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パラダイスシフト ~ある意味楽園に迷い込んだようです~  作者: 藍敦
十五章

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第百九十三話

「夜だけど一応変装しないとな」


 チョーカーの機能で変装し、シンビョウ町にあるヨシキさんの店へと向かう。

 まぁさすがにこの時間にどこかの取材班やらはいないし、最近徐々に人数も減ってきているのだが。

 お店の前に到着すると、店の明りはついているものの、扉には『本日貸し切り』の札がかけられていた。


「おお……ここに俺が入っていいのか」


 なんだか凄い緊張してしまいますな。変装を解き、いざ入店。

 ベルの音が鳴ると、そこにはなんとも俺には場違いな、大人な空間が出来上がっていた。

 店内の照明は必要最小限、バーカウンターだけが照らし出されており、そこにリョウカさんが一人腰かけでおり、ヨシキさんも接客用のユニフォームを着てお酒を作っている。

 ……なんか、こんな若造が立ち入って良い空間じゃないんですが。


「こんばんは、ユウキ君」

「来たか、ユウキ君。さぁ、こっちに掛けてくれ」

「は、はい。こんばんは」


 早速、席に着く。


「ご飯は食べて来たかな? もしまだなら軽食なら出せるが」

「あ、大丈夫です。まだそこまでお腹が空いていないので……」

「ふふ、では何か温かい飲み物でもお願いしますヨシキさん」

「そうだな。ふむ……じゃあちょっぴり大人なホットドリンクでも」


 なんだこの空間……全然落ち着かない……! 凄い緊張する……。

 薄暗い雰囲気のあるバーで、美女と二人でカウンター席。

 カウンター内にはどこか危険な香りのする大人の男なバーテンダー……。

 絶対一人じゃ来られないだろ……。


「ヨシキさんが作っている間に私から。本日はよく来て下さいました。今日は、これまで曖昧にしていた事実、真実を貴方にも共有したいと思い、お呼び立てした次第です」

「別に作りながらでも話せるぞ。と、いう訳だ。同時にユウキ君だけの真実も、実際にはそうでないって教えようと思ってな。もう少しで完成するから話はその後だ」


 なんだ……? 俺だけの真実?

 ヨシキさんを見ると、小さな鍋でコーヒーを抽出していた。

 あと、なんか高そうな見た事の無い形のチョコレートをナイフで削ってる。

 ふむ? あ、お酒の香りもしてきた。


「これは結構甘めのホットカクテルだ。コーヒーや生クリームが大丈夫ならたぶん飲めるだろう」

「お、おお……」


 出されたのは、透明なワイングラスに似た器に、黒い液体と白い液体が層になっている飲み物だった。

 この白い浮いている層が生クリームなのかな?


「いただきます……」


 クリームが口に広がる。コーヒーの温度と味がクリームを洗い流す。

 仄かにコクのある甘さと香りが口に広がる。お酒の風味だろうか?


「アイリッシュコーヒー。冬の定番だ。ダークラムとブラウンシュガー、コーヒーと生クリームで作るんだ」

「ふむ……美味しそうですね? ラムをいつものに変えて私にも作ってくれますか?」

「分かった。コーヒーは代用の方でいいか?」

「ええ、勿論」


 美味しい……カクテルってこんな種類まであるのか……。

 リョウカさんもまだ話すつもりがないのか、どこか楽し気にヨシキさんの作業を眺めている。

 ヨシキさんも慣れた手つきで作業をこなしながら、たまにこちらに話題を振ってくれる。

 だが――


「ああ、そうだ。ユウキ君知ってるか? 今度USHと新天堂が共同開発で体感型のアクションゲームを作るらしいぞ。往年の名作マ〇オをモチーフにした作品らしいからな、ある意味マ〇オ64の再来だ。これからもしかしたら体感以外のゲーム開発も競争が始まるかもしれないな」

「へぇ! それは興味深いですね! 出来れば今の映画みたいに、その場で実際に見ているみたいな感じでキャラクター操作とかしたいですねー!」

「そうだな。君の好きなデ〇ルメイク〇イとか、動きが激しいから少し視点に工夫がいりそうだが」

「あー確かに――え?」


 あれ? なんか今おかしい事言わなかったか? あれ……?


「あの……ヨシキさん今……」

「結構あっさり自白したな、ユウキ君。君はどうやら『本来あるべきだった世界』からこちらに迷い込んできた人間だったか」


 心臓に氷の杭を打たれたような感覚だった。

 痛いような怖いような、血が凍りつくような、そんな、気配。


「いや、別に咎めもしないから安心してくれ。俺も……リョウカも過程は違えど同じ世界の出身だ」

「へ……? え? でもヨシキさんの前世って!」

「ヨシキさん、手が止まってますよ? 私のドリンクはよ」

「はいよ」


 なんだ、なんだこの状況は。俺と同じ? ヨシキさんとリョウカさんが?

