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パラダイスシフト ~ある意味楽園に迷い込んだようです~  作者: 藍敦
最終章

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第二百七十五話

「来ましたか。皆さん、そちらの被害状況の報告を」


 砦に到着すると同時に、すぐにリョウカさんからの指示。

『挨拶もそちらからの報告も不用、ただ自分の言葉通りに話せ』とでも言うような、完全に指揮官、司令官のような語り口調。


「屋上で交戦したのは俺とショウスケです。撮影クルーは全員生存、城内にイクシアさんとBBの誘導で避難。多少の負傷者は出たと予想されますが、重傷者はいません」


 イクシアさんに振り向く。避難者の具体的な容態はきっと彼女が知っているだろう。


「被害状況は魔物による裂傷数名、いずれも生命を脅かすような怪我ではありません。城内にて七カ所の亀裂、魔物が侵入可能な大きさでした。そこから入りこんだと思われる人型の魔物を九体、BBと私の手により討伐。再生や死後の分裂の兆候はありませんでした」

「BBはここにいないようですね?」

「BBは避難民を地下保護区画に誘導する為に、一時的な待避所である大広間に残りました」


 イクシアさんがキビキビと報告する。


「ジェンの姿が見当たりませんね。カズキ先生、報告を」

「ジェン先生と俺は城外の魔物の討伐を開始。人型の魔物は全て俺が討伐、恐らくなんらかの変異種と思われる大型の魔物、多少人の外見を残した種を討伐後、亀裂にゆらぎが生じた。ジェン先生は現在行われているアラリエル王とリオステイル女王の緊急会見の護衛をかねて屋上に残留。キョウコ君も同じく撮影クルーとして残留」

「なるほど。他に報告がある人間は?」


 誰も、手を挙げない。いや、気後れしているのだ。

 あまりにもリョウカさんに近づき難くて。

 あまりにも普段とのギャップが大きくて。


「では、今のカズキ先生の報告にあった揺らぎを一度忘れて私からこの後の動きを提案します。まず情報の収集、報告をこの場で私は待ちます。この事態の規模がどれほどのものなのか、その報告がなされるのをここで待ちます。恐らくアートルムが動いているのでしょう?」

「はい。シュヴァインリッターの構成員に中継越しに指示を出す為に屋上に残っています」

「なるほど。では情報が集まるまで、皆さんには城内の亀裂を調査してもらいます。どんな方法でも構いません。何か反応があるか試してください」


 流石に俺が手を挙げる。


「どうぞ」

「都市部での被害を食い止めるためにも、戦力をここに残すのはもったいないと思いますが」

「我々は都市の人間を守るという依頼を受けているわけでもありません、正義の味方でもありません。早々にこの事態を解決する為にも可能な限り情報を集めます。現状、亀裂の検証を行える程戦力に余裕がある人間は私達だけです。都市部の被害は国の兵士が対応するでしょう」

「……分かりました」


 引き下がる。一時の感情よりも大局を見据えた行動の方が正解なことくらい俺にもわかる。


「他に無ければ亀裂の調査を開始してください。ですが今から二時間後には必ずこの場に再び集合するように」


 納得が出来ない様子のクラスメイトもちらほら見える。それでも、俺達はすぐに亀裂の調査に向かう。

 術に精通しているコウネさんとセリアさん、イクシアさんが分かれて行動し、それぞれに護衛として残りの人間が追従する形だ。

 戦力的に、俺はイクシアさんと二人で動くことになった。


「ユウキ、今回の事件をどう見ますか?」


 二人で最寄りの亀裂の中で最も大きく集中している場所、砦の地下牢に向かう道すがら、イクシアさんが平坦な声で問いかけてきた。

 少し、いつもと違う様子の彼女を恐いと思ってしまった。


「大規模な術式による異界の肥大化、または暴走。砦のゲートに異変は見られなかったので、ゲートに関与したのではなく、異界でなんらかの術式を完成させた……と予想します」

