第百六十話
(´・ω・`)エルデンリングはじっくり進めます
一年くらいかけて
「ユウキ!」
扉が勢いよく開かれ、現れたのはイクシアさんだった。
知ってた。そうか、そういう方法でこっちの正体を……!
「イクシア様!? お久しぶりです、イクシア様」
「ユウキ君のお母さん!? こっちにいたんですね……あの、ユウキ君はここにはいないんですけれど……」
「これはこれはお久しぶりですお二人とも。しかし何を言っているのです? ここにいるではないですか」
来客にかろうじて気が付き、俺に抱き着く前にブレーキをかけたイクシアさんが、ついにこちらに抱き着いた。
やめて! 恥ずかしい! 顔こすりつけないでくすぐったい!
「ユウキ、お帰りなさいユウキ……! 怪我はありませんか? どこか調子の悪い場所は……」
「な、ないですってば……人が見てるので離れてください」
「ええと……イクシアさん、その人はユウキ君じゃないですよ?」
「イクシア様……まさか心を病んで……」
いや違うんです。別に息子を失い、心を病んだ悲劇の母親とかそういうんじゃないんです。
「ええと……実は俺がユウキでした……」
「……へ?」
「……まさか。失礼します、ユウリスさん」
すると、今度はノルン様が俺に歩み寄り、胸に手を当てる。
まるで、何かを探るように。
「っ! 微かに……微かに私の魔力の残り香が感じられます……まさか本当に……」
「ええと……グランディアの魔力の影響で変化した姿……です」
「えええ! うっそー!? ユウキ君? 本当に本当に? 何か証明できる物、あります?」
「……ササハラユウキ。サトミさんと一緒に海上都市で召喚実験を受ける。サトミさんはピコルって名付けたインサニティフェニックスの雛を呼び出す。高校時代は3-A組の学級委員長で、卒業式の後に家族と一緒に回転寿司を食べに行った。……これくらいでいい? 他にも一緒に花火大会を見に行った事とかも言えるけど」
とりあえずこれで信じて貰えますかね……?
「当たってる……本当にユウキ君だ……じゃ、じゃあなんで黙っていたの!? 学院で教えてくれたらよかったのに」
「そりゃあ、状況の説明をする訳にはいかないし、説明するなら諸々の情報全部開示する必要があったから……そうなると、さすがにあの場で話す事は出来ないよ」
「そうですね、確かにリョウカさんの話を含めて教えてもらう必要がありました。……ユウキ様」
俺がユウキだと言う事を納得したノルン様が、改めて俺の前に立つ。
「この度は、我が国の策略により、貴方様の立場を汚し多大なる迷惑を被らせてしまった事、心より謝罪します。同時に、我が国の過ち、罪を未然に防いだこと、計画を阻んでくれた事を感謝致します」
「いや……俺は実行しただけで、それまでの入念な準備はここの人達がやってくれたんです。俺だけがやった事じゃないんです」
「それでも、です。ユウキ様、今回の決着をつける為、私はセリュミエルアーチに戻ります。どうか、お力をお貸しください」
「……勿論です」
ノルン様は、心の底から感謝をしていると感じられる、真摯な言葉で向き合ってくれた。
俺も、それに応えて見せよう。
「ユウキ、それでは魔導具の解析はもう済ませたという事なのですか?」
「はい。セシリアは黒幕で間違いありません。……俺は、この後ノルン様と直接あの国に乗り込むつもりです」
「そうですね、あちらに向かうメンバーや交通手段を手配する必要がありますね。後程、ロウヒを含む全メンバーで会議をする必要があります。リオさん、六光とロウヒに連絡をお願いします」
「はいはい。んじゃ、ついでにニシダ主任にも伝えておくね」
