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Cafe Shelly

Cafe Shelly 小さな約束

作者: 日向ひなた

 時計を見る。大丈夫、まだ間に合う。けれど、目の前の赤信号がとても長い。いや、実際には長いわけではないのだろう。自分の焦る気持ちがそう感じさせているだけ。それはわかっている。わかっているが、とにかく急がないと。

 青になる。そこからカバンを抱えて猛ダッシュ。もうすぐ約束の時間だ。

「あいたっ!」

 急いでいたので、正面で歩きスマホをしていた中年の女性と肩がぶつかってしまった。

「ご、ごめんなさい」

 そう言ってその場を立ち去ろうとした。が、その女性が急に怒鳴り始めた。

「あなた、そっちからぶつかっておいてごめんなさいだけで済ますつもり?」

 やばいなぁ、こんな時に限って厄介な人と関わっちゃったな。

「あ、いや、本当にすいません。ごめんなさい。ちょっと急いでいるもので…」

「もう、気をつけてよね。ふんっ」

 そっちこそ、歩きスマホしてたくせに。そう言いたかったが、その言葉はぐっとこらえた。とにかく今は急がねば。目の前の歩行者信号も点滅し始めているし。あらためて時計を見て、まだなんとか間に合いそうなことを確認。そして私は再び猛ダッシュを始めた。

 こうしてなんとか先方の会社に到着。息が切れているので、入る前に心を落ち着ける。

「よし、行くか」

 そう思い直して先方の会社の受付へと足を運ぶ。時計は約束の時間二分前を指している。

「いやぁ、谷川くん、君はいつも時間通りにやってくるね。さ、どうぞ」

「石橋部長、ありがとうございます」

 取引先の石橋部長は私のことを信頼してくれている。それがよく伝わる口ぶりで話しかけてくる。この信頼を勝ち得るために、私は今までどんな約束でも必ず守ってきた。特に時間に関しては、自分にシビアに受け止めている。

 ここだけではない。営業マンとして、取引先の全ての企業に、いや新たに出会ったすべての人に対して、私は約束、特に時間を守ることを意識してきた。それが私のプライドであり、私のやり方なのだ。

 けれど、今日は意外な展開になってきた。

「今日はね、もう一人約束をしているんだよ。どうしても谷川くんに会わせたい人物がいてね。でも遅いなぁ、谷川くんよりも早く来るように時間を指定したんだが…」

 時間にルーズなヤツはダメだ。いくら石橋部長のお願いでも、そういう人物とは気が合わないのはわかっている。とりあえずその人物とやらが来るまでは雑談でもするか。

「石橋部長のところ、お嬢さんが結婚されて初めてのお正月だったんですよね」

「そうなんだよ。一人娘だったからなぁ。嫁ぎ先が遠くて、しかも先方は親戚の集まりなんてのがあって、正月はこちらには帰ってこないという状況なんだよ。おかげで妻と二人で寂しい正月を過ごすことになってねぇ」

 石橋部長、ちょっと寂しそうな顔つきになった。やばい、これは話題を変えないと。

「そうなんですか。ちょっと寂しいお正月でしたね」

 まずはここで共感の言葉。そしてちょっとだけ話題をずらす。

「ご夫婦お二人でしたら、旅行なんて行くのもいいんじゃないですか? そういえば石橋部長は温泉はお好きでしたよね」

「そうなんだよ、こんなことなら正月は妻と温泉旅館で過ごすなんてのもいいかと思ったな。来年はそうしてみるかな」

 話題を過去ではなく未来に移す。こうすることでワクワクする未来を描かせることができる。これは私流の会話術だ。

 そうしていると、応接室のドアにノックの音が。そして女性社員の姿が現れた。

「石橋部長、お客さまをお連れいたしました」

「おぉ、やっときたか」

 そうして現れたのは、背の高い眼鏡をかけた男性。格好はチノパンにジャケットで、ビジネスの場にふさわしくない身なりだ。しかも髪はボサボサ。誰なんだこの失礼なやつは。

「いやぁ、遅れてすいません」

「羽賀くんにしてはめずらしいじゃないか。何かあったのか?」

「まぁ、遅れた言い訳はしても仕方ないんですけどね。ちょっと交通事故に巻き込まれちゃいまして」

「えぇっ、羽賀くんは自転車だったよな。で、体は大丈夫なのかい?」

「いやいや、ボクが事故に遭ったわけじゃなくて、事故の現場に居合わせちゃったんですよ。で、警察や救急車を呼んだり、けが人の世話をしてたら遅くなっちゃいまして」

 ふん、そんな漫画のような出来事がそうそううまくあるわけないじゃないか。作り話も大概にしろ。だが、石橋部長はこの羽賀という男の話を、興味深そうに聴いているじゃないか。そもそもこいつは何者なのだ?