 リョウカさんは出来上がったドリンクを一口飲み、満足気に溜め息をつく。


「ふぅ……美味しいですね……ユウキ君も冷めないうちにどうぞ」

「は、はい」

「俺も何か飲むかな……」


 美味しい、が気になって仕方がない。


「……俺もリョウカも、元いた世界から直接、グランディアで生まれ変わった……いや、転移したと言った方がいいんだろうか。少し定義があいまいだが、俺とリョウカは現実と異なる姿、所謂アバターの姿に変えられて、グランディアに唐突に転移させられたんだよ」

「もう、まだ私が飲んでいるのに。ちなみにですが、私は現実の姿とほぼ一致した状態でグランディアに飛ばされました。今の姿がそれです」

「え? え?」


 理解が追い付かない……どういうことだ。


「当時のグランディアは地球と関係がない、文字通りの異世界だった。帰る方法もないような物だったからな、俺はそこで自由に生き、多くの出会いを経験し、後に魔王と呼ばれ国を興し、天寿を全うした。その結果、俺は元いた世界ではなく今のこの世界に戻って来た。ある日あちらの世界に転移させられた翌日に、な。最も、世界が様変わりしていた関係で暫くは混乱していたわけだが」

「そんな……殆ど俺と一緒じゃないですか……グランディアには行ってませんけど」

「ちなみに転移した人間は条件を満たさない限り不老です。私はあちらの世界に転移してから今日まで、二千年以上ずっと生きていますよ」

「化け物だろ? 常人の精神じゃ持たない」

「いえいえ、変化の渦中に常に身を置いてきましたし、定期的に余計な記憶は圧縮して来ましたから」


 なんて話をしてるんだ……。


「だからまぁ、ユウキ君の抱える秘密っていうのは結構似た境遇の人間が他にもいるって事で、多少は気が楽になるだろう」

「ですが、同時にそういう人間が『邪な企みに加担する』事もあるのが実情です。実は、かなり早い段階でユウキ君がそういう境遇の人間なのでは、とあたりを付けていたんですよ、私は」

「俺もな。だからある意味君を監視していた。が、君は真っ当な道を進み、正しい行いをし、常に正しくあろうとしてきた。俺は少なくとも、君が『原理回帰教シャンディ』に加担する事は無いと確信しているよ」

「……私も、最近までは危惧していました。しかし、貴方はいつだって自分よりも他の大切な人間の為に動く。道を誤る事は決してないと信頼しています」


 薄々、原理回帰教とやらが俺と同じなのでは、とは思っていた。

 初めてロウヒさんに組織の概要を聞かされたその時から。

『あるべき世界に戻す』なんて理念を掲げていると言うのなら。

 けど、まさかリョウカさんとヨシキさんもなんて……。


「ユウキ君。今日このお話をしたのは、来学期に入学する一人の生徒についてお知らせしたいからなのです。その生徒は、イギリスから初の入学者。ゲートから遠く離れた地で生まれながら、少なくとも入学時点の強さは貴方達SSクラスの生徒の入学当初よりも遥かに強い。いえ、正確にはリミッターをつけていない貴方に匹敵するかもしれない、という程度です」

「現状、ゲートから離れた地で生まれた人間が強いと言う事はほぼない。だが、その生徒は『不自然ならくらい日本語が堪能』だそうだ。もしかすれば、元々は日本で育ち、それがこちらの世界に来た段階で、微妙に境遇が変化した結果、イギリスで育ったのでは、と考えている」

「元々はスペインで生まれ、その後は親の仕事の関係で三度国籍を変えています。なんらかの変化がこの世界で起きたとしても――」


 その瞬間、少しだけ暗い感情が胸に沸き上がった。


「境遇が……変わる? そんな事ありえるんですか?」

「実際に確認した事例はない。まぁ尤も殆どがあっちの連中の仲間だから探りようはないだろうし、俺も事が起こるまで静観をするつもりだ」

「ええ。ですが、実際この世界は五〇年程前に大きな転機を迎え、文化や発明の在り方も大きく変わりました。その影響で人生が変わった人間は少なくない筈です」

「……そうですか。ですが、俺は少なくとも変わりません。俺の父親は、異なる進化をしたであろう飛行機に乗って、事故で死にましたし、医療が発達しているであろうこの世界で祖父母は病死しました。何も変わってないんですよ」


 少しだけ、語調が強くなる。境遇が変わるなんて、そんなの……認められるかよ……!