っと、そうだ。俺は収納していたデバイスの鞘を取り出し、リオちゃんに預ける。
「おっも! あ、そっか。これ主任に預けてきたら良いんだよね?」
「うん、お願い。これで俺のデバイスも修復出来る……」
「では、この場は一時解散とします。積もる話もあるでしょう。後程、招集をかけるまで自由にお過ごしください、ノルン様、サトミさん」
一度談話室……いや、会議室だろうか? 以前会議で使用した、イクシアさんが窓を破壊した大部屋へ移動する。
「あ、窓が直ってる」
「ええ、さすがにあのままには出来ませんから。……反省しています」
「いやー必要経費だと思いますよ? 下手したら人が死んでいたでしょうし」
「……否定はしません」
席に着き、互いにこれまでどんな事があったのかを話す。
まぁ、主に俺がどういう状況に陥っていたのか、その詳しい説明をするのがメインだけど。
「――で、俺達はノクスヘイムの聖地? っていう島で、任務にあたった訳です」
「……その頃から既に、この組織の方とセシリアの間で抗争が起きていたのですね」
「ユウキは、初代聖女様とお話をしたのですよね?」
「ええ。……あの人も、きっと怒っているんだと思います。ナシアの中で眠っている間の記憶もあるみたいでしたし」
たとえどんな事情があったとしても、大切な聖地で育てられた苗を俺は破壊した。
きっと許される事ではないはずだ。
「聖女様はなんと言っていたのですか? 出来れば、一語一句全て思い出してください」
「イクシアさん?」
そういえば、あの人が言っていた。イクシアさんの生前の名付け親だったと。
ならば、お互いだけが知っている繋がり、メッセージのような物があるのかもしれない。
「確か……苗の結界を解く為に、ナシアの意識が失われて初代聖女様が出て来たんです」
あの時、あの人はなんと言った……?
「……最初に苗の前に現れた時……小さく『きっとこれは正しい。正しく世界が道を違うその第一歩』って言っていました。……どういう意味かは分かりませんけど」
いや……でも。俺は一つだけ思い当たる節がある。
聖女様の言った『正しく世界が道を違う』というフレーズだ。
これ……似たような事を言った人を俺は知っている。
ヨシキさんだ。古の魔王。原初の魔王としての魂、記憶を宿すあの人は『正しく』というフレーズをよく使っていた。
なら……同じ時代を生きたであろう聖女様の言う『正しく道を違う』というのは……。
「今回の一連の事件も……ジョーカーは正しいと感じてる……聖女様も同じ考えなんだ」
俺は、聖女に一番詳しいであろうノルン様にある疑問をぶつける。
「ノルン様。初代聖女の物語、歴史っていうのは残っているんですか?」
「ええ、それは勿論。『聖女ダリアの物語』として」
ダリア……やっぱり花の名前、なんだよな。
花の一族ってナシアは言っていたけど。
「それで、何か気になる事があったのですか?」
「……あの『原初の魔王』って知っていますか?」
俺は、ヨシキさんの前世について問う。
「勿論です。現存する三宗教の一つ『魔王信仰』の信仰対象ですからね」
「あ、それが原初の魔王なんですか。……あの、聖女ダリアと原初の魔王って知り合いだったりしたんですかね?」
「ええ、そうですよ。そもそも原初の魔王が住んでいたノースレシアと、我が国セリュミエルアーチは同盟国なんです。その同盟のきっかけは、魔王と聖女が旧知の仲だったからなんです」
「っ!?」
つながった。間違いない、初代聖女ダリアと原初の魔王は同じ考えを持っていてもおかしくない。
だとすると……怒りに燃えるナシアに対して、初代の聖女様は同調するような事はないんじゃないか?
