
言っとくが、すごい美人なんだ。
オレも母さんも小麦色の髪の毛だ。
母さんの場合まつ毛は少し金色で、おっとり優しい雰囲気がある。
うーん、まあ、すごい美人。
息子という立場では中々客観視できないな、これ。
「おう、お前ら!遅かったな。」
父さんだ。
父さんはレントって言う。
同じく茶髪で、筋肉質で、ハンサムで、脳筋思考気味。そんな人。
畑仕事から帰ってきたらしい。
「おかえり、そういうあなたもいつもより遅かったじゃない。」
「ハハハ、すまん。今年は豊作でな。いつもより多くとれたもんで、遅れてしまった。」
なんでもない会話だけど、2人はすごく平和だ。
それが好きなんだ。
「そうだ、ジオ。前から行きたがってたろ?あれ。」
あれって…もしかして!?
「聖魔大帝祭、観戦チケットだ。いやぁ、すんごい高いな、これ。当面は贅沢できんぞ?カイも行くんだろ?楽しんでこいよ。」
「うおおお!!父さんありがとう!!」
「待て待て、僕は別に行くとは言ってないぞ。」
「そう言うなってカイ!行こうぜ!」
「…あー、分かったよ。オマエは話を聞かないで有名だもんな。」
む。その言い方には思うところがあるが?
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いよいよ明日に観戦に向かう。
オレ自身、実は強さってのに強い憧れがある。
というのも、8歳の時。
まあ色々あって、カイに助けられたんだ。
命の恩人、は割と大袈裟でもない。
その時の姿が強くて、輝いていた。
だから、憧れてる。
今は独学で鍛えてるんだ。
筋トレも欠かしていないし、
技術だって磨いているつもりだ。
あくまでも"つもり"なんだけど。
聖魔大帝祭はもうマジで最高!
なんせ、宇宙一の頂を決める祭典なんだぜ?
しかも、優勝して大帝になった人は願いが1つ叶うんだって!
こーれはもう行く以外無い!
でも、オレだってそんなバカじゃないはずだ。
いきなり大帝は遠すぎる。
だから、カイを目標にしてるんだ。
ライバル兼恩人のカイはオレと同い年のくせにめっちゃ強い。
でも身近なこともあって目指しやすい。
まずはカイを超えるため、参考になればと思って祭典に申し込んだんだ。あの時は父さんに何回土下座したか分かんないや。
でもいよいよ観れるんだ、世界最高の戦いが。
そう思うとワクワクしてもう今日は眠れないや。
眠れないなら鍛えるか。
そうしよう。
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着いた。
涼んでた丘を降りて、そのまま森の中を進んでいくと、小さな池がある。
そこに来たんだ。
ここの水はめっっちゃくちゃ綺麗で、透明すぎるから最初に来た時はこれが水だって分かんなかったほどなんだ。
ここでいつも鍛えることにしている。
池とは言ったけど案外広いからね。
始める前には必ず一口含むんだ。
なんだか力が漲る。
ここに来ると調子が良いんだよな。
なんでだろう?
筋トレからスタート。
この時点でかなり追い込む。
自分で言うのもなんだけどかなり絞ってると思う。
細マッチョってやつに着実に近づいてる。
次に、森を駆けまわる。
コースは決まっていて、徐々にタイムを縮めていくんだ。
大体7kmくらいで、いつもは15分切るくらい。
森ってこともあって、障害物いっぱいで楽しいんだよな。
あとは降ってくる落ち葉を地面に落とさず全てキャッチするもの。
今はちょうど葉が変わる時期だから、量が凄まじい。
今まで1回も成功したことないんだよな、これ。
今練習してるのは直径3mの範囲。
他にも色々あるけど、
独学なだけあって意味があるかは分からないものばっかり。
ふと目をやると、夕陽が沈みかけてる。
もうそんな時間か。
でももうちょい行けるんだよな。どうしよ。
…って、夕飯!
忘れてた、急げ急げ!
ここから家まで1時間半くらいか?残酷だ!
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いよぉーし!遂にこの日が来た!
