第百七十九話
「はい、今日もやって来ましたBBクッキングのお時間です。なんとですね、今日は隣に見覚えのないようなあるような少年……いや、青年が来ています!」
その日公開されたBBちゃんねるの動画には、いつものアシスタントであるRお姉さんでも、マザーでもない、見知らぬ……いや、TVで一度は確実に見たことがあるであろう青年が一緒に映っていた。
「そう、今や時の人、秘密裏に地球に帰還を果たしていたシュヴァ学のSSクラスの生徒達! その中で最も大きな功績を残した人物! たとえ一時の汚名を着させられようとも、世界の為に過酷な任務へと向かった若き救世主! ササハラユウキ君です! はいユウキ君なにか一言どうぞ」
「え!? あ……ええと……ササハラユウキです……」
「はい緊張してますな。いや仕方ない、この子料理は殆どした事ない上に、今から五分前にお兄さんが唐突にアシスタントとして任命したんですから」
そうして、BBはゲストであるユウキを適度にいじりながらも、初心者でも簡単に作れる料理を一緒に作り上げていく。
「うーん……いや、中々どうして包丁の扱いもフライパンの扱いも様になってるじゃないか。普段料理とかしてる訳じゃないよね?」
「ええと……イク……母の料理を手伝ったり、小さい頃はよく祖母の手伝いはしていましたから」
「そうかそうか、そいつは感心だ」
本日のメニューは、フライパンだけで全ての工程が終わるというお手軽メニュー。
ユウキは実際の自分の手で簡単に、それでいて本格的に完成していく料理に驚きの声を上げていた。
「まぁ、洗い物の手間も減るからね? ちなみに食器じゃなくてフライパンからダイレクトで食べるとマジで食器汚れないから、視聴者の中の一人暮らしのみんな! こっそりそうやって食べるといいぞ、マナー悪いけどバレなきゃいいんだよ!」
「ははは……これ本当に美味しいです」
その日のメニューは『手抜きピザ』という料理だった。
まな板こそ使う物の、本当にお手軽に作れてしまうそれに、ユウキも驚いていた。
そして動画の〆に入るBB。
「とまぁ、今回は食パンを潰して敷き詰める事でピザ生地っぽくした訳だけど、これ乗せる具材は各自自由にアレンジしていいからね? ポイントはしっかり潰す事。そうしないとただのピザトーストのような何かになるからね。コツはビンの底とか固い物でしっかり潰す事と、フライパンのサイズに合った蓋を使う事。パンどうしは水で濡らしてくっつきやすくすること。最後に、加工のはがれていないくっつかないフライパンを使う事だぞ!」
「まさかフライパン一つでこんな簡単にピザが出来るなんて思ってもみませんでした……」
「そうだろうそうだろう? いや、これさっき君をアシスタントにするって決めたから急遽考えたレシピなんだけどね? 美味しくて何よりだ! 詳しい分量は後で動画の編集中にまとめておくからそれを参考にしてくれよ!」
「マジですか……」
そうして、動画が終わりを迎えようとしたその時、まるで思い出したかのようにBBが語り出す。
「あ、そうそう。近々ユウキ君が今回の事件について、各国から代表で来る人間と討論会みたいな事するってさ。世界同時生中継だから、今回の詳しい話を知りたい人はチェックしておくといいぞ!」
「は、はい! どうか皆さんにも知ってもらいたいお話ですので……」
「と、言う事だ。詳しい日程は決まり次第秋宮の方から発表があるのでお楽しみに! それじゃ、BBクッキング今回はこの辺りで! ご視聴有り難うございました!」
そうして、動画が終わりを迎えたのであった――
「これ……本当に投稿するんですかね……?」
「よく撮れているじゃないですか、よかったですねユウキ」
自宅に戻り、その後送信されて来た動画を確認し終え、そう感想を漏らす。
いやいや……なんかこう、カット編集が最低限でこっちの失言まで残ってるじゃないですか……。
「さぁ、お掃除の再開ですよユウキ。かなり長い間空けていましたからね、しっかり掃除をしないと」