「そいつは大変だったね。あ、こちらが紹介したいと話してた広告代理店の谷川くんだ」

「はじめまして、羽賀純一と申します。よろしくお願いします」

 一見するとちゃらんぽらんの男に見えたが、名刺交換の態度は一変してスマートで礼儀正しいものであった。この男、只者じゃないな。

 そして名刺に目を落とす。そこには「コーチング」という言葉が書かれてあった。

「羽賀くんは我が社のおかかえコーチなんだよ。おかげで助かってるんだ」

 石橋部長が信頼するほどだから、よほどの人物なのだろう。が、私に言わせると、どんな事情があっても時間に送れるという約束を守れない人は信頼できない。

「でね、これからが本題だ。谷川くんのところの会社、ちょっと最近ブラックだとか言われているだろう。働き方改革を推進しなければという風潮もある。そこで羽賀くんに力になってもらってはどうだろう」

 石橋部長がそう言われるのも無理はない。広告代理店というのは、二十四時間フル稼働があたりまえ。けれど、そのせいで大手で自殺者が出てしまったというニュースが世間を騒がせてしまったことから、我が社でも勤務体制の見直しをしきりに言われるようになった。

 さらに悪い事に、ウチの社員がインターネットの掲示板に現状を書き漏らしたということが発生。石橋部長はこのことを言っているのだろう。まぁ、世間一般的にはブラック企業だと言われても仕方がないところがある。が、私はそうは思わない。クライアントとの約束を守る事、これがいちばん大切なことだから。

「お気持ちはありがたいのですが。けれど、私の一存で決められるものではありませんので」

「それはわかっているよ。だから谷川くんに提案があるんだ」

「提案、ですか?」

「羽賀くんのコーチング、個人的に受けてみないか?羽賀くん、確かお試しコーチングというのをやっていたよな?」

「はい、クライアントとの信頼関係が大事ですから。私という人物を知ってもらうためにも、一回だけお試しでコーチングを受けてもらうことができます」

「無理にとは言わんが、間違いなく谷川くんのためになると思うんだよ。どうかな?」

 私も広告のクライアントとの信頼関係が大事である。だからこそ、どんな小さな約束でも守ろうと努力している。今回の提案も私にとって損はない。この羽賀という男を見極める意味でも、一度話に乗ってみるか。

「わかりました。他ならぬ石橋部長からのご提案です。ぜひ受けてみたいと思います」

「そうか、よかった。きっと谷川くんにとっていい結果が出ると思うよ。じゃぁ、ここからは二人で話を進めてくれるかな。私は一度席を外すから」

 そう言って石橋部長は部屋から出ていってしまった。後に残された私と羽賀さん。さて、ここからどうしたものか。そう思っていると、羽賀さんの方から言葉を発してくれた。

「いやいや、石橋部長っていっつも思いつきで言っちゃう人だからなぁ。そこがおもしろいんですけどね」

「まぁ、そうですね。確かに突飛なことを言い出したりしますけど、それが的を射ていたりしますから」

 羽賀さんの言うとおり、石橋部長は突然筋違いのことを言い出したりする。が、それが結構良い結果を出すことのほうが多い。だからといって、今回のこともそうなるのかはわからない。

「お試しコーチングって、何をするのですか?私はコーチングというものは初体験なものでして」

「なんてことはありませんよ。ボクとしばらくおしゃべりするだけです。といっても、世間話で時間を潰しても意味はありませんからね。今、何か悩んでいることとか困っていることがあればぜひお話してください。あ、守秘義務があるのでボクと話したことは一切、誰にもしゃべりませんのでご安心ください」

「は、はぁ」

 いきなり悩みと言われても、そうそう思いつくものではない。いや、強いて言えば一つだけある。

「それって仕事以外のことでもいいんですか?」

「えぇ、むしろ仕事以外のことのほうがいいかもしれませんね。何か思いつくものでもありましたか?」

「まぁ強いて言えば、ですが。うちには小学五年生になる娘がいるのですが、これがわがままで。早くも反抗期かなって思ったりもするのですが」

「なるほど、娘さんが反抗期かなってことなんですね。具体的にどんなわがままを言っているのですか?」

「御存知の通り、私の広告代理店業界ってとても忙しいんです。大手ではそれが問題になったというニュースも出たくらいですから。突然クライアントに呼ばれて出かけるなんて日常茶飯事です。娘はそんな父親の仕事を理解していない。この前だって…」

