表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/32

白いうさぎ

小さい頃に好きだったのは白うさぎの女の子でした。

小さい頃から、いつも一緒に遊んでいました。雨の日も、風の日も。近所に住んでいて、いつも小さなお菓子の袋を抱えて笑っていた、優しくて、おしゃべり好きな女の子。それが――白いうさぎのミミィです。


「おはよう、ミミィ。今日も早いね。

あのね……ぼく、楽しみすぎて、全然眠れなかったんだ。」


「ふふっ、ケンタ、眠れなかったの?

かわいいなあ。わたしはね、夜、パパとママにたくさんぎゅーってしてもらったの。

絶対に、他の街でかわいいお人形さんを買って、お土産に持って帰るんだから。

だから……一緒にがんばろうね?」


「うん……うん!ミミィがいてくれるなら、きっと大丈夫。

つらいことがあっても、一緒に乗り越えられると思うんだ。」


「ありがとう、ケンタ……。ほんとに頼りになるなあ。

わたし、ちょっと泣き虫だから……ケンタがいてくれると、本当に心強いの。」


そう言いながら、ミミィはケンタの手をやさしく取りました。

ふたりはしっかりと手を握り合い、まっすぐ前を向いて歩き始めました。

旅の始まりの朝。澄んだ空気の中で、ふたりの気持ちがひとつになった瞬間でした。


やがて、ミミィがくるりとケンタの方を向いて言いました。


「ねえケンタ、歩きながらでいいから、ケンタの好きな食べ物とか、趣味とか、教えてくれない?」


「うん。えっとね……好きな食べ物はカレーライスとおにぎり、それからサンドウィッチも好き。ラーメンもよく食べるよ。

あ、あとね、甘いクッキーも好きなんだ。」


「わあ、たくさんあるんだね!

わたしはね、スパゲティとおにぎり、それからうどんも好き。

お菓子ももちろん好きだよ。特にいちごのショートケーキがいちばん好きかな。」


「スパゲティにおにぎり……和食も洋食もどっちも好きなんだね。

うどんとお菓子も、うん、やっぱり女の子らしいなあ。」


「えへへ、ありがとう。

でもケンタの好みも、なんだか元気が出そうでいいなあ。冒険にはぴったりって感じ!」


ふたりは小さく笑い合いました。そして、歩きながら持ち物を確認しはじめます。


「そうだケンタ、ウォッチフォン出して。連絡先、交換しておこう?

もし途中ではぐれちゃったら、すぐに連絡できるようにしておかないとね。」


「うん、そうだね。えっと……電源を押して……このボタンかな?」


ケンタが小さな指でボタンを押すと、画面にアプリのアイコンが浮かび上がりました。


「そうそう、それそれ。その中の連絡帳アプリをタッチして……うん、出てきた。

これがわたしのQRコード。読み取ってね。」


「うん、わかった。えいっ……うん、できた!

あ、ミミィのアドレス、ちゃんと登録されたよ!」


「よーし、これで準備万端だね。

どこへ行っても、ちゃんとつながっていられるよ。」


ふたりの画面に登録された連絡先が、やさしく光りました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