 だが、俺の言葉を聞いてヨシキさんが『何言ってるんだこいつ』なんて言いそうな表情を浮かべていた。


「いや、変わっただろ。イクシアさんと出会い、新たな家族を得た。今まさに境遇が変わってその人生を歩んでいるお前さんが言う事じゃないだろ?」

「あ……」

「確かに過去の変化は大きくないようですね。……なるほど、少しこちらで調べてみましょう。ユウキ君、お爺さんお婆さんの命日、お父様の事故の日にちは覚えていますか?」

「それは勿論忘れませんよ」

「では、後程教えてください。本当に変化がなかったのか、調べてみます」


 それは、目から鱗だった。俺はもう決まった事だと思い深く探ろうとはしなかった。

 あの日、最初の日に、俺は急ぎ家に戻り、そして何も変わらない家の様子、仏間に飾られた三人の写真を見て『納得しようとした』のだから。


「……まぁ思うところはあるだろうさ。俺自身、母親が亡くなった過去がこちらの世界でもなんら変わっていなかった。医療が発達していたのに、同じ病気で亡くなっていた。だが、少しだけ変化があったんだよ。どうやら俺は母の訃報を聞き、すぐに実家に戻り、その足で自分の店を開こうと動いていたらしい。俺の認識だと『転職どうしようかな』なんて考えてふらふら毎日ゲーム三昧だったってのに」

「そ、そうなんですか……」

「ええ。ですから境遇の変化は大なり小なり存在しています。だからこそ……来期に入学してくる生徒を警戒しているのです。ユウキ君、もしも新年度、あちらから何らかの接触があれば、すぐに知らせてください。同時に……今の貴方の力に対して『自分達と同じ境遇かもしれない』と感じているのは相手方も同じです。なんらかの接触だけでなく、敵対行為も想定されます。くれぐれも気を付けて下さい」


 それが、今日俺に話をしてくれた理由、なのか。

 新入生にそんな危険なヤツが……。


「本名かどうかは分からないが、生徒の名は『ディオス・エスペランサ』向こうで既に大学に通っていて、今回は転入ではなく新たに入学し直したという状況だ。年齢は君達三期生と同等。それを踏まえれば、君達よりも強いという事は考えられないとの事だ」

「ですが、巧妙に力を隠している可能性もあります。その為来期からは、以前のユウキ君と同じ立場……つまり『非常時には護衛として生徒を守る』人間を貴方達の身近に配備する事になりました。本当はヨシキさんを臨時の担任にし、その役目をしてもらおうと考えていたのですが」

「だからパス。過度の手助けはせんよ。せいぜい世間話やら趣味の話をしたり、一緒にご飯食べる程度だ」

「完全に自分の道楽ですよね?」

「イグザクトリー。最近新しい車納車したんだ。春になったらピクニックに行くからユウキ君もどうだ? 友達でも連れて」


 え、そんな急に話題かえないでください、ついていけないっす。


「い、いやぁ話の流れが急すぎて……」

「まぁそれくらい軽く構えておくといいさ。正直、リョウカの杞憂半分程度に考えてるんだ。だったら楽しい事考えた方良くないか? いいぞ……キャンプは。GWに北の山近くの川でBBQとか最高だぞ。雪解け水で川が冷たくてな……それでいて日当たりは良いから程よく気温が高い……」

「ヨシキさん……もう酔ってるんですか? まぁ、確かに私の杞憂もあるかもしれませんが、気に留めておいてくださいね。それが今日の本題だったのです」


 なるほど……一難去ってまた一難というか、俺が有名になった事の弊害というか。

 あの一件で、確かに原理回帰教の主要メンバーっぽい人間を何人か殺してるし、グランディア内の警戒度も上がってる。

 狙いを一度地球に変えて来る可能性もありえる……か。


「難しい話は終わり。ここからは新成人に美味しく正しいお酒の飲み方をレクチャーしていこうではないか」

「……まぁ、確かに必要かもしれませんね」

「え、本当に? このコーヒーのカクテルだけで十分美味しかったですけど」

「いやいや、そんなのデザートだから。昨日飲んだお酒で気になる事とかあったら聞いてくれ。腐ってもバーテンやってるからな、多少は知識もある」

「ユウキ君。この男自分で態々海外の酒造メーカーや醸造所に足を運ぶくらいの道楽者ですよ」

「何を言う。ユウキ君聞いてくれ。この女は二千年前、グランディアに日本酒造りのさらなる発展を促し、こちらの世界と遜色のない銘酒を生み出した女だぞ」

「ぐ……! それは……貴方の為にしただけです」


 なんだ、この微妙にあまったるいような空気。

 まさかリョウカさん……いや、まさかな。


「じゃ、じゃあ質問なんですけど……日本酒を昨日飲んだんですけど、正直俺は苦手でした。折角名産地出身だったんですが、何か美味しく飲む方法ってありませんか?」

「む……銘柄は覚えているかい?」

「えーと……すみません覚えてないです」

「ユウキ君、それはどこで買いましたか?」

「あ、このお店の近くにあるコンビニで買いました」


 いや、改めて見るとコンビニに普通にウィスキーやら焼酎やらワインまで瓶で売ってるんですよ? なんか凄いよね、深夜でもいろんなお酒が買えるとか、アメリカとかじゃ考えられないのだそうだ。