 そう言いかけたときに、ドアにノックの音が。そしておもむろに石橋部長が姿を現した。

「いやぁ、話が盛り上がっているところすまん。ちょっと出ないといけない用事ができてしまってね。悪いが話の続きは場を変えてくれるかな?」

 さすがに私達を呼んだホストである石橋部長がいないのに、この場を借りるわけにはいかない。

「わかりました。谷川さん、このあとまだお時間はありますか?」

「えぇ、あと一時間くらいなら」

「では、この近くにボクのおすすめの喫茶店があるので、そちらに場を移しませんか?」

「いいですよ」

「どうやら話は進んでいるようだね。羽賀くん、谷川くんのことよろしく頼むよ」

「はい、わかりました。今回はいい出会いをいただきありがとうございます」

 こうして私と羽賀さんは場を移すこととなった。

 羽賀さんが誘ってくれた喫茶店は、ここから五分とかからないところにあるらしい。移動しながら先程の話の続きを、と思っていたのだが、なぜか羽賀さんは自分のことを話し始めた。

「へぇ、じゃぁ自転車でいつも移動されてるのですか」

「はい、トレーニングを兼ねていますし、エコだし、それに雨の日じゃなければ市内はこの方が早く移動できますからね」

「雨の日はどうしているのですか?」

「ボクは車を持たないので、バスやタクシーを使ったりしています。あ、ここです」

 案内されたのは、街中の路地にあるビルの二階。この路地は変わっていて、パステル色のタイルに敷き詰められた、見た目が明るい通りである。この通りの存在は知っていたが、あまり用事がないのでなかなか通ることがなかった。こんなところに喫茶店があっただなんて。

カラン・コロン・カラン

 心地よいカウベルの音が私達を出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ」

 同時に聞こえてくる女性の声。

「マイちゃん、こんにちは」

「あ、羽賀さん、いらっしゃい」

「今日はコーチングで使わせてもらうよ」

「じゃぁ、真ん中のテーブル席がいいですね。こちらへどうぞ」

 案内されたのは、店の真ん中にある三人がけの席。

「マイちゃん、シェリー・ブレンドを二つお願いね」

「かしこまりました」

 マイちゃんと呼ばれた女性店員、なかなかかわいい子だな。ふとカウンターに目をやると、渋い中年のマスターがコーヒーを淹れている。あらためて店の中を見回すと、広くはないが窮屈ではない。ホワイトとブラウンのツートーンでまとまった、落ち着くお店だ。さり気なく流れているジャズもなかなかいい。

「さて、娘さんの反抗期の話の続き、聞かせて下さい」

 ようやく私が話す番がやってきた。

「あ、はい。えっと、娘が私の仕事を理解してくれていない、というところまで話しましたね。広告代理店というのはクライアントの都合で動いているようなものです。だから、休日にも関わらず呼び出しがかかるのは日常茶飯事です」

「そうなんですね。そういう話は耳にはしますが、なかなか大変なのですね」

「はい。だから、家族で動物園に行こう、遊園地に行こう、買い物に出かけよう、そう約束した日に限って呼び出しがかかることもあります。ここはクライアントを優先しないといけないので、家族には申し訳ないのですが仕事を優先させてもらっています。でも、娘はワガママでそれを理解してくれないんです」

「なるほど、娘さんが谷川さんのお仕事を理解してくれない。それに関して谷川さんは娘さんがワガママだと感じているのですね」

「はい。私は家族のために、家族の未来の為に仕事を一生懸命頑張っています。娘は習い事でピアノをやっていますし、塾にも通っています。そのお金を稼ぐために、私は仕事に取り組んでいるのです」

「それに関して、奥さんは何かおっしゃっていますか?」

「妻、ですか。妻とも最近あまり会話をしていませんね。私がゆっくりと家にいないもので。あんなふうにワガママに育ててしまった妻にも責任はあると思うのですが」

 私はお冷のグラスを手にして、そうつぶやいた。そういえば妻と最近きちんと会話をしていない。申し訳ないとは思うが、仕事が優先なのは間違いないのだから。

「ちょっと質問を変えますね。谷川さんって将来どのような家庭をつくりたいって思っていますか?」

「将来、ですか。まぁ娘をそれなりの中学、高校、そして大学に行かせて、あとは妻とのんびり暮らす。そんなところですかね。そのために、娘にはぜひ私立の中学に合格してほしいんです。ここなら高校の進学もそれほど心配ないし」

 これは前々から思っていたことである。

「では、そのためには娘さんと奥さんと、どのような関係を築いておかないといけないでしょうね?」

 娘と妻との関係。そう問われて言葉に詰まってしまった。

 頭の中では理想の関係は描けている。笑顔でリビングで会話をしている。そんな感じだ。けれど実際にはそれとは程遠い。まず私が家にいない。娘や妻と会話をしていない。食事だって一緒にしていない。

「将来の理想とは程遠い生活をしていますね」

 ぼそりと口からそんな言葉が飛び出した。自分でもびっくりだ。けれどそれが本音であり、本当のことなのだから仕方ない。

「そもそものんびりと暮らせるような状況じゃない。仕事、仕事で常に追われている。そんな生活を送っているんですから。これがいい状況を生み出しているなんてことはないですよね。ハハハ…」