「ですね。じゃあ頑張りましょうか」
イクシアさんと二人で、手付かずだった我が家の大掃除をする。
俺の持ち物、ノートパソコンその他や、イクシアさんの部屋から持ち出された日記などは後日送られてくるそうだ。
そうして、一時間もすれば生活スペースの掃除は粗方終わる。
二階は元々使っていなかったので、正直来客が泊まる時くらいしか掃除はしないのだ。
……イクシアさんは相変わらず階段下の物置に陣取っているけど、結局別な部屋には移動してくれませんでした。
「ふぅ……思ったよりも早く終わりましたね。後で買い出しにも行かないと」
「そうですね。ユウキ、ちょっとこちらに来て下さい」
リビングで寛いでいると、イクシアさんがソファから俺を呼び寄せる。
「どうしたんです?」
「いえね、地球に戻ってから中々ユウキと落ち着いて二人きりにはなれなかったので、その姿のユウキをしっかり堪能しようかと――」
そうだろうと思ったよ! ソファに引き寄せられ、イクシアさんの前に座らせられる。
だからこの身体に戻りたくないのじゃ……完全に子供扱いされてしまうのじゃ……。
「……ん-、良い抱き心地です。本当に帰ってこられたんですね……実感が湧きます」
「かなり恥ずかしいんですけど……」
「我慢してください。ん-……本当によく頑張りましたね、ユウキ。もう二度と貴方を手放したりはしませんからね。ずっと一緒です」
やばい、照れる。なんだか思いっきり子供扱いされて甘やかされているのに、凄く嬉しいと感じてしまう。
まさか……俺は無意識に子供であることを受け入れつつあるのか……!?
「私の特権です、こうしてユウキを抱けるのは。もう少しだけこうさせて下さい。一息ついたら買い物に行きましょうね」
「う……はい」
けどまぁ、そういう事ならこっちこそ特権なのだ。もうしばらく甘受しておきましょう。
く……こんな風に抱き着かれる時だけはこの発育の悪い我が身が……ちょっとだけお得だと感じてしまう……!
夕方になり、予定通りイクシアさんと共に裏のシンビョウ町に買い出しに出かける。
やっぱり長い間ここに来ていなかったからか、目新しい建物、新たな住居やアパートも増えていた。
「少し風景が変わりましたね、ユウキ」
「ですねー。ここも人口が増えてきているんでしょうかね?」
「そうですね、きっとこれからも増えると思いますよ? グランディアとの関係性が改善された事ですし、お互いに移住も増えるかもしれませんし」
なるほど、確かにそれもあるのか。
地球上の暦では、既に新年を迎えている。新年のおめでたいムードは既に過ぎているが、それでも町中に人の姿が良く目立つ。
きっと俺達SSクラスの生徒以外は今まさに進級試験対策で追われているだろうに……ちょっと優越感。
「……妙ですね。ユウキ、少し急いでお店に向かった方が良いかもしれません」
「どうしたんです?」
「何者かに尾行されている気配がします。視線が先程から止みません」
「っ! 了解です」
簡素な住宅街なはずなのに、イクシアさんはそれを感じると言う。
おかしい……俺は敵意なんて微塵も感じていないのに……って、まだその域に俺が達していないだけか。
そうして、速足で我らが家庭の味方、ぶぅぶぅバリュに到着し、早速店内に向かう。
「まずはそうですね……消耗品は手付かずで家に残っていましたから、食料品くらいでしょうか? ユウキ、何か今すぐ必要な物はありますか?」
「あ、じゃあそろそろお風呂の洗剤が切れそうなので――」
その時だった。何者かの気配が背後に迫るのを感じ、さすがに反応して身構える。
「……あ、あの! ササハラユウキ君ですか……?」
飛び退り振り返ると、そこにはどこにでもいるような女性が買い物かごを片手に立っていただけだった。
「はい。そうですけど……貴女は?」
「やっぱり! ホンモノに会えて嬉しいわー! 記念撮影いいかしら……?」
なんだ、どういう――って!
