第百九十五話
「では改めまして……ジェン先生が復職されるまでの間、臨時の担任として新しくこの学園に配属された『ススキダカズキ』です。復職後は副担任として皆さんのバックアップをする予定になっています。また、戦闘におけるアドバイザーとしても雇われていますので、何かあれば気軽に訊ねてください」
教室にやって来たカズキ先生は、やっぱりどう見ても若く見える。たぶん俺達より二、三才上程度なんじゃないのか?
「では質問があればお願いします」
「はい、質問」
「ササハラユウキ君、どうぞ」
「先生は年齢幾つなんですか?」
はい速攻聞かせてください。
「今年で三一歳になります」
「は!?」
え、嘘じゃん! 想像より一回り近く上なんだけど!?
「他に質問はありますか?」
「はい。なんて呼んだら良いですか?」
「ではカズキ先生でお願いします。文字数が苗字より少ないので」
「了解。もう一つ質問良いですか?」
「どうぞ、吉田カナメ君」
ふむ。俺以外のフルネームも覚えているんだな、もう。
仕事熱心なのかな。
「先生の経歴をお願いします。僕達を教え導く以上、それに同じ任務に就く以上、ある程度の情報は開示してもらいたいです」
「俺かい? 最近まで田舎の訓練所のインストラクターをしていたよ。君やユウキ君と同郷になるね。スーパーの副店長が本職で、その前は花屋のバイトを長年続けていました」
「え……なんだか驚くべきことが沢山あるんですけど……分かりました」
え、マジで? 出身地同じなんだ? っていうか花屋のバイトって……。
俺はもう一度手を上げる。
「先生、俺一度先生が戦ってるところ見てるんですけど、実力はたぶん十分? かと思うんですけど、さすがに教員免許とか必要なんじゃないですか?」
「ああ、そういえばそうだったね、見られてたんだ。教員免許というか、一応戦術インストラクターの資格と護衛官として正式に秋宮に雇われています。詳しい契約内容は言えないんだけど」
「なるほど……」
「では、これからの方針を説明します」
リョウカさんが雇った以上、なんらかの事情があるのだと思う。
実力もまぁ……まだ少ししか見ていないけど、とても『上手に戦う』人だった。
「今年は皆さんの受ける講義に加え、俺からの個人指導が入ります。皆さんの問題点を洗い出し、矯正して行く事を目的としています。たとえ将来戦いに身を置く事にならないとしても、現在君達は『戦いに身を置いている』のですから。この指導だけは強制です」
もしこの場にアラリエルがいたら、カズキ先生に喧嘩でも売りそうだな。
『実力を見せないと指示は受けねぇ』とか言って。
……結局、新学期にも現れなかったな、アイツ。
「実務研修については、既に五月末に向かう予定になっている場所があります。今年最初の実務研修は国内となっていますので、新たな資格等の取得の必要はありません。詳しい内容は追って説明しますので、くれぐれもコンディションを崩さないようにお願いします。では、本日は以上です」
カズキ先生はそう伝えると、足早に教室を去って行った。
国内、か。今更国内で何か問題でも起きたのだろうか?