「私もその予想と同じことを考えています。ゲートは、異変というよりも事象、ただそこにあるだけであり、干渉出来る類の物ではないと判断しました。異界、結局は異界で何か起きたとしか考えられません」


 以前、イクシアさんがゲートの調査をしていた時も、ほぼ理解不能、干渉が出来ない物だと言っていた。

 なら今回の亀裂も……。


「異界とは……なんなのでしょう。私が生きていたころにはそんな存在はありませんでした。一体いつから……世界は変わってしまったのでしょうか」

「イクシアさん……」


 少し、悲しげな色が見えた。


「ユウキ、亀裂です。私は調査に集中しますので、周囲の警戒をお願いします」

「了解です」


 亀裂は今調査している間も、徐々に広がっている。

 たぶん、一定の大きさの亀裂になると、そこから魔物が溢れてくるのだろう。

 つまり魔物は、こちらの世界に来たがっている? 何故?

 生き物が豊富だからなのか? 餌としか俺達を見ていないのだろうか?


「……あの魔物は、構造的には人間と何も変わりません。死体を調べましたが、差異がない事は確認済みです。ではなぜ、あの魔物は『あんな風』なのでしょうね」

「生まれた環境……もしくは脳の構造、本能がまったく異なるから、ですかね」

「獣のようでいて、知恵はあるようでした。そうですね、考え方がまるっきり私達とは違う、生物としての本能の優先順位が違うのでしょう」

「イクシアさんは……あれを殺すのは反対ですか?」


 既に殺しているイクシアさんにこれを聞くのは、なぜだろう。

 彼女が……神話時代に戦いを生業にしていたから、だろうか。


「ユウキ、答えはシンプルです。人間同士でも思想の違い、話し合いが不可能な相手、というのは存在します。だから戦争が起きます。あの魔物が仮に異界の人間だとカテゴライズされたとしても、殺すべき相手でしかないんです。もしかすれば……この戦いは戦争なのかもしれませんね」

「戦争……なるほど」


 シビアでリアルな答えに安心した。


「ふむ……このヒビはやはり干渉出来ませんね。ですがカズキ先生の証言によると、巨大な魔物を倒した際に揺らぎが生じた、とあります。ここから現れた存在だけが、ここになんらかの影響を与える……としか現状は考えられませんね」

「なるほど……ならその魔物の死体を調べにいきませんか?」

「賛成です。行きましょう、ユウキ」






 城の外門の前には俺とイクシアさん同様、魔物の死体を観察する為に他の面々も揃っていた。

 ……あれが魔物の死体か。かなり細切れにされているけれど、確かに人間のパーツと同じような形状の部分があちこちに散乱している。

 けれども、サイズ感で言うと人間の五倍くらいはありそうだ。

 なんだろう……元いた世界のゲームで出てくるような、そんな印象だ。

 俺、ホラーゲーム苦手だけどさ。流石に有名作品のボスは知ってるし。

 もう第四形態じゃん、しかも後半。まぁ目玉が体中に現れたりはしてないけど。


「っ! これは……完全に人造の魔物です。揺らぎが起きたという事は、この亀裂を生み出した術となんらかの関係がある方法で生み出された魔物、ですね」


 イクシアさんは一目見て、この魔物の正体を看破した。

 人造……そんなことが可能なのか。


「これは危険です。亀裂が大きくなれば、このような魔物を随時送り込む事が可能なのかもしれません。残念ですが亀裂の発生を抑制する手段はここから見つけられませんが……猶予はさらに狭まった、と見ていいでしょう」

「あの、間違いないんですか? これが人造って……」


 イクシアさんが到着早々に看破した事について、先に来ていたセリアさんが訊ねる。


「はい。これは他の人型種と素体が同じです。魔力の残留位置から、魔力経路の場所を特定出来るのですが……この魔物の亡骸も、同じパターンで魔力が残っています。ですが、明らかに後天的に生まれた魔力経路が見て取れました。間違いなく、外的要因で変質した魔物です。そしてそんな改造が施せるのは人間……地球での魔法化学だけです」


