第十一話:フェイト・ブレイク・オンライン――起動【十一】
HP(体力)500はぶっ飛んでいるし、STR(筋力)180に至ってはいくらなんでもやり過ぎだ。
一撃でもまともに食らえば瀕死の重体。
クリティカルなどいただこう日には、有無を言わさずゲームオーバーを宣告されるだろう。
そして何より、俺と全く同じAGI(敏捷)75。
俺は『紙装甲』という大きなデメリットと引き換えにして、この速度を手に入れた。
しかし、こいつはHP(体力)500-VIT(耐久)50という高耐久を維持しながら、AGI(敏捷)75という素早さを確保している。
強くて・速くて・固い……とても頭の悪い強さだ。
(なんにせよ。廃人仕様のフェイト・ブレイク・オンラインでは、この明らかに『ぶっ壊れた強さ』が、『平均的ボスモンスターの討伐難易度』と理解しておいた方がよさそうだな……)
俺がそんなことを考えていると、
「グゥオオオオオ゛オ゛オ゛オ゛……!」
豪鬼は突然、トレヴァスの森全域へ轟くほどの雄叫びをあげた。
すると――。
「ゲギャッ!」
「ギャギャ!」
「ゲーギャ!」
「ギャッギャッギャッ!」
茂みの中から、四匹の赤小鬼が飛び出した。
(<赤小鬼の統率者>を使ったか……)
戦闘開始時に一度だけ使用可能。
赤小鬼を四匹召喚するという豪鬼のユニークスキルだ。
(とりあえず、強敵と戦闘中のモブモンスターは大きな事故のもと……!)
俺は力強く大地を蹴り付け、一直線に突き進む。
「ハァアアアア……セイッ!」
「「「「ゲギャァ!?」」」」
ブロンズソードの連撃によって、四匹の赤小鬼を殲滅する。
直後、背後の豪鬼が動きを見せた。
「グルォラッ!」
強烈な金棒の振り下ろし。
俺はすぐさま反転――二本のブロンズソードをクロスし、真正面から迎え撃つ。
金属のぶつかり合う硬質な音が響き、赤い火花が宙を舞う。
「さすがの剛力だな……ッ」
STR(筋力)180から振り下ろされた金棒は、想像を絶する破壊力を内包していた。
(だが、STR(筋力)だけでゴリ押せると思うなよ……!)
俺は体を捻りながら、ブロンズソードを回転させ――豪鬼の左側面へ回り込む。
剛から柔への大きな緩急に付いて来られず、奴は前のめりになってたたらを踏んだ。
この隙を逃す手はない。
「<剣撃一閃>ッ!」
「グゥオオ……ッ」
がら空きとなった脇腹に鋭い斬撃が刺さり、豪鬼が鈍い声をあげた。
しかし、
(硬ぇ皮膚だな、おい……ッ)
俺の両手を襲ったのは、まるで岩を斬り付けたかのような重い衝撃。
豪鬼の肉質は、想像以上に固かった。
これでは奴を削り切る前に、ブロンズソードが折れてしまう。
「こういうときは……<属性付与・雷>!」
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