 なんだ、私が一生懸命働いているのは家族にとって何の意味もなかったのか。うすうすは頭のなかではわかっていたが、羽賀さんからこうやって質問されて、それに答えていくことでこのことが明確になっていった。

「谷川さん、私が感じたことをお伝えしてもよろしいですか?」

「えぇ、どうぞ」

 どうせ、羽賀さんは私の考えを非難するようなことを言うに違いない。

「谷川さんって、本当に家族思いなのですね」

 えっ、聞き間違いか?どうして私が家族思いなのだ?どう考えてもその逆だろう。仕事、仕事で家族のことなんて放ったらかしなのに。

 羽賀さんはさらに言葉を続けた。

「谷川さんは家族のことを考えて、仕事を一生懸命取り組んでいる。それがよく伝わってきました。谷川さん自身の趣味のためでもなく、単にお金を儲けようとしているのでもない。だからこそ、つい仕事に意識を向けがちになってしまっている。これにあと一歩、家族との交流の時間があれば申し分ないと思うのですが」

「たしかにそうですね。けれど、どうすれば家族との時間がとれるのか…」

 そう思ったときに、ちょうどコーヒーがやってきた。

「シェリーブレンドです。飲んだらぜひ、どんな味がしたかを教えて下さいね」

 マイさんだったな。美人にそう言われると、味の感想を言わなきゃいけないと思ってしまうな。けれど変わっているな。このお店ではコーヒーの味のアンケートでもとっているのかな?

「ではいただきます」

 早速コーヒーカップを手に取る。いい香りだ。そしてゆっくりとその黒くて熱い液体を口の中に流し込む。うん、おいしい。いや、おいしいだけではない。

 このコーヒー、飲めば飲むほど笑顔になれる。娘の笑顔、妻の笑顔、取引先の笑顔、いろんな笑顔がどんどん頭に浮かんでくる。それとともに自分も笑顔になっている。そうだよな、笑顔っていいよな。ふとそんなことを思ってしまった。

「笑顔、か」

「谷川さん、笑顔が頭に浮かんだのですね」

 羽賀さんの言葉で我に返った。そうだった、今はコーヒーを飲んでいたんだった。

「あ、えぇ、なぜか沢山の人の笑顔があたまに浮かびました」

「ということは、笑顔を欲しているんですね」

 今度はお店の店員さんがそう私に言った。

「えぇ、まぁそうなりますね。私はクライアントに笑顔になってもらいたくて仕事をしている。もちろん、家族にも笑顔になってもらいたい。けれど、クライアントは笑顔になっても家族の笑顔が得られていない…」

 言葉が先に出てきた。そうなんだよ、家族には泣かせてばかり。だから娘も反抗期になってしまうんだ。これをどうにかしないと。

「谷川さん、お仕事のクライアントを笑顔にするために、どのようなことをしていますか?」

「えっ、クライアントを笑顔にするために、ですか?」

 ここで私はふと考えた。私が信条としていること、それは約束を守ることだ。

「私がクライアントを笑顔にするために心がけているのは、どんな小さな約束でも守ることです。特に時間を守ることについては、自分を厳しくしています」

「ではご家族に対してはいかがですか?」

「家族に対して、ですか…」

 ここですぐに頭に浮かんだのは、娘が小さい頃に動物園や遊園地に行く約束を破ってしまったこと。そして先日も、みんなで食事に行く約束を急な仕事で破ってしまったこと。

「でも、それはクライアントとの約束を優先しなければ…」

 これは言い訳なのはわかっている。家族との約束を破ってしまったからこそ、今娘が私に対して反抗していることも。

「羽賀さん、家族と仕事、どっちを優先すべきなのでしょうか?」

「谷川さんはどうお考えですか?」

「今までは仕事優先が当たり前だと思っていました。けれど、このままだと家族はバラバラになってしまう。私、どうすればいいのでしょうか?」

「じゃぁ、その答えをシェリー・ブレンドに聞いてみましょう」

「えっ、シェリー・ブレンドってこのコーヒーのことですか?」

「はい。まぁ、騙されたと思ってコーヒーを飲んでください。そして味の感想を聞かせてください」

 いったいどういう意味があるのだろう?