 それは、彼女自身が地球の魔法化学で肉体を生み出されたからこその断定なのかもしれない。

 なら……地球人である一ノ瀬セイメイが敵の首領である以上、この推察は間違いではない可能性が高い。


「リョウカさんのところに行きましょう。調査はこれ以上必要ありません。早急に次の動きを決めなければ……手遅れになります」

「そんなに危険な魔物なのかな? これ細切れにされてるし、対処は可能なんじゃ?」


 そう発言したのはカナメだった。が、その言葉を否定したのは……たった今この場に到着したジェン先生だ。


「カナメ、その認識は大きな間違いだ。これを倒せたのはカズキ先生がいたおかげだ。私は……手も足も出なかった。ここで死ぬと本気で思った。異界でこれまで出会って来たどの魔物よりも遥かに強力だった。もし、本当にこの魔物が同時に各所に現れたら……国が終わる。解決出来ても国民の大半が死滅するぞ」


 青い顔で、ジェン先生が語る。


「正直、カズキ先生は人間離れし過ぎている。あの強さなら同時にこの魔物が何体襲ってきても対処出来るだろうさ。だが……各地でバラバラに現れた時、カズキ先生だけでは間に合わない。これは今でこそ死体だが、紛れもない……災厄だ。人類を駆逐しかねない最悪の魔物だ」


 悔しさも恐怖もない、ただ淡々と事実を述べるように、ジェン先生が分析する。

 そこまで……そこまでの相手なのか……?

 カズキ先生はどこだ、話を聞きたい。


「カズキ先生ならリョウカさんのところだ。いやぁ……まさか人類にここまで強い人間がいるなんて……思ってもみなかった」

「あー……やっぱりカズキ先生そこまで強かったのか」


 かつて、福岡の実務研修でもカズキ先生は鬼神の如き強さを発揮していた。

 ジェン先生の口ぶりからするに、本当にこの魔物は人類を、世界を脅かす強さなのだろう。


「みんな、砦に行こう。調査結果……と言ってもイクシアさんの見解くらいしかないけど、報告に戻らないと」






「――以上が私の見解です。ジェン先生の発言から察するに、この亀裂の最終目的はあの魔物を世界中に送り込む事ではないかと」

「……なるほど。つまり対処可能な人間が限られる天災級の魔物の召喚が目的の術式、と」

「恐らくは」


 リョウカさんに報告をしながら、カズキ先生にあの魔物に俺達が対処可能なのか訊ねる。


「……全員で挑めば、一体は倒せるだろうね。ただし攻撃が通るのはユウキ君とミコト君、カイ君にカナメ君だけだ。武器の性質的にね」

「神話時代のアーティファクトって事ですよね。俺のデバイスって現代の品なんですけど」

「気配がするね。極めて強い神話時代の竜の気配だ。何か特別な素材が使われているはずだよ」

「あー、なんかそんな話聞きました」

「あの魔物は間違いなく、神話時代の何かを組み込まれた魔物だね。現代の武器では太刀打ちできない。以前、キョウコ君には言ったけれど、僕のデバイスも特別な素材が組み込まれているんだ。だから攻撃が通る」

「そういえば、我が社の素材持ち込みサービスを利用してデバイスのブレードを鍛錬したと言っていましたわね」

「その節はお世話になったよ本当に。おかげでこうして戦える」

「……その素材、広く広めることが出来れば今回の件の対処に役立てそうですわね」


 確かにそうだ。カズキ先生や俺のデバイスに使われている素材があれば、対処出来る人間が増えるはずだ。

 今すぐは無理でも、この魔物が今後世界に解き放たれる事を考えれば――


「いやぁ、それは無理だね。カズキとユウキ君のデバイスに使われているのはいずれも『白竜様』の逆鱗だよ。そしてもう白竜様の逆鱗は残っていない。次に生えてくるのは何千年先になるやら。たった一枚の鱗からなんとか二振り作れただけよ」