いや……今は世界中何かしらの問題だらけかもしれないな。
「ササハラ君、君はあの先生の戦いを見た事があるのか?」
「うん、一回だけミカちゃんのところで。かなりブランクがあるらしくて、調整してるって言ってた」
「なぁなぁ、本当に大丈夫なのか? ブランクって……それで俺達の担任が務まるのか?」
「僕は少し同郷だって事が気になるけど、名前も聞き覚えがないし、本当に無名の人みたいだね」
いや、確かにそう思うのも無理はないし、俺もそう思う。
ただ……未知数ではある。
「たぶん、相当強い人だとは思う。正直実力を計れるだけしっかり見られたわけじゃないけど……刀の扱いは俺以上だと思う。一之瀬さん並か……もしかしたら……」
「刀を使う……か。ササハラ君がそう評価を下したのなら、一定以上の実力はある、か……」
「剣士か……指導してくれるなら戦ってくれるんだよな。ちょっと楽しみだな」
「私にも遠回しに『戦え』と言っているように感じましたわね。恐らく私達の情報は一通り記憶しているのでしょう」
「うーん……でも私、今期から魔法にも力を入れるつもりだから、あの先生に教えられるかなぁ」
「右に同じく、です。セリアさんの言うように地球人のようでしたし……」
「まぁ実際指導が入るまで未知数だよなぁ……それよりアラリエルの事、聞きそびれたな」
「確かにそうだ! どうなるんだろうな、アラリエル」
初日は新入生のオリエンテーションやサークルの説明だけなので、どこにも所属していない俺は自由時間となってしまった。
カイとコウネさんは去年に引き続き、サークルの説明で駆り出されている。
そういえばサークルリーダーはカイでもコウネさんでもないらしい。
まぁ学園を空ける事も多いしな、俺達は。
「で、なんで俺について来てるんですかね?」
「暇だからユウキ君と一緒にいたら何かあるかもって」
「ふふ、私もヨシダ君と同意見だ。あのスピーチがあった以上、何かに巻き込まれるかもしれない」
「私はデバイス開発のサークルに向かう途中なだけですわね。こっちの方向ですの」
「私は新入生の中に同じ出身の子でもいないかなーって思って見て回る予定かな」
つまりキョウコさん以外暇なんだな?
ならば、まずはキョウコさんを目的地までご案内、もとい冷やかしに行く。
案の定、校内で注目を集める事になるが、それは俺だけの所為ではなかった。
周囲の声に耳を澄ましてみると――
「SSの先輩達だ……」
「先頭にいるのがササハラ先輩か」
「どうにかお近づきになれないものか」
というのが、今年二期生になった生徒。
そして真新しい制服に身を包んだ、本日入学式を終えたばかりの新入生は――
「あれがエリートって話のSSか。ササハラユウキ以外の人間も全員実力者なのか?」
「さぁ? 成績次第でクラスのグレードも上がるって話だ。今年入学の人間の中から選抜されてSSが新しく設立されるんじゃないか?」
「私達なら考えられますわ。なにせSとして入学したのですもの」
こっち。正直制服着てなくても発言で分かる。
ここで一年学んだ生徒なら、口が裂けてもそんな事は言えない。
実際、そんな新入生を冷ややかな目で見ているのは、なにも三期生だけではない。二期生も先日行われた進級試験でこの学園の厳しさ、険しさ。グレードを上げる事の難しさを知ったのだろう、同じく呆れ混じりの視線を向けていた。
「デバイス研究会の部室って第二校舎?」
「ええ、そうですわね」
「了解、じゃあ食堂突っ切って行こうか」
「ふむ、そういえばそろそろ昼時だが……」
「今日はサークル活動って長引かないよね? キョウコさんが終わったらみんなで食べに行こうか食堂に」
「あ、それいいね。コウネとカイも終わったら戻って来るだろうし」
「あー、そうしよっか。俺と一之瀬さんは既に一度食堂の三階にいった事あるけど、静かで快適な場所だよ。三期生の特権だね」
もう既に食堂の営業は始まっているし、みんなで揃って食事というのもありかも。
念のためコウネさんとカイにも連絡を入れておいてっと……。
「やぁ、こんにちは先輩方。初めましてですね」
食堂を通り抜けようとした時、第二校舎へと続く渡り廊下の前で、こちらの行く手を遮る一人の人物が。
「やぁ今年度の生徒代表君。道を空けてくれるかな?」
「失礼しました。ただ、少し僕の話を聞いてもらえないでしょうか?」
さて、どうしたものか。一応警戒すべき人間らしいけれど、サークル活動前のキョウコさんを遅刻させる訳にはいかないか。
「キョウコさん、先に行ってもらえる? この子の相手をするから」
「そうさせてもらいますわね」
はい、他の皆楽しそうに俺の後ろに居残ってくれてますね。誰か一人くらいキョウコさんについて行かんかい!