「では、いただきます」

 少し冷めたコーヒーを口の中に入れる。すると、今度はさっきとは違った味がした。ちょっと苦味が強い。何かに裏切られた、そんな感じだ。

 裏切られた、という言葉が頭のなかに浮かんだ瞬間、娘が泣きべそをかいている光景が頭に浮かんだ。あぁ、そうか、私は今までこうやって娘の期待を裏切り、泣かせてきたことが何度もあったんだ。けれど、それを私は単なるワガママ、反抗期だということで切り捨ててきた。

 もしこれが自分のクライアントだったら、私は信頼を一気に失っている。そして二度と仕事を得ることはできない。そのことは頭の中ではわかっていた。けれど、娘だから、家族だからと見て見ぬふりをしていた。

 じゃぁどうすればいいんだ?私はなにげにふたたびコーヒーに口をつけていた。すると、今度はまたさっきと違う味がする。普通の美味しいコーヒーの味。苦味もするけれど、それ以上にまろやかな甘味も感じられる。うん、これだ、これだよ、私が求めていたのは。そんな感じを受けた。

「谷川さん、お味はいかがでしたか?」

 羽賀さんの言葉で空想の世界から引き戻された、そんな感じがした。

「あ、えぇ、ちょっと不思議な体験をしました」

「どのような体験をされたのですか?」

「最初にコーヒーを飲んだときには、とても苦く感じました。私の期待していた味とは違う、裏切られたって感じです。そのときに、私も娘を裏切っていたんだなって、そう感じました。でも、仕事も優先する必要がある。だからどうすればいいかって思ってもう一度コーヒーに口をつけました」

「そのときはどんな味がしたのですか?」

「今度は私が求めていた味がしたんです。いやぁ、こんなに短時間にコーヒーの味が変わるなんて。まるで魔法だな」

「なるほど、最初は裏切られた感じ、けれど次は自分が求めていたとおりだった。そこに谷川さんの答えがありますよ」

「えっ、どういうことですか?」

「マイちゃん、説明してくれるかな?」

 すると、そばにいた美人の店員さんが説明を始めてくれた。

「今飲んでいただいたシェリー・ブレンドは、まさに魔法のコーヒーなんです。このコーヒーは飲んだ人が今望んでいる味がします。中には望んでいるものが映像で浮かんでくる人もいるんです」

 まさか、と思ったがそれを体験した自分がいるのだから間違いない。シェリー・ブレンド、まさに魔法のコーヒーだ。では今感じたのが私が望んでいたものなのか。

「では、家族をバラバラにしないためには、裏切らずに期待通りのことをすればいい、ということなのですか?」

「おそらくそうなのでしょう。それが谷川さんの求めている答えだと、ボクも思います。もともと谷川さんは仕事の上ではどんな小さな約束も守る人ですよね。けれど、家庭での小さな約束、それが守られていない」

「はい、そのとおりです。だから娘も私に反抗をしてくる。よく考えればあたりまえのことですよね。それを私の仕事を理解していないなんていうのは、私の都合のいい考え方です」

「ではこれからはどうするべきか、答えは見えてきましたよね」

「はい。もっと家庭での約束事にも目を向けるべきです。けれど、それでクライアントとの約束を破ることにならないでしょうか?」

「約束事には先約優先、というルールが有ることをご存知でしょうか?先に約束をした方を優先することが大切ということです」

「けれど、それで数百万、下手をすると数千万の利益を失うかもしれない…」

「谷川さんは人との約束を金額で評価するのですか?」

「えっ!?」

 そう言われて、私の心の中には約束の大小を金額で評価をしていることに気づいた。いつの間にそうしていたのだろう。

「いや、そういうわけでは…でも、金額で約束の大小を評価していたのは確かですね。家族との約束はお金が発生しない。だから後回しでもいい。そう勝手に思っていたのは確かです」

 ここは素直に反省。

「あのぉ、ちょっとだけいいですか?」

 ずっと横にいて私達の会話を聞いていた店員さんが、そう口を開いた。

「マイちゃん、何か思うことあるのかな?」

「はい、今の話を聞いていて、ある経験を思い出したんです。高校時代にお世話になった先生がいるんですけど、私が受験のときに何気なく『お守りがあるといいなぁ』ってつぶやいたんです。それをたまたま通りかかったときに耳にした先生が『じゃぁ、お前が合格するように祈願してあげよう』って言ってくれたんです」

「じゃぁ、先生からお守りをもらえたのですか?」

「それをつぶやいたのは秋くらいだったかな。でも、そのあとお守りはなかなかもらえずにいたんです。私の中でも本気でそれをもらおうとは思っていなかったから、忘れちゃったくらいだったんですけど」

 このとき、店員さんがチラッとマスターの方を向いて微笑んだ。そして話の続きを始めた。

「そうしたら、私の受験日の前日に先生、お守りをくれたんです」

「いい先生ですね。しっかりと約束を守ってくれたんですね」

「はい。しかも、受験の神様の太宰府天満宮のお守りだったんです。だから取り寄せるのに時間がかかったって言っていました」

「へぇ、その頃からマイちゃんに目をかけてたんだ」

 そう言うと羽賀さんもマスターの方をちらっと向いて微笑んだ。すると、マスターはちょっと照れ笑いしている。どういうことだ?