すでに闘技場には着いている。
カイも勿論ここにいる。
宇宙の移動は、ロストテクノロジー?だとか言うものでやってるんだと。
大昔の技術で再現もできない。
ワープみたいなものだ。
というか、今まであの村の星を出たことなんてなかったから、すっごい景色に驚いてる。
「これが、都会ってやつか!?」
「うっ、ジオ、そのセリフは田舎雰囲気が滝のごとく流れ出てる。オマエは何ともないかもしれないけど、僕の気持ちも考えろ。」
「ああ、そうだな。わり。」
テンション下がった。
まあ良いけど。
さて、行こうか!
オレらは、闘技場に脚を運んだ。
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「すっげぇ、すっげぇよ、カイ。こんなの観たことないって!」
「まあ、確かにな。」
「冷たいな、でもこれはヤバい!これが聖魔大帝祭かぁ。いつかオレも、選手として向こうに立つんだもんなぁ!」
「は、理想も程々にしとけよ。痛い目に合うからな。」
「何だよ、良いだろ?夢を持つことくらい。」
話していると、アナウンスが流れた。
《皆様!楽しんでますかーー?いよいよ、決勝となりまーーす!!》
「「「ウオオオオオオオオ!!!」」」
すっご、今日一の歓声。
なんでも剣の大覇王と魔法の大魔王と呼ばれる2人の対決らしいから、そらそうか。
1人は金髪の人で、もう1人は黒髪の人。
正反対で面白いな。
そしてオレは、人生最高の試合を目に焼き付けることになったんだ。
「……!」
絶句した。
見えず避けられずの斬撃、避けることすら無駄な魔法。
闘いなんてもんじゃない。
もう一種の芸術だ、これ。
でも、楽しい時間ほど早く過ぎるもんだよな。
もう、終わりなんだろう。
大地が割れそうな大声で、2人が突っ込んでいく。
奥義ってやつだ、迫力がえげつない。
見惚れるなぁ。
これが、オレの目指す場所。
大帝になる為の、頂の闘い。
憧れは、より明確に心に刻まれた。
「「これで…終わりだァーーッ!!」」
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《遂に決着ーー!!見事決勝を制し、大帝に輝いたのは、アルライン・フェムト・ハレーヴェーーーン!!》
…。
もう、言うことはない。
これほどの物だとは、正直予想してなかった。
絶対、辿り着く。
いつか、絶対。
「おー、流石に決勝は違うんだな。ジオ、終わったんだから、もう帰って良いか?」
何でそこまで興味を持たずに居られるのかとか、今はそこまで重要じゃない。
「ジオ?」
「…カイ。今すぐ帰るぞ。」
「ん?らしくはないな。もう3時間は居たいなんて言うかと思ったんだが。」
「もうさ、うずうずしてんだ。今すぐ鍛えたい。強くなりたい。おまえにも勝ちたい。そんで、いつかあの人たちに勝ちたい。」
「そうですか。では、帰りましょう。」
軽くいなされたけど、こん時のオレは気になってなかった。
オレの強さへの憧れは決意に、明確な目標に、そして、確かな将来となったんだ。
これは、その決定的な瞬間だった。
旅に出よう。
強くなるための旅。
色んなところを巡って、色んな体験をして、色んな相手と戦って、そうして成長して。
また、戻ってこよう。
次は絶対、ここに相応しい自分になって。
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あれこれ整理はついた。
あとは、出発するだけだ。
最初の目的地は、オーケンという町。
魔物の町なんて物騒な別称ついてるけど、まあ強くなるチャンスだ。
ここからは大体300光年だったか?
ここが辺境すぎて最寄りでもこれだもんな。
「カイ。今からいっちょ冒険だ!勿論くるよな?」
「はあ?僕は別に強さに興味ないって言ったよな?旅だって、この村で平穏に過ごせればそれで良いんだよ。」
「うるせぇ、行くぞ!」
「うざっ!オマエの話を聞かないところ、大嫌いだ。」
「ちょっと長い旅になるね。多分次にここに帰ってくるのは優勝した後かも。これもう決まったから。」
「信じらんねー。」
目指すは大帝。
優勝して、またここに帰ってくるんだ。
そん時にまた、お祝いだ。
家族で、いや村全員で、祭りだ祭り!
希望に満ち溢れる最初の一歩を、踏み出した。
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オレは、歩みだす。
頂を見るために。
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書き溜めをしなかった者の末路です。
毎日投稿なんて夢のまた夢なのか?
既に満身創痍ですが、楽しんで頂けると幸いです。