「どうやら本当に急ぎの用事があった方がいたのだね、これは申し訳ない」
「で、なんの用事だいディオス君」
本題に入れと促す。
「いえね、実は今日既に直訴したんですが、年齢的にも知識的にも、既に一期生では物足りないからと、理事長に三期生へのクラス替えを願い出たところなのですよ」
「へぇ! そりゃ身の程知らずだ!」
はい火の玉ストレート。
「無駄に歳重ねようが知識入れようが、進級できる実力がなきゃ無理だからね、我儘言ってもどうにもならない。スピーチで言ったよね、調子乗ってると潰すって」
「ええ、そうですね。ですが、潰すと言う以上――潰される覚悟も持って貰わないと困ります」
その瞬間、中々の速さで二振りの小剣がこちらの首筋にあてがわれる。
ツインダガー? へぇ、初めて見たかも。召喚した武器だよなこれ。
「止めなければ先輩、死んでいましたよ?」
いや、普通に召喚する場面も迫る様子もしっかり見えていたが。
殺気の無い攻撃、そもそも当てる気もないなら止める方がヤボってもんでしょうよ。
「最初から当てる気もない攻撃しておいてその発言はちょっと……恥ずかしいぞ」
「やめなよユウキ君……正論パンチは」
「まぁ校内で刀傷沙汰なんて一発退学どころか、警察沙汰だもんねー」
「ふむ……今の太刀筋は中々良いと思う。ただ肘から下の動きに無駄が多い」
これ! みんなも乗っからない! ディオス君が可哀そうでしょ!
「んで、楽しそうに武器なんて出してどうしたの」
「……これは挨拶みたいなものですよ。試験を受けるよりも確実な方法があると思いましてね。学園で最も優れているSSの皆さんを打ち倒せば、僕の三期生への編入も認められるかと思いまして」
「これ伝えたら停学になると思うけどなぁ」
だが、ここは食堂。しかも新入生ひしめく一階。この光景を見られている以上、先生にチクるなんて真似をしたら後々宜しくない展開が待っていそうだ。
……これに似たくだり去年やったからもう嫌なんだけど俺。
「なんかめんどくさくなってきたな。んじゃうちの担任にも直訴してきて。もし運が良かったら組手でもさせてもらえるかもだから。んじゃ俺達はもう行くよ」
「でもキョウコもう着いちゃったんじゃない? 別なとこ行く?」
「そうだね、せっかくならこのまま三階に行ってみようか」
「そうだな、どうやら一階は満席のようだ」
いやー本当に速攻で接触してきたよこの子。
もうこれ以上は関わり合いになりたくないと、俺達は行先を階段に変更、そのまま食堂三階へと向かう。
だが――
「僕も同行しても?」
「三期生限定だから無理。諦めな」
「どうせこの後編入しますよ」
「だとしても今は一期生、新入生だよ」
なんか、こいつから感じるのは俺への執着ではない気がする。
少し覚えがあるような、何とも言えない感情だ。
「流石に我儘が過ぎる。彼が優しく言っているうちにここは指示に従って貰いたい」
「そうだね、正直ユウキ君がここまで温厚なのって違和感を覚えるくらいだもん」
「ま、三期生になったもんね。ディオス君だっけ? 悪い事は言わないからついて来るのはやめておいて欲しいかな」
ついに他の皆も苦言を呈すると、ようやく引き下がってくれた。
が――
「ではそのうちご一緒させて貰いますよ。編入、楽しみにしていてください。ああ……ですが編入にあたり、ササハラ先輩意外の皆さんにも一度、敗北を味わってもらいます。どうかその後に険悪な仲にならない用、お願いしておきますよ」
去り際にそうのたまったのでした。
「ね? 今年の新入生やばいでしょ」
「うん、やばいね。めちゃくちゃ面白い。ユウキ君の所為だよ? あんな風に勘違いしたの」
「そうそう。なんでわざわざ攻撃見逃したの?」
「ん-、様子見の為かな」
「しかしなかなか綺麗な動きだしだった。途中から前腕のブレと軌道の読みやすさが気になったが、新入生なら十分評価に値する」
警戒しろと言われている以上、多少はね?