「で、進学をしてから先生と付き合い始めたんだよね」

「あはっ、なんかそんな感じになっちゃって。で、今はマイダーリンになってますっ。ね、マスター」

 あ、そういうことか。ようやく気づいた。このお店のマスターがマイさんの担任の先生だったんだ。ってことは結構年の差があるんだな。これは驚いた。

「私への小さな約束を守ってくれたおかげで、今はこうやって幸せな生活を送らせてもらっています。だから思うんです。約束って大きい、小さいってないんだって。きちんと約束を守ってくれれば、それは大きな幸せに結びつくことだってあるんだなって」

 この言葉にはドキリとさせられた。約束に大きい、小さいはない。私は勝手に約束に大小をつけて、将来の幸せの芽を詰んでしまっていたことに気づいた。

「小さな約束を守る。私に欠けていたところです。ありがとうございます」

「谷川さん、今、いい笑顔していますよ。なんだか憑き物が落ちた感じがします。ちょっと正直な感想をお伝えしてもいいですか?」

「はい、どうぞ」

 羽賀さん、何を言ってくるのだろう?

「最初に谷川さんにお会いした時、とても厳しい顔つきをされていました。まぁ、原因はボクにあるのはわかっていましたけど。ボクが時間に遅れてしまったからですよね」

「実はそうなんです。最初に羽賀さんのことを軽蔑していました。時間に遅れるなんて、言語道断だって、そう思ったんです」

「それについては本当に申し訳ありませんでした。まさか、目の前で歩きスマホによる事故が起きるなんて思いもしませんでしたから。中年の女性が信号無視をして、車にはねられちゃったんですよ」

「あ、私も来る途中に歩きスマホをしていた中年の女性とぶつかりましたよ。まさか同じ人じゃないでしょうね」

「ひょっとしたらありえますね。けれど、その女性の気持ちもわかるんです。どうやらその女性、息子さんが熱を出したみたいで急いで帰宅をしていた途中だったんです。そのやりとりに夢中になっていたそうなんですよ」

 事故を起こした歩きスマホの女性の話を聞いて、最初は全面的にその女性が悪いと思っていた。けれどその女性も心中穏やかでなかったんだな。私も約束の時間を守ることだけに意識を置きすぎて、周りが見えていなかった。だから歩きスマホの女性とぶつかってしまった。

「社会のルールを守るというのも、約束を守ることなのでしょう。そうしないと事故などにあってしまうかもしれない。どんな状況でも約束を守ることは必要なのですね」

 羽賀さんのこの言葉、自分にも当てはまる。大きな約束を守ろうとしたために、小さな約束を無視してしまう。それは本来いけないことだ。約束に大小はないのだから。

「約束を破るって、相手を不幸にさせるだけでなく自分にもそれが返ってきちゃうんですね」

「マイさんの言うとおりだとボクも思います。全ての約束を守るって、大変なことだと思います。ボクもついうっかりってこともありますから。けれど、大事なのは約束を守ろうという意識を持つことじゃないかなって思うんです」

「はい、そのとおりですね。私も家族、特に娘に対して意識を変えないと。羽賀さん、今日は気づかせていただきありがとうございます」

 なんだか清々しい気持ちになれた。

「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ次の約束がありますので」

「そうですね、先約優先ですから、遅れないように気をつけて。いってらっしゃい」

「はい、ありがとうございます。また連絡させていただきます。あ、今日のお代は」

「今日はけっこうです。ボクこそ楽しませていただきましたから。ではまたのご連絡をお待ちしています」

 また連絡します。一見すると社交辞令的な言葉だが、こういうことこそ約束として守らねば。羽賀さんのコーチング、これは石橋部長が言われていたとおり効果があったな。

 その効果のおかげなのか、次の訪問先ではいい感じの受注をいただけそうな感じだ。よし、今度は家庭だな。今日は早く帰れそうなので、久しぶりに一家で食事をするか。そのつもりで家に電話をかけた。

「あら、めずらしいわね。じゃぁごちそう作って待ってるから」

 妻にそう言われて、私も晩御飯が楽しみになってきた。そうして社に戻り報告をする。ついでに石橋部長からコーチの羽賀さんを紹介されたことを伝えた。

「ほう、コーチングか。聞いたことはあるな。一度その羽賀さんとやらにお会いしてみたいものだ」

 部長は結構乗り気なようだ。これは社に導入できるかもしれない。

 なんだかいい風が吹いてきたぞ。さて、この調子で今日は久しぶりに定時で帰るとするか。だが、こういう時に限って何かが起こるものだ。

「谷川さん、お電話です」

 あと十分で帰れると思ったそのとき、私あてに電話がかかってきた。

「はい、お電話変わりました。谷川です」

「石橋コーポレーションの藤田です。谷川さん、この前話があった例の広告の件。悪いけどこれから打ち合わせできませんか?」

「えっ、これからですか?」

 困った、これから打ち合わせか。この時間にかかってくるということは、打ち合わせと称しながらも一緒に飲みに行こうという誘いでもある。こういうお誘いは営業マンとしては無下に断れない。

