第百四十二話
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「集まって下さり感謝します。本日、ロウヒが先方……つまり『もう一方の勢力』の使者と会って来たそうですが、そこで新しい情報を得られました」
夜。予告通りリオちゃんに六光、それにロウヒさんに俺、イクシアさん。そして昨日途中で退席した二人が会議室に呼び出されていた。
そうか。組織を抜けるって話はなかったことになったのか。
「貴方達は元々、世界樹の苗を破壊すると同時に、植樹地の調整の為に提供されたという魔導具、地脈や魔力の流れを一か所に集めて場を整えるという魔導具『フェアウェルの瞳』を奪取してくるのが目的でしたね?」
「ああ。しかし、苗の破壊に留まる事しか出来なかった。どうやら、あの魔導具は一度設置してしまうと、一定期間は取り出す事もままならない物だったようだ」
「それでは、今回貴方が持ち帰った情報を皆さんに報告してください」
ロウヒさんはその