第二十話:フェイト・ブレイク・オンライン――起動【二十】
「それじゃ質問。――どうしてルミアは、俺がプレイヤーだとわかったんだ?」
プレイヤーか否かを見極める符号やマーカーのようなものがあるのだろうか?
「簡単な推理よ。ラックが今身に着けているものは全て、新規プレイヤーに支給される初期装備。そんなどこからどう見ても『超駆け出しの冒険者』が、トレヴァスの森の秘境アルフの泉エリアにいるのは、あまりにも不自然な光景だわ」
「……それだけじゃ、理由としてはちょっと弱くないか?」
駆け出しの冒険者が、鬱蒼としたトレヴァスの森で迷ってしまい、たまたま偶然ここへ辿り着いた。
そんな可能性だって、十分にあり得る話だ。
「そうね。だけど――森に残されたあのおかしな足跡を見れば、あなたが『普通の冒険者』じゃないことは一目瞭然よ」
「おかしな足跡?」
「えぇ。その足跡は真っ直ぐ、最短経路でこの場所へ続いていたわ。あれは間違いなく、この場所を目的地に定めて移動していたものよ」
彼女は淡々と話を続ける。
「FBOにておいて、駆け出しの冒険者がアルフの泉へ向かう理由は一つ――赤小鬼を利用したレベリング。だけど、ここが『狩場』だということは、こっちの世界じゃほとんど全く認知されていない。これを知っているのは、『FBOの知識』を持つ者のみ。――こういうわけで、私はラックがプレイヤーであると判断したの」
「なるほどな」
非常にわかりやすい回答だ。
「それじゃ次は、私の番ね。あの空に浮かぶ大きなお城――『天空氷城グレイシャリオ』。あそこへの行き方を知らないかしら?」
彼女はそう言って、月と並ぶようにして浮かぶ荘厳な氷のお城を指さした。
「あぁ、知っているぞ」
何を隠そう。俺は世界で初めて、天空氷城グレイシャリオへ辿り着いたプレイヤーだ。
「……! 嘘だったら、ただじゃおかないわよ?」
「そんなつまらない嘘はつかないよ」
「……そう。だったらあなたは、『大当たり』ってことね……!」
次の瞬間、目の前にシステムウィンドウが立ち上がった。
――ルミアより決闘の申し出がありました。
・受諾
・拒否
「これは……っ」
どうやら俺は、プレイヤー同士の決闘――PvP(Player vs Player)を申し込まれてしまったようだ。
※とても大事なおはなし
次回更新予定は10月1日(木)11:15!
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