無事に三階の三期生専用食堂に移動した俺達は、そのままキョウコさんやカイ、コウネさんを待つ。
さーて良い話の種が出来たぞ。三人の方でも何か面白い出来事があったら是非教えて貰いたいな。
「まさかそんな生徒さんが! それは中々見ものですね……まかり間違って本当に私達のクラスの人間一人一人に勝負を仕掛けてきたらどうしましょう?」
「その時は、きっと私は負けてしまいますわね。正直戦闘力に自信はありませんもの」
「キョウコちゃんは環境を最大限利用するタイプだもんね。というかそもそも指揮官タイプですし」
「にしても、そこまで自信があるのなら逆に気になるな。初の海外からの入学生で、年齢的には俺達と同じなんだろ?」
「うーん……なら普通に編入試験を受けるべきだったんじゃないかな?」
「その辺りはまぁ……『前理事長』の思惑なのかもね。話題性を上げるなら転校生より新入生だし」
けれど、コウネさんの言う通りになったら確かに面白そうだな。
「ところで今日の日替わりメニューってなんでした?」
「俺が今食べてるこれ。多分人気無いよ」
今日のおすすめは『サワラの西京味噌漬け焼き定食』でした。なんだか魚だし庶民向けなネーミングだから、こんな高級志向な学園の食堂だと注文する人は少ないのではなかろうか。
あ、ちなみにこれ無料です。リョウカさんが俺の誕生日にくれた物って『学食年間無料券』だったんですよ。
いやー一期生の頃以来ですわ。
「むむ……初めて見る料理ですね……焼き魚の一種ですか?」
「なんか味噌味だよ。ちなみにめちゃくちゃ美味しい」
「私は焼きおにぎり定食にした。どうやら希少な米と醤油を使っているらしく、かなり美味しい」
「僕はカニピラフにしたよ。凄いね、これ本物のカニだったよ。食費三日分消し飛んだけど」
「カナメ……結構私達にもお給料出たよね去年……」
「殆ど実家に送っちゃった。実は妹と弟の高校入学費用にあてたんだ。ついでに祖母の入院費」
「え、初耳。俺カナメの事尊敬する」
「うむ……そうか、カナメも苦労していたんだな」
カナメお前マジか……っていうかお姉さん以外にも兄弟いたのか。
「祖母が調子に乗ってすっごい高い病院の個室にするって聞かなくてさ。弟も妹も私立に入るっていうし。凄いよ、うちの家族に遠慮っていう概念ないからね」
「……そ、そうか。本当に苦労しているんだなカナメ」
うん……ちょっと同情する。
「俺は何注文しようかな……」
カイがそう呟いていた時だった。第三者の声が俺達に掛けられる。
「おすすめは期間限定メニューのクアトロフォルマッジハニーピッツァだ。俺はこれを注文させて貰った。しかも教員は無料だ」
「うお……! カズキ先生じゃん!」
「見かけたので声を掛けさせてもらったよ。どうやら教員は三階で食事を摂る決まりのようだ」
「へー、そうだったんですか。だからこれまで先生たちを食堂で見かけなかったんだ……」
ちょっとした疑問、解決。
「じゃ、俺もそれにします。どういうピザなんですか?」
「俺はピザには少しうるさくてね。どうやらこれはゴルゴンゾーラ、モッツァレラ、マスカルポーネ、そして変わり種としてパルメジャーノの代わりにミモレットチーズの粉末がトッピングされている。チーズの配合の仕方が絶妙だ。間違いなく、人生最高のクアトロフォルマッジと言えるぞ。ちなみにはちみつはアカシアではなくオレンジの花の物じゃないかな。微かにさわやかな風味もする」
え、先生めっちゃ語るじゃん。なに、そんなキャラなの?