「あの、すみません……俺はあくまで一般人なのでその……」
「あらごめんなさい……そうよねぇ……でも応援してるわよ! ユウキ君!」
そう言いながら女性は立ち去ってしまった。これは……。
「……失念していました。あの議会での事件の映像、世界に公開されてるんですよね……ちょっとした有名人なんでしょうか、俺」
「お昼にはもうBBの動画も投稿されましたからね。なるほど……ユウキは今や有名人になってしまったのですね? 最初の春の時のように」
「……うわぁ、これちょっと迂闊でしたね、暫く出歩く時は変装が必要だなぁ……」
「となると、ユキの出番ですね?」
「いや、普通にサングラスと帽子で……」
え? 身長でバレるって? いや、むしろイクシアさんと一緒だとセット効果でバレるか……。
「困りましたね……明日は畑のお手入れの為に沢山肥料や農具を購入予定でしたのに」
「ですよねぇ……やっぱりユキになるしかないのかぁ……」
これ、件のディスカッション放送が終わったらもっと大変な事になるんじゃないか……?
「今日は早めに切り上げた方が良いですねこれ……」
「ええ、その方が良いみたいです。なんだかお店の人の流れが妙です……」
えええ……マジか……認識甘すぎたのか俺。
「そりゃこうなるのも時間の問題だったろ。それにお昼の動画出演だ。まぁ貴重な体験が出来ていると思って暫く楽しむと良い」
突然背後から声を掛けられる。
「っ! え、ヨシキさん」
「久しぶりだな、ユウキ少年。それに同じくお久しぶりです、イクシアさん」
「あら、たしかヨシキさん。ご無沙汰しております」
あ、そっか。イクシアさんにはBBだって隠していくつもりなんだな。
「なるほど買い出しか。今日は練り物が処分セールで安いのでお勧めですよ。エビチリのアレンジでかまぼこで作ると中々良いおかずになります」
「なるほど、それは良い事を聞きました」
「中華は好きか、少年」
「……少年は止めてくださいよ……」
いやもうすぐ二十歳だからねこちとら。
「そうだな、ユウキ君。ああ、少し話があるから、買い物に付き合っていいかい?」
「ふむ……分かりました」
「はて……?」
それはもしかして、ジョーカーとしての話なのだろうか?
いや、でもイクシアさんもいるし……。
「ユウキ君、これ。君は確か鶏肉とピーマンが好きだったな? このお手軽ピラフの素はおすすめだぞ。ピーマンと鶏肉と一緒に炒めて、後は炊飯器にお米と一緒に投入するだけでかなりうまいぞ」
「おお! そんな素敵商品が……! って、これ監修……BBって書いてますね」
「まぁ! 私が知らない商品が……! 長らく地球を離れていたもので……」
く……この商売上手め!
その後も、割と楽しく買い物を進める。
あとヨシキさん雰囲気恐いから野次馬が近寄ってこなくて助かりました。
もしかして、その為だった……?
一通り買い出しを終え、ヨシキさんに荷物を運んでもらう事になり、彼の車で家へ向かう。
一応、車でも山の中を通って家までいけるんですよ。普段誰も来ないけど車で。
「人目に触れない方が良いだろうし遠慮するな。それに車内の方が話しやすい」
「分かりました、じゃあ……お邪魔します」
「お邪魔します」
ヨシキさんは、なんだかスポーツカーにでも乗って良そうなイメージだったけれど、むしろアウトドアが好きそうな感じのごつめのSUVに乗っていた。
凄い沢山荷物積めそう……。
「さて、とりあえず……お疲れ様だったな、ユウキ君。それにイクシアさん」
「あ……はい。そっか、知っているんですよね」
「そういえばリョウカさんとお知り合いだったんですよね?」
「限りなく全て事情は知っていると思ってくれていい。本題なんだがユウキ君。近いうちにチセが君のデバイスの修理を終えてこっちに戻って来るから、その時に『あの刀』を返してもらいたくてね」
「あ……! すっかり忘れていました」
そういえば、結局デバイスの修理は間に合わなかったんだよな。
それがついに完成したと。いや、俺もすっかり忘れて刀も借りっぱなしだったけど。
「そういえばユウキ、なんだか仰々しい刀を使っていましたね」
「はい、チセさんから借りていたんです。確かR博士の作だとか」
「R博士の……」
あれ? そういえば以前、イクシアさんはR博士に師事したいとか言っていた気がするけど、あれはどうなったんだろう?