 だが、今日気付いたばかりではないか。先約優先。先に約束をした方を優先することが大切だ。約束に大きい、小さいはない。だから私はこう答えた。

「いつもありがとうございます。申し訳ないのですが、今日は別件がすでに入っておりますもので」

「あぁ、そうなんだ。じゃぁ明日の夜はどうだい?」

 明日の夜ならば問題ない。

「それならば大丈夫です。では、明日の夜に打ち合わせをお願いいたします」

 なんだ、先約を優先するのって、大して問題ないじゃないか。

 私はどうして今まで、仕事の約束ばかり優先してきたのだろう。家族との小さな約束、これをどうして守ろうとしなかったのだろう。今思うと不思議なくらいだ。

「では今日はあがります。お疲れ様でした」

「あれ、谷川さんめずらしいっすね。定時あがりだなんて滅多にないことですよ。こりゃ明日は雪が降るぞ」

「ハハハ、そいつは困るなぁ。じゃ、お先に」

 同僚にからかわれながらも、まだ日が落ちる前に会社を出る。ホント、こんなに早く帰るのはいつ以来だろう。ちょっと心がウキウキしている。

「ただいまー」

「おかえりなさい。ご飯、もう少しだから待っててね」

 帰ってくると、妻もご機嫌のようだ。平日の夜に一家で食事ができるなんて、今まで考えもしなかった。いつも私だけが後から食べていたからなぁ。

 ふと目をやると、娘がリビングで勉強をしている。そういえばリビング学習なんてのが流行ってるんだったな。娘のそんな姿は初めて見る。どうやら算数で悩んでいるようだ。

「ねぇ、お母さん、ここ教えてよ」

「ダーメ、今忙しいの。あ、お父さん見てあげてよ」

 なんと、私に娘の宿題を見るという大役を仰せつかったではないか。娘の方が私を拒否するんじゃないのか?

「じゃぁお父さん、ここ教えて」

 なんと、意外なことに娘は私に宿題を聞いてきたではないか。

「どれどれ…」

 見た目では平静を保っているようにしているが、心の中ではちょっと感激している。今まで私のことを拒否していた娘だと思っていたのに。

 こうして今までの我が家にはなかった夜を過ごすことができた。食事の後もゆっくりと一家でテレビを見て、妻とも会話ができて。ほんのちょっとした小さな約束を守っただけで、こんなにも生活が変わるなんて。今まで思いもしなかったな。

 翌日、私は早速高橋部長を訪問した。昨日、羽賀さんと出会わせてくれたお礼を言いに行くためだ。

「どうだった、羽賀くんのコーチングは」

「いやぁ、私にとっては大きな収穫がありました。おかげで久しぶりに家族とゆっくりとした時間を過ごすことができました。部長もコーチングの導入には乗り気のようです」

「そうか、それはよかった。やはり羽賀くんの言うことは聞いておくものだなぁ」

「何か羽賀さんからアドバイスがあったのですか?」

「いやね、実は前々から私は谷川くん、君のことが気になっていたんだよ」

「ど、どういうところがですか?」

 これは大いに気になる。どこが似ているのだろうか。

「でね、私は昔それで失敗したんだよ。家庭を顧みなかったためにね」

 ドキッとした。まさに私が昨日気付いたことじゃないか。

「どのような失敗だったのですか?」

「家に帰ってきたら、カミさんも子どももいなかったんだよ。書置きの手紙が一枚そこにはあった。実家に帰らせていただきますってね。おきまりの文句だよ」

「そ、それでどうなったのですか?」

「カミさんの実家はここから百キロほど離れたところにあってね。それからほとんど毎日、カミさんの実家を往復したよ。何度も頭を下げに行ってね。そのときは仕事よりもこのことを優先させたなぁ」

 高橋部長、遠い目をしている。その頃のことを思い出しているのだろう。

「でね、二週間ほど通いつめたら、ようやく許してくれたよ。カミさん曰く、私はあなたの家政婦じゃないって。会話もないどころか、顔すらまともに見ることがないじゃないって言われたなぁ。これは反省させられたよ」