「よ、よくわかりませんけど美味しいんですね? じゃあ行ってきます」
「へぇ、先生いけるクチなんですね。じゃあ私も同じ物と、ユウキ君と同じ物を頼んできますね」
そしてナチュラルに二人分注文しに行くコウネさん。平常運転である。
「しかしこの学園の食事は美味しいな……知らない間に役職を増やされて業務が増えた事に対するリターンとしては足りないけれど」
「え、何が増えたんです?」
「俺、元々は君達の臨時担任だけの予定だったんだ。けれども昨日急遽役職が増えてね」
「うわぁ可哀そう。カズキ先生って理事長のお知り合いなんですよね?」
「そうなんだけれど、本来なら一般人として平和に暮らす予定だったんだよねぇ。田舎で子供相手に指導して、それでのんびり老後を過ごす予定だったんだ。それをあの男が……」
ヨシキさんですね、分かります。
「ふむ……カズキ先生は現状に不満があると」
「少しだけね。ただ、君達を指導する事に異論はない。現状、君達を指導できる人間は限られている。正直言うと俺に教える事が出来るのかも若干不安ではあるけれどね」
「ん-……でも先生、ガチで戦ったらたぶんうちのクラスの生徒より強いですよね?」
俺より強い、とは言わない。けれども、たぶんそれくらいの実力はあるはず。
じゃなきゃヨシキさんも推薦しないし、リョウカさんもそれを納得しない。
「強い事と指導できるか、は別問題だよ。俺はあくまで問題点を指摘する事しか出来ないんじゃないかな」
「ほう……先生はやはり腕には自信があるのですね。聞けば、貴方も刀を使うと聞きました。可能ならば今からでも指導をお願いしたいところですが」
あ、一之瀬さんのスイッチが入った。
「構わないよ。どうせこの後術式保護フィールドが空く予定だからね」
「む、本当に承諾して下さるとは」
「これが俺の役目だからね、しっかりと応えますとも」
戻って来たコウネさんとカイにも伝え、早速食後に皆で向かう事に。
さぁ……一之瀬さんの太刀筋と遜色がないと俺は見たけれど、どんな物なのだろうか?
「あら? 先生のデバイス、我が社の物なのですわね?」
「ああ、最近完成した俺用のオーダーメイドだね。こちらの会社の方が玄人志向で好みなんだ。ブレードの強度的にも、何よりも素材の持ち込み依頼も可能だ。ただ、デバイスとしての機能は『非殺傷用フィールド』の発生に留めているから、デバイスとしての性能は下の下になってしまっているんだけどね」
「まぁ……我が社のリアクターの力を過小評価しているのでしょうか?」
「いや、正直頑丈さだけあればいいからって理由だよ。ブレードの鍛錬技術だけを見ればグランディア以上だしね」
フィールドに移動しコンバットスーツに着替える両者。
するとカズキ先生のデバイスにキョウコさんがややテンションを上げて食いついていた。
少し不満もあったようだけど、褒められて機嫌を良くしているようだ。うむ、ちょろくないかキョウコさん。
「しかしなんだね……なんというか因果って物はあるのかもしれないなぁ」
カズキ先生は、フィールドに先に入り静かにたたずむ一之瀬さんを見て、そう呟く。
もしかして一之瀬さんの知り合い? なのだろうか。
「一之瀬ミコトさん。君はその刀を使い始めてどれくらいだい?」
「学園入学前の召喚実験から使っていますので、約三年です」
「了解。それじゃあ……誰か合図をお願いするよ。これが俺の学園初仕事だから景気よく頼むよ」
どことなく気楽な調子で言う先生。俺がその役目を買って出る事にし、二人がお互いに武器を構えたところで――
「試合開始!」
その宣言をしたのであった。