そのことを聞いてみたのだが……。
「残念ですが断られてしまいました。ですが、とても良いお話が出来たので、結果としては良しとしていますよ」
そうイクシアさんが答えた時だった。一瞬だけ、車の運転が乱れた。
「っ! ……R博士と話したんですか、イクシアさん」
「はい。内容はお教えできないのですが、とても、身になるお話でした」
「……会ったんですか?」
「……いえ、通信機越しでした」
「なるほど、そうでしたか」
……? 奇妙な沈黙だ。
確か、R博士はヨシキさんの奥さんっていう話だけど、会わせるのが問題なのか?
いや、そういえば……R博士もイクシアさんと同質の存在なんだっけ……?
「良いお話が出来たのなら幸いです。さ、到着しましたよ。ユウキ君、そっちの袋を持ってくれ」
「了解。車かー……そのうち免許取りたいなー」
「学園でバイクの免許は取っているだろう? それならある程度車の免許習得のカリキュラムは免除してもらえるはずだ。割と短期間で取れるぞ」
「あ、そうなんですか。いいなぁ……」
ほほう、そういうの詳しくないから助かります。
「あ、それなら私も欲しいですね。ユウキ、今度一緒に取りに行きましょうか。実家に戻ったら、車があると何かと便利ですよね」
「あ、確かに。こっちだと便利ですけど、あっちは結構お店遠いですもんねー」
そうだなぁ……今年の夏休みに取れたりしないだろうか?
「……ふふ、沢山思い出が作れるだろうからな、車の免許はおすすめだ。じゃあ、俺はこれで失礼」
「あ、はい。ありがとうございました」
「ありがとうございました、ヨシキさん」
車で去っていくヨシキさんを見送る。
……なんだかんだで、結構あの人面倒見いいよな……?
ジョーカーだって事を忘れてしまいそうだ。
「ふふ、なんだかお父さんみたいな人ですね?」
「え!? いや、それってどういう意味ですか」
そうなるとお母さんのイクシアさんの旦那さんになるじゃないですか!
まさかイクシアさん……断じて許さん! というかあの人既婚者だし!
そもそも――
「どっちかというと父というか年上の知り合い、近所のお兄さんですよ」
「なるほど、そういう感じなのですね。これから近所付き合いも増えそうですし、仲良くしていきましょうね」
うーん……なんだかそれはそれで不安だなぁ。
翌日、想定外の事が起きてしまった。
「えー今まで年中無休だったのに」
「新年ですからね、仕方ないのかもしれません」
なんと、我らがぶぅぶぅバリュが今日明日と休業なのを、今TVのCMで知ったのだ。
朝のニュースでも俺の事とか取り上げられているのだろうか、と思いチェックしてみたのだが……そうか、休業なのか今日。
「他に園芸用品や農具が買えそうな場所はあるのでしょうか?」
「ちょっと待ってくださいね――」
『続いてのニュースです。一週間前に世界で同時公開された[世界樹変質事件]に関わる動画ですが、当事者である生徒数名と、各国の代表による討論が行われ、その様子が生中継される、と秋宮カンパニー総帥である秋宮リョウカ氏から発表が――』
「お、やっぱりニュースになってる。……いよいよ覚悟を決めないとだなぁ」
「私まで緊張してしまいますね……危険はないはずですから、今からある程度話す内容や質問は想定しておいた方が良いですね」
「ですねぇ……なんだか面接対策みたいで懐かしいや……」
TVでも告知されたとなると、近々正式な日程も知らされるだろうな。
さて、じゃあ都市部に園芸店でもないか調べるかな。
「そういえば朝にテレビってあまり見ませんよね、ユウキは」
「ですねぇ。あ、でも今は一応新年ですし、何か面白い番組でもやってるかもしれませんね」
「なるほど……映画はやっていないみたいですね。ニュースの続きでも見ておきます」
ええと……あ、園芸店あるじゃん。商業区になんかお洒落な園芸店が。
「イクシアさん、ありましたよ。商業区にあるみたいです」