少なくとも……ナシアでなく聖女ダリアが俺に敵対する可能性は限りなくゼロなのでは。
「ユウキ、どうしたんです」
「いえ。ただ……初代聖女様がナシアの身体で俺に敵対するような事はないんじゃないかなって」
「それは当然です。初代様は現世の争いに関与は決してしませんから」
あ、そもそもそういう存在なのか。俺の考察無意味でした。
「なるほど、つまり苗を地球に持ち込んだのはナーシサス様と、護衛のユウキ様達だったのですね。本来であれば、術師団、王族や宰相が同行して行われるはずの儀式ですが……私達王族はこの件を知らされていませんでした。つまり苗が地球に持ち込まれる事を知らずにいた、というわけです」
「よっぽど秘密裏に進められた計画だったんですね。たぶん、地球にもう苗が移動してしまえば、植樹の反対もされないと踏んだんじゃないんですか?」
「恐らくはそうでしょう……苗は本来、とても脆弱な存在です。サーディス大陸には苗を生育する為の特殊な紋章が、大陸全土に巡らされています。地球への移送はほぼ賭けのような物だったのでしょう」
つまり、地球に移動、瞳の力でギリギリ生きていた状態だったと。
そりゃもう『やっぱり苗を返せ』なんて言えないよなぁ。
「……大陸に大規模な術式が仕組まれている……ですか」
「はい。一般には知られていない、王族だけが知る情報です。イクシアさんがご存知ないのも無理はないかと」
「……ユウキ。今回のサーディス大陸への潜入ですが、私も同行させて貰います。こればかりは譲れません」
「え!? いや……俺に止める権利なんてありませんけど……」
いや、でも傍に居てくれた方が俺もイクシアさんも安心出来るしな。
それに……言いたくはないけど、戦力として見てもイクシアさんは頼りになるはずだ。
絶対危険な目には合わせたくはないけど。
「じゃあ、会議が始まるまで施設の案内や周囲の説明をしますね」
夜。それぞれの役目を終えた主要メンバーがアジトに戻って来たタイミングで、再び招集がかかる。
「集まって下さり感謝します。御覧の通り、リオさんとユウキ君が無事任務を達成し、本日帰還しました。また、今回新たに協力者としてセリュミエルアーチ王国第二王女のノルン様と、同じく付き人であるサトミさんをお迎えしました」
会議室に集められたのはロウヒさんに六光、ニシダ主任にリオちゃん、ノルン様とサトミさん、俺、イクシアさんにリョウカさん、最後にUSMのメンバーと思われる男女だ。
……確か、俺が最初にこのアジトに来た時に反発してた二人組だな。やっぱり主要なメンバーだったのか。
「では、まず回収した魔導具『フェアウェルの瞳』の解析結果をリオさんから報告してもらいます」
そうして、リオちゃんの口から今回の首謀者、黒幕のセシリアの名が告げられ、既に後ろ盾としてファストリア魔導学院の口添えも期待出来る事、そしてこの場にいるノルン様が糾弾の為に立ち上がってくれる事を説明する。
「次に、サーディス大陸での動き、及び移動方法について詰めていきたいと思います」
リョウカさんが次の議題に移ろうとしたその時だった。
大人しく話を聞いていた六光が静かに手を挙げる。
え? 六光がなんで?
「その前に……俺に筋を通させて貰えないか、総帥さんよ」
「と、言いますと?」
「……ノルン・リュクスベル・ブライトさん。アンタにだ」
「私、ですか?」
思い出す。そうだ、こいつは……任務の為の狂言とはいえ、一度ノルン様を誘拐しようとしたではないか。
「俺は、以前秋宮の動向を探る為、この総帥さんじゃなく妹、秋宮リョウコの方に雇われていた事がある。そこで、俺はアンタの誘拐の任務を引き受けた。……元々成功する見込みのない、狂言のような物だったし、助ける算段も用意されていた。それでも俺はアンタに害を与えた張本人だ。すまなかった、ノルンさん」
おお……すげぇ、見直したぞ六光!
お前凄い良いヤツだな!?
