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悲劇

悲しみに暮れるミミィにケンタは言います。ケンタにとっていつまでも泣いているミミィを今は励ます事しか出来ません。


「ミミィ……泣かないで。君がどれだけ悲しいか、僕にもわかるよ。でもね、動物って……いずれは命が尽きるものなんだ。今回はあまりにも早すぎたけど……」


「だって……さっきまで元気だったのに! どうしてあんたは平気でいられるのよ!? 車が爆発したんでしょ!? 一家心中にでも巻き込まれたってことじゃ……ショコラちゃんのお母さんが犯人だったんじゃないの!? もしかして……爆弾だった可能性だってあるわよ!」


「うん……その可能性は否定できない。もしかしたら……虐待を受けてたのかもしれないね。もし、子どもを巻き添えにしたんだとしたら……それはあまりにも、酷すぎる……理不尽すぎるよ」


ミミィとケンタの2人の推理が始まります。ニュースでは事故と言っていたがそれも真実なのか分かりません。その時2人に誰かが話しかけて来ました。犬のお巡りさんではありませんか。


「ケンタじゃないか? まさか旅の途中で、あの事故の現場に居合わせたのか? 大変だったな……それにミミィちゃんまで」


「父さん……」

「ケンタ君のお父さん……」


「ケンタ、車から遺書が見つかった。ほとんど焼けていたが、育児ノイローゼによる無理心中らしい。死因はガソリンをかけられての焼死……娘も一緒に、だ。……皮肉な話だよな」


「……ふざけんなよ……! なんで娘まで巻き込むんだよ! 死にたかったんなら、ひとりで死ねばよかっただろ……! ショコラちゃんには……これから未来があったのに……なんで……!」


ケンタも込み上げてきた怒りと悲しみが一気に爆発していきました。ミミィは目から涙が流れ出て来ました。そしてこう言ったのです。


「あの子ね、『お姉ちゃん、すっごく可愛いね』って言ってくれたの……あれ、ほんとに嬉しかった……。だから私は、ショコラちゃんのこと、絶対に忘れない。あの子が生きていたこと、私たちが出会ったこと……全部、覚えてる。旅の途中で出会った人のこと、一回しか会えなかった子のことだって……私は忘れたりしないよ。だって、その人の人生の一部に触れられたって、思えるから……でも、私……あの子を守れなかった……ううっ……」


再び目から、涙が押し寄せてくるのと同時にあまりのショックでミミィの心は限界まで落ち込んでいたのです。そしてミミィはショコラがくれたリボンを大事そうに抱えます。ケンタは言います。


「ミミィ……君の言葉、すごく心に響いたよ。僕も忘れない。ショコラちゃんのこと……絶対に。ミミィ、僕がいるから。僕がそばにいるからね。だから……お願い。もう、そんなに泣かないで」


必死にケンタは泣き続けるミミィにティッシュを渡しました。どんな辛い時でも側にいる、そんな存在にケンタはならなければならないとそう思ったのでしょうか。ミミィはケンタのお父さんに言いました。これが彼女の必死のお願いです。


「……最後のお別れを言いたいんです。ケンタ君のお父さん、ショコラちゃんに会わせてください……」


「だが、遺体はかなり損傷している。正直、見るには相当な覚悟が必要だ。気分を悪くする可能性も……」


「……大丈夫です。会わせてください」


遺体安置所に連れて行かれました。そこには真っ黒になって大火傷を負ったけど、眠るショコラの姿がありました。ミミィは手を合わせました。ショコラを見たミミィは涙を流し始めました。ミミィはショコラに言いました。


「ショコラちゃん……守ってあげられなくて、ごめんね。すごく……熱かったよね……苦しかったよね……。私ね、あなたがくれたリボン、大事にするから。ありがとう。ほんとうに……ありがとう」


「ショコラちゃん、僕にも話しかけてくれたよね。明るくて、優しくて……僕、君のこと、忘れないよ。天国でも、元気で、いっぱい遊んでね」


2人はショコラに手を合わせました。その3日後にモンシロ町のモンシロ式場で行われたお通夜と告別式にミミィとケンタの姿がありました。

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