「なるほど、少し遠いですけど、気分転換になりますね」
『続いてのニュースです。タレントやモデルとして活躍中の――』
さて……じゃあ不本意だけど変装……ユキ私服モードになる準備でもして来るかな……。
「イクシアさん、ちょっと部屋で着替えてきますね。……ユキに変装します」
「あ……! ユウキ、実は以前買ったユキ用のお洋服が二階にしまってあるので、それを使ってください」
「……了解です」
一応、チョーカーの中に私服もセットされているのだが、毎回同じ私服っていうのもさすがに違和感あるよな。誰か知り合いに見られるとアレだし。
じゃあイクシアさんのチョイスした私服に着替えて来るかな。
「……普通にお洒落だ。イクシアさんセンスあるなー……」
着替えを終えて、姿見で自分の姿を確認すると、ユキに合うようにコーディネイトされた私服が映し出される。
でもなー……これ俺なんだよなー……カッコいいお姉さんだけどこれ、俺なんだよなぁ……。
「せめてデフォでこの身長が俺にあれば……」
「着替え終わりましたよイクシアさん。良いコーディネイトですね、流石です」
「おかえりなさい。ふむ……なるほど、確かに良い組み合わせですね……実はそれ、参考になるかと思い買った雑誌の組み合わせを丸写しした物なんです」
そう言って彼女は一冊の雑誌を広告の束から抜き出して見せた。
「今は寒いですからね、上からコートを着てくださいね?」
「了解で――ん?」
するとその時だった。イクシアさんの持つ雑誌の表紙を飾っていたモデルさんが、丁度TVにも映し出されていた。
「イクシアさん、TVに丁度雑誌のモデルが出てますよ」
「おや? ……映像だとさらに綺麗な人ですね」
いや、正直イクシアさんもどっこいどっこいなレベルで綺麗ですが。
TVには、地球では珍しい『獣人』の女性が映し出されていた。
『では、来月いっぱいで全ての活動を休止する、という事でしょうか!?』
『そ。っていうか引退かも? 進学して卒業して、そしたらグランディアに戻る事になりそうなのよね』
『しかし、学業と芸能活動を両立するという方法も――』
『あー無理無理、ワタシそんな器用じゃないし、そもそも進学先厳しいところだからさ、許可って取れないんだよね』
へぇ、思ったよりも若いみたいだ。いや獣人だから人間換算だとどうだかわからないけど。
「珍しいですね、フォクシーテイル族が自分の故郷から出てくるなんて」
「そういう名前なんですか? 獣人の中の種族名ですか?」
「はい。エルフと同じく、サーディス大陸出身の種族ですよ。かなり希少な種族で、見ての通りあの美貌も種族の特徴と言えますね」
「へぇー……」
エルフよりも淡い色の黄金の髪に、画面の中で揺れている大きな狐の尻尾。
耳も綺麗な黄金色だ。なるほど……なんというか、綺麗な人がコスプレしてるみたいでかなりビジュアル的に魅力的な種族さんですな。
『あ、そうそう。最後の大仕事で世界樹事件の討論? それのMCが私だから、絶対見てよね? 私の先輩になる人達も出演するみたいだから』
『おお! ではシュヴァインリッター総合養成学園に入学されるのでしょうか』
『推薦合格したんだよねーあそこ。だから取材もNGだからね? あそこの理事長さんめっちゃ恐いので有名らしいから』
お? え、じゃあ学園に元芸能人が入学するんか。
はー……天は二物を与えずっていうのは嘘なんだなぁ……シュヴァ学に入れる実力まであるのか。
……あれ? でも俺のクラスにいる女子って全員凄い美人だよな。どうなってんだ。
「ユウキの後輩になるんですね。なんだか不思議な感じがします」
「ですねぇ。まぁ正直下級生とはあまり関わらないですし、遠巻きに見ておきますよ」
「ふふ、きっと学園が賑やかになりますね。さてと……ではそろそろ向かいましょうか」
「了解です。バスの時間的に丁度良いですね」
それじゃ、久々に都市部へ買い物に行きましょうか。