「貴方が私を誘拐したのですか?」
「そうだ。元々あんたら王族を良く思っていなかった小さい組織に、俺は雇われ助っ人として秋宮リョウコに派遣された。どの道それを秋宮が救助するってシナリオだったんだが」
「それを、先に俺が助けてしまった、って事だよな」
「そういうこった。結果として坊主は秋宮所属になったから結果は変わらなかったんだけどな」
「……不思議な縁もあるものですね。許しますよ、六光さん。貴方は未来への布石の為、成すべき事を成した。そして既に過ぎ去り告白する必要のない事を自ら告げ謝罪した。私は、貴方のその心意気に免じて許そうと思います」
「……面目ねぇ。感謝するぜ、ノルンさん。俺も、今回の任務には全力を注ぐことを約束しますぜ」
六光の謝罪が済み、リョウカさんが話を戻す。
「今回のサーディス大陸の潜入は、恐らくセシリアも想定済みでしょう。ノルン様が学園を休学した情報は間違いなくあちらにも伝わっていますし、魔導具を奪取された事からも予想がつくはずです。遵って、相手は既に対策を立てていると見て間違いないです」
「そうなると、こちらに攻勢に出る可能性もあるな。リョウカ総帥、ではこちらの防備と潜入の二班に分けるのが良いのではないか?」
「ええ、そうなります。ですので、六光、リオさん、ロウヒの三人は今回、このアジトの防備に回ってもらいます。土地勘、USMのメンバーとの連携を考えた上での決定ですが、異存はありませんか?」
「私はとくに無い。現状、この施設にはUSMの関係者家族いる。非戦闘員も含めたらそれなりの数になる。いずれも地球出身者や、地球人と家族関係にあるグランディア人だ。彼等が襲われでもしたら、それだけで地球とグランディアの関係に亀裂が入りかねないだろう」
「俺もまぁ、さっき全力で挑むつもりって宣言した手前、防備に回されるのはちょいとバツが悪いんですが、これが一番良い役回りだってのは理解してますわ」
そっか。考えてみればUSMって拠点を転々と変えているって話だし、どこかに狙われている可能性だってあるんだよな。
「ん-……私は出来ればセリュミエルの方に行きたかったんだけど……ユウちゃんはそっちに割り振られるんでしょ?」
「ええ、そうなります。ですがリオさん、貴女はUSMの最高戦力とも言えますからね、やはりこのタイミングを狙われる可能性もある以上、貴女にはここにいてもらいたいんです」
「ん-……そうだね、これは私の我儘だ。うん、今回はこっちに待機するよ」
リョウカさんの話は続く。
「今回、飛行機は使いません。定員オーバーもありますが……正規ルートで『旧都セリュー』の港を目指します。あの大陸で非公式な方法で入国するのはリスクが高いですからね。ステルスで着陸できる場所を見つけられたとしても、察知される恐れがあります」
「はい。我が国は大陸全土に紋章が張りめぐされています。大規模な魔導や魔導具の使用は、相手方に察知される可能性があるのです」
「ええ。それともう一つ。あちらでノルン様は王城を目指す事になりますが、それを警護出来る立場の人間を仲間に引き入れます。さすがに、我々が付き従っているだけというのは怪しすぎますからね。万が一こっちの潜入がばれても、身分のはっきりした護衛を引き入れておけば対処も容易ですから」
まぁ少なくとも俺は変装する事になるし、不審者だろうな。
「旧都には、古くから王族の専任衛兵を排出している名家があります。ユウキ様、貴方もよくご存じの方ですよ」
「俺が、ですか?」
「……ユウキ君の離反の責任を取らされる形で、グランディアに更迭されたジェン・ファリル先生です。個人的にも、彼女を迎えに行きたいと考えています」
「ジェン先生……はい。俺も、先生を迎えに行きたいです。俺の所為でそんな事になったなら……迎えに行くのは俺の使命でもあります」
そういえば、凄い武門に秀でた名家だって聞いたな。きっと国での信頼も厚いだろうし、ノルン様の警護にはもってこいだ。