 だがそう答えると、ヨシキさんは少し残念そうな表情を浮かべ語り出した。


「そりゃあ……そうだろ……コンビニで売ってる日本酒なんてそりゃあなぁ……絶対うっすい純米酒か酒臭い本醸造だろ……ユウキ君、日本酒だけは明確に素人でも『当たり外れ』が一瞬で分かるくらい味に違いがあるんだよ」

「確かに、ウィスキーやワインは違いを知る為にある程度の経験が必要ですからね。まして初の飲酒でコンビニの日本酒は……私がもし同席していたら控えさせたでしょう」


 マジでか!? もしかして俺ってかなり地雷行動してたのか!?


「よーし……じゃあ初心者でも飲みやすい日本酒を幾つか見繕ってくる。少し待っていてくれ」

「あの、いいんですか? っていうかバーに日本酒って……」

「ユウキ君、このお店って地下にワインセラーならぬ日本酒セラーがあるんですよ。この男の道楽で」

「聞いて驚け。全国の地酒の中から俺が選び抜いた逸品が勢ぞろいだ。ちなみに全部俺用。客に日本酒なんて出さないぞ普段は」

「私には出してくれますよね?」

「まぁ友人にはな。今日とか本当はもう一人来る予定だったんだが」


 あらま、もしかして貸し切りにした所為で来れなくなっちゃったのか。


「ちょっと待っていてくれ。初心者におすすめの日本酒がいくつかある」

「あ、そんなわざわざ……」

「止めないで上げてください。彼の楽しみでもあるみたいですから」

「……日本酒の布教がですか」

「ええ、奇特な人間です」


 まぁ興味があるのは本当だから、そのお酒がやって来るのをリョウカさんと待つ。

 あ、そうだ。言い忘れていた事があったんだった。


「リョウカさん、そういえばホワイトデーの日に聖女様が家に来たんですけど……」

「ああ、聞いていますよ。突然で驚いたでしょう……私もまさか直接向かうとは思っていませんでした」

「なんだか凄い謝礼も貰ってしまったんですが……」

「なんと。その内容は私には知らされていませんが……持て余すような物でも頂きましたか?」

「えーと……あの国での地位と爵位みたいな……? お金も入って来るらしいです」

「なるほど、騎士の位ですか。受け取っておいて良いと思いますよ。それくらいの功績を上げたんですから」

「なんだか少し気後れしちゃいますよ。それと、もう一つ『将来セリュミエルアーチで雇ってもらう事も出来る』みたいな権利ですかね」


 それを教えると、リョウカさんの表情が微かに変化した。


「将来はあちらで暮らすと?」

「未定ですね。ただ、旅はしてみたいな……とは思っています」


 なんか地雷でも踏んだのだろうか。ちょっと恐い。


「旅ですか。それならまぁ……良いと思いますよ。ですが、どこか特定の国に所属するのは、出来れば避けて欲しいところですね。もっと言えば、籍だけは秋宮に置いて貰いたいというのが本音です」

「それってやっぱり……」

「そりゃ職権乱用だろ。彼の人生に口出しして良いのは学園にいる間だけだ。リョウカ、そいつは『正しくない』」


 その時、カウンターの奥から酒瓶を携えたヨシキさんが戻って来た。

 ちょっと『正しくない』ってワードは……恐すぎるんですが。


「……失礼しました。そうですね、あくまで自由意志に任せる約束ですね。……私は、これ以上何を望むのでしょうかね……」

「さてな。よし、ユウキ君はこれを飲んでみてくれ。香りと喉越し、甘みを重視した。新潟の酒だな」

「おー? やっぱり違う物なんですかね?」

「じゃあまずは一口飲んでみると良い」


 ちょっと険悪になりかけた空気を払拭しようと、少しだけ大げさにグラスを煽る。

 む……!? あれ!?


「全然違う……! 良い香りしかしない……!」

「だろう? 初心者でも明確に違いが分かるし、値段も実はそんなにコンビニ酒と変わらない。さすがにこの辺りじゃ売っていないがね」

「へー! これならどんどん飲めちゃいますねー」

「ふむ……さすがに何かつまみでも用意するかね」


 最初は少しだけ気後れしたけれど、気がつけば俺はこのお店の空気にも慣れ、その後も美味しくお酒を堪能させてもらった。

 さすがに深夜帰りになるとイクシアさんも心配するからと、その後夜十時には解散となったのであった。


 なお、イクシアさんに『お酒臭いです』と言われたので、これが世の男性、旦那さんが奥さんに飲み会を咎められる気持ちなのかと、怒られながらも少し嬉しいのでした。


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