表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

弁護士事務所

自分の認識では、横領は重罪である。企業では1円でも会社の資金に手を付ければ、その功績がどれだけあったとしても、即座に懲戒免職となり、さらに刑事事件として訴追されることもある。高額の場合には、初犯であっても執行猶予なしの実刑判決が下されると信じていた。


故に、親の金に手を付けることはあってはならないと思っていた。しかし、日本の法律では、そうではないらしい。親の財布から金を抜いたり、子供の小遣いを盗んで酒やギャンブルに使うような親に対して、警察が捜査を行わない。被害金額が10円でも1億円でも、扱いは同じだ。"親族相盗例"と呼ぶそうだ。刑法上の規定の一つで、親族間で発生した一部の犯罪行為またはその未遂罪については、その刑を免除される。

 さらに、企業の場合は組織から追放されるが、親子関係や肉親関係は何があっても消滅するわけではない。

 以上、弁護士からのレクチャーを受けた。それは中之島公園を見下ろす、小さなビルの最上階にある法律事務所で行われた。この事務所を訪れるのは2回目だった。母の口座の出納記録を見ると、50万円ずつ何度も引き出されていることがわかる。これが連日続き、1ヶ月もの間行われていた。郵便局のATMは、実家から10kmも離れた場所にあり、父親には運転が不可能である。彼はすでに免許を返納しており,身体や精神的にも運転は不可能だ。その郵便局は妹の家の近くにある。

 さらに、父親の口座からは過去10年間で8000万円もの金が消滅してる。引き出されているのは同じ郵便局だ。生前に約6000万円、死後に2000万円。

 とにかく、法律素人の自分に処理出来る事件では無い。弁護士先生に遺産分割協議の依頼をするしか無かった。

 ちなみに、依頼費用は手付けで400万円、成功報酬は1000万円と見積もられた。自分の手付金は退職金の一部から支払うしか無かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