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プロローグ2

 さて、皆ゲームは好きだろうか?

 格闘ゲーム、シューティング、RPGにオンラインゲーム。

 その他多数のジャンルが存在するゲームだが、俺はそんなゲームが大好きだ。

 具体的に言うと、学校の授業、主に科学の授業でちょっとでも炎や薬品を使われると『これはきっと闇属性だ』とか『あの炎はきっと特別な力がある』なんて妄想をしてしまうくらい。

 ちょっと意味合いが違ってくるが、いわゆる『ゲーム脳』『ゲーム的思考』って奴だ。


 ……さて、ここまで語っておいてなんだが、今の状況を聞いてもらいたい。

 大学受験を控え、夏休みで全てが決まると言っても過言ではないと毎日繰り返し語る教師の授業を受けていたわけだが、今日に限ってはまったくそれが頭に入らない。

 そもそも、授業に集中出来ないでいる。

 別に校庭に野良犬でも迷い混んできた訳でもなければ、授業中にスマホをいじっているわけでもない、純粋に授業が意味不明なのだ。

 何故なら――


「どうした佐々原、この程度の問題もわからんのか?」

「あ、いやその……」


 どうも、その程度の問題も分からない佐々原優木(ササハラユウキ)です。

 いや、わかるんですけど! わかりすぎて困惑しているんですけど!?

 黒板に書いてある文面をもう一度見つめなおし、混乱が加速する。


『四人パーティーで後衛の術師の残り魔力が枯渇寸前の状況で、無機物系の魔物の襲撃を受けた。

 パーティー内には剣士一名、回復術師が一名(但し後衛術師同様残り魔力が枯渇寸前とする)更に銃士(実弾)が一人の構成である。この場合の最適行動を答えよ』


 ね、おかしいでしょこれ。

 どんな問題だよ、ゲームかよ。


「先生、優木に聞いても無駄なようですし、僕が答えてもいいでしょうか?」

「いや待てって、今答えるから」


 そしてクラスの優等生である古藤祥介(コトウショウスケ)が挙手をし、そんな事をのたもうた。

 なにお前、ゲームとかすんの、全然イメージ湧かないんですけど。


「この問題はただ答えたらいいってものじゃないからな、佐々原。大学以上からはその場の状況をいかにリアルに想像出来るか、それも採点に加わってくるんだ」

「あ、はい」


 クラスの人間全員、真面目くさった表情で授業を受けている。

 この状況がおかしいって思っているの、俺だけなのか?


「ええと……まず周囲の環境と、安全地帯までの距離を考えます。例えばですが、その無機質な相手が溶岩石だったり、場所が火山だったとしたら、一番有効であろう水属性の魔術を残り魔力を使い切るつもりで放ち、そのまま押しきれるようなら撃破、無理そうならば弱点を突き隙が出来ているうちに撤退します。また、安全地帯まで距離があるようならば、銃士を殿に置き、撤退しつつ弱った相手に射撃を行います」


 はい、やっちゃいました。完全な妄想です。

 いいよ笑えよ、どうせドッキリかなにかなんだろ、日頃からこんな話ばっかりしている俺への当て付けなんですよね?

 くっそ、お前ら悪乗りしすぎだぜ。


「……素晴らしい解答だ、どうしたんだ佐々原! 先生こんな完璧な解答が出るなんて思わなかったぞ!? そうだな……たしかにこの前後の問題文なら、火山地帯を想定して答えるのがしっくりくる……こりゃ脱帽だ」

「え、マジですか?」

「マジも大マジだ。皆聞いた通りだ、これがこれから先求められる最適解だ! 皆も佐々原に負けないように、目標の進路に見合った練習問題や文献に目を通すんだぞー」


 どうやら俺は、なんだかおかしな世界に迷い込んだようです。


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