 すると、砦にBBが現れ、驚きの事実を伝えてくれた。


「おい、その話は本当なのか?」

「なんだ、カズキは知らなかったのか」

「俺は素材をR博士からもらっただけだ、詳細は知らない」

「ええと……セリュミエルアーチの白竜様……ですよね?」

「そう、あの古の都の城裏で毎日寝っ転がってるドラゴンさんだ」


 マジかよ。


「……今更捨てるわけにもいかないか」

「そんなに白竜様が嫌いか? カズキ」

「嫌いではないさ。だが関わりたくない」

「ええと、カズキ先生って白竜様と何かあったんですか?」

「ちょっとね。昔こっぴどく騙されたんだ」


 なんかおちゃめなドラゴンさんだし、なんか嘘とかつきそうだなぁ。


「とにかく、この素材レベルの品をいくつも用意は出来ないんだ。だからこれ以上対処を可能にする人間を増やすことは出来ない。現状、あれに対処可能なのはここにいるSSクラスの人間とカズキ先生、それに……地球に三人ってとこかな。うん、マジで時間も人員も足りない」

「そんな……じゃあどうすれば」


 希望が経たれ、どうしよもない事態になりつつある。

 これを打破するには……。


「異界に再び乗り込むしかないでしょう。ミコトさん、原理回帰教のアジトへの道順は覚えていますか?」

「はい、確実にたどり着けます」

「この召喚、恐らく原理回帰教の何者かが手を引いているはずです。こちらから対処出来ないのならば、もう乗り込むしかありません、一刻も早く」


 それしかない。

 リョウカさんの提案に頷く。


「今すぐ向かってください。最高戦力を整えて」

「ちょっとタイム。それだとこっちに魔物が出た時に対処できる人間がいなくなってしまうじゃないか。心苦しいかもしれないけど、カズキはこちらに残るべきだ」

「……確かにその通りだ。だが、もう一つ手がある」


 カズキ先生が、俺達SSクラス全員を見渡して言う。


「僕が単独で異界に向かい、君達がここに残る。だがその場合、道案内として最低でもミコト君は僕について来てもらう。こういう選択もある。どうする、みんな」


 先生は俺達に、この局面でどうするか選択を委ねてくれた。


「……たぶん、解決の可能性は先生の方が高いです。でも逆に街に出る被害の範囲は、俺達だと広くなると思います。人命を優先しつつ事態を解決するのなら、俺達で異界に向かった方が良いと判断します」


 俺は、周りのみんなにも意見を求める。


「そうだな。ササハラ君の言う通りだと自分も思います。先生の力はこの国の人間を守る為に使うべきです」

「俺も、俺達で異界へ向かう方が理にかなっていると思います。それに……セイメイさんと直接会って話したい」

「そうですわね、被害規模と事件解決を天秤にかけるなら……事件解決がただの戦闘だけならば、最終的に先生が早急に解決した方がもしかしたら被害も少ないと思われますわね。ですが、それはありえない、と愚考します。きっと、一人の知恵よりも私達クラス全員で知恵を絞る方が解決に近しいかと」

「うん、正直先生より私の方が絶対に魔術知識はあるしさ。私も異界に行くなら私達の方が良いと思う」


 皆がそれぞれの考えの元、異界行きに賛同してくれた。

 クラス全員が、そうするべきだと口をそろえて言う。


「まぁ魔王としての立場から言わせりゃ、国民をより安全に守れる方を支持してぇわな」

「アラリエル! 中継は終わったのか?」


 すると、さらにアラリエルが合流した。


「異界行きは俺も絶対に連れてけ。こりゃ俺の国の問題でもある。なによりも、まだシュヴァ学を退学した覚えはないんでね。つーわけだから、絶対に俺も同行するからな」

「いいのかよ……お前国の指導者だろ」

「非常時に最前線に出るのが魔王なんだよ。俺の国は昔からそうだ。それを前魔王のシリウスは後ろでふんぞり返ってるだけの腑抜けだから、自分の娘に殺されてクーデターなんて起きる。ここらでしっかり強い魔王だって示しとかないといけないんだよ」