「ジェンと合流した後、セリュミエルアーチ王城へと進みます。もしもノルン様の帰国が早々に研究院にバレても、ファリル家が護衛にいては妨害も難しいでしょう。無論、警護にはユウキ君も変装して付き添いますし……今回は私も同行します。戦力として見て下さって構いません」
「リョウカ総帥自らが出る、か。本当に最終局面という事か」
「あんた戦えるのか? 一応今の総大将はあんただ、直接出るってのは……」
「一応……そうですね、自分の身を守るくらいは出来ますよ」
そういや俺、リョウカさんが戦うとこって見たことないや。
ジェン先生曰く、学園最強らしいけど。
「よく言うよ。アンタ……その気になれば一人でもノルン様を守り切れるんじゃない?」
「買いかぶりすぎですよ。私が強いのはあくまで特定条件下でのみです。それも、優秀な仲間がいた場合に限ります」
「では、サーディス大陸に向かうのはノルン様、従者のサトミ君。リョウカ総帥にユウキ君の四人という訳だな?」
だが、イクシアさんも同行すると言っていた。
「はい、そうなります。今回はニシダ主任にはここで待機してもらうつもりです。彼女にもしもの事があってはいけませんからね。さすがに敵地に連れていく事は出来ません」
「部下にはとことん甘いよねぇリョウカ」
いや、たぶんヨシキさん怒らせたらまずいからだと思います。
世界の調停者って感じだけど、身内にはとことん甘いというか……。
「リョウカさん、今回は私も同行させて頂いて宜しいでしょうか? 次にユウキ達の向かう先は魔術国家とも呼べる地……私の力は必ず役立つと思います。……お願いします」
「……イクシアさん。そうなってしまうと、貴女を戦力として見なければいけなくなります。……貴女の平穏を乱してしまう可能性もあるのですよ?」
「……それでもです。予感がします。あの大陸は……きっと今、再び歪んでいる」
イクシアさんは、何故だかいつもよりも深刻な様子で話している。
再び歪んでいる……? イクシアさんは何かを知っているのだろうか。
「……極力、戦いには参加しないようにお願いします。ノルン様、イクシアさんは訳あってセリュミエルで目立つ訳にはいかなのです。特別扱いのようで申し訳ありませんが、その上での同行を許可して頂けますか?」
「はい。それはきっと……イクシアさんが王族だから、なのですね? 詳しくは聞きません。ですが、同行を許可します」
「ありがとうございます、ノルンさん」
そうして、サーディス大陸に潜入するメンバーが決まり、会議は一先ず終わりを迎えたのだった。
「ユウキ君、貴方のデバイスなんだけど、修復にはまだ時間がかかるから、今回の潜入には間に合わないと思うの。だから……うん、もうしばらくはその刀を使って頂戴」
「え、まぁそれはいいんですけど……これ、ユキとしてカイ達の前で使ってるんですけど大丈夫ですかね?」
「まぁユウキ君のデバイスを壊したのは彼等だし、ユキさんから借りてるって事で問題ないんじゃないかしら?」
会議が終わり、ラボに呼び出された俺は、デバイスについての相談を受けていた。
「なるほど、了解です。出発は確か三日後ですよね?」
「ええ。出来るだけ作業は早めるつもりだけど、期待はしないでね。これ、元々は制作に二月以上かかってるんだから」
「そんなかかるんですねやっぱり。武器については了解です。これ、かなり手に馴染むので」
ラボを後にした俺は、そのままアジトの屋上へと向かう。
外は寒いけれど、なんだか気が急いてしまって、落ち着きたいんだ。
外の空気でも吸えば――
『……やはり、王族だったのですね』
『いえ、違います。ですが……血は引いています』
『お母様の関係者……ではないのですよね?』
『ええ。残念ですが、こればかりは偶然です。お母様と私は……そんなに似ていたのですか』
『……魔力の質は似ていませんが、お姿だけならば……本当に……生き写しで……』
……邪魔しちゃいけないな。
俺は、屋上にいるであろう二人の会話を遮るまいと、他の場所を探すのだった。