「だからね、谷川くんにはそうなって欲しくないから羽賀くんにお願いをしたんだよ。そうしたら二つ返事で引き受けてくれた。さすが、羽賀くんはすごいね」

「そうだったのですね。私にご配慮いただきありがとうございます」

「いや、礼には及ばんよ。これに気づかせてくれたのも羽賀くんだからね」

「気づかせてくれた?」

「あぁ、私は月に二回ほど羽賀くんのコーチングを受けているのだが。そのときに自分の過去のことを思い出して、我が社にそんな社員をつくらせてはいけないという話になってね。このときに羽賀くんが『社員だけでいいのですか?』と質問してきたんだよ。このときに真っ先に谷川くん、君の顔が浮かんでね」

 どうして私の顔が思い浮かんだのだろう。その理由はすぐにわかった。

「広告代理店といえば、大手で大変な問題が起きただろう。君のところはそんなことはないとは思うが、思い出してみれば私たちは君のことを便利屋のように扱ってきた気がする。そのことを改めさせられたのだよ」

「ありがとうございます。おかげで私は大きなことに気づかされました」

「ほう、どんなことだい?ぜひ聞かせてほしいな」

「私は今まで、お気づきのように家族を犠牲にしてきました。娘との約束を破って、仕事を優先させてきました。けれど約束に大きい小さいはない。どんな約束も大切にするべきである。先約優先、先に約束をしたことを守ること、これが大事だってことに気づきました」

「うん、まさにその通りだ。私もかつては谷川くんのような考え方で家族を犠牲にしてきた。今更ながらそこは反省しているよ。いい気づきを得られたね」

「はい、これも高橋部長のお気遣いのおかげです。ありがとうございます」

 なんだかとても清々しい気分だ。これから先の私自身のあり方が変わっていきそうだ。同時に働き方改革というのは、こういうところから始まるんだなと実感できている。よし、このことを我が社でも部長に提案をしてみるか。

 社に戻ると、部長から手招きをして呼ばれた。

「はい、なんでしょうか?」

「昨日言っていたコーチングの件、もう少し詳しく聞かせてくれないかな。ちょっと個人的にそのコーチに相談したいことがあってね」

「はい、それだったら名刺をいただいているので、羽賀さんに直接連絡をしてみてはいかがでしょうか?」

 私は名刺入れから羽賀さんの名刺を取り出す。

「ありがとう。いやぁ、実はちょっと妻と最近うまくいってなくてね。こういった個人的な相談でも、羽賀さんという人は受けてくれるんだろう?」

 なんと、部長の悩みは家庭のことだったのか。これじゃ私と同じじゃないか。部長は更に言葉を続けた。

「この前、結婚記念日に食事に行くと約束したのを接待ですっぽかしてしまってから、妻の機嫌が悪くなったんだよ。これをなんとかする方法、コーチングで引き出してくれないかなぁ」

 思わず笑いそうになってしまった。まさに我が家と同じじゃないか。

「部長、約束事はきちんと守らないといけませんよ。約束に大きい小さいはありませんからね」

「谷川くん、痛いところをついてくるなぁ。まぁその通りなんだが。そうか、それでか」

「まだ何か思い当たることでもあるのですか?」

「いやぁ、恥ずかしながらもう一つあってね」

 すると、部長の目線はフロアにいる事務の飯田さんに向かっていた。彼女がどうしたのだろう?

「飯田さんとの約束もすっぽかしてしまってねぇ…」

「えっ、飯田さんと?」

「おいおい、勘違いするなよ。変な関係じゃないからな。飯田さんに出張のおみやげを頼まれたのをうっかり忘れて、それでご機嫌ななめなんだよ」

「部長、ひょっとしてそれって食べ物ですか?食べ物の恨みは恐ろしいですからねぇ」

 笑いながらそう言った。けれどこれも冗談ではない。こういった小さな約束をキチンと守らないと、上司としての信頼を失ってしまうことになる。

 ふとここでひらめいた。

「部長、羽賀さんのコーチングを個人で受けるなら、ちょっとおもしろいところがあるのですが」

「おもしろいところ?」

「はい、喫茶店なのですが、ここのコーヒーがちょっと変わっていまして。何がどう変わっているのかは体験してからのお楽しみです。部長なら間違いなく気に入りますよ。私がお約束します」

「谷川くん、その約束、ちゃんと守れるんだろうね?」

 部長、ニヤリと笑ってそう言う。

「もちろん、この約束はきちんと守れますよ」

 私もニヤリと笑ってそれに応えた。まるで悪代官と悪徳商人の会話だな。

「部長、羽賀さんへの連絡は私の方でやっておきます。よかったら今度その喫茶店にお連れしますね」

「あぁ、ありがとう」

 なんのことはない、私があのカフェ・シェリーに行ってみたいと思っているだけだ。そしてまたあの魔法のコーヒー、シェリーブレンドを飲んでみたい。今度はどんな体験をさせてくれるのかな。


<小さな約束 完>

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