 どうやら今のアラリエルを止める事は、リョウカさんにも出来ないようだった。


「……分かった。異界には君達SSクラスの人間で向かってもらう。ジェン先生は引率に向かうべきだろうか?」

「私も一応は異界での戦闘経験がある。無論私も――」

「いや、それはやめた方が良い」


 ジェン先生が俺達の引率を買って出ようとした時だった。

 またしても、BBの言葉がそれに待ったをかける。


「ドラゴニアは竜の因子を色濃く引き継いでいる。今、あの強力な魔物は白竜の鱗によって葬られた。多かれ少なかれ竜の因子か、それに準ずる物が含まれているんだろうね。つまり、もしかしたら敵側に竜特効の能力を持つ人間がいる可能性もある。まぁ確率は低いだろうが、それでも懸念材料にはなるだろうね。ジェン先生の同行には反対かな」

「な……いや、確かにそうかもしれない。私はあの魔物と対峙した時、必要以上に警戒、いや、恐怖したと言ってもいい。その御仁、BBの言う通りかもしれない」


 ジェン先生の同行は無理、か。

 なら、また俺達生徒だけであの異界に挑まなければならないのか……。


「すみません、私も同行して良いでしょうか?」

「え、イクシアさん?」


 すると、代わりと言わんばかりに自分が同行するとイクシアさんが言い出した。

『危険だ』と一蹴したくなる意見。でも、どう考えてもイクシアさんの同行は心強い。

 俺一人の感情で反対するには、どうやら俺の思考はこういう事態に適応しすぎてしまっているようだった。


「良いでしょう。イクシアさん、生徒達を頼みます」

「んー……今回ばかりは僕も同行しようかな?」


 すると、またしても意外な人物が同行を申し出た。

 そう、BBだ。


「リョウカ、文句は言わせない。これは……絶対に俺も行かなければならない状況なんだ」

「……それは、解決の為ですか?」

「そうだね『全てを解決する為』だ」


 そうBBがリョウカさんの問いに答えると――何故だか、リョウカさんが酷く苦々し気な表情を浮かべた。


「それが、貴方の決断なのですね」

「ああ、そうだね。ただ――」


 BBという名のジョーカーの参戦に、表情を明るくするクラスメイト達。

 だが、俺は知っている。今、彼はジョーカーとしての力をふるえないのだと。


「今、僕はとてつもなく弱体化してるんだ。正直戦力には数えないでくれ」

「な……そうなんですか……」

「カイ、真に受けるなよ。この人それでも俺達より確実に強いから」

「んー、さっき城の中で結構消費しちゃったんだよねぇ。マジで戦闘面で手助けは出来ないと思ってくれないかね」


 え、マジで。

 でも……なんらかの保険、切り札は持っていそうなんだよな。

 それに知識量も……原初の魔王としての知識が、異界では絶対に役立つと、そう予感する。


「皆さん、この男も連れて行ってあげてください。きっと役立ちます」

「そう言う訳だ。ドバイぶりとなるBBこと僕の護衛任務、よろしく頼むよ」


 そう、表情の見えないフルフェイスヘルメット越しに語るBB。

 これで、恐らくこの災害の元凶が潜む敵地に乗り込む事になる。

 改めてみんなの表情を確認するも、そこに怯えや恐怖、不安の表情はない。

 いや、唯一サトミさんだけは不安そうだけど……正直彼女の回復魔法は欲しい。


「……行きます、異界に」

「……分かりました。すぐに遠征に必要な装備、食料を持たせます。皆さんも臨戦態勢でお待ちください」


 いざ、決戦の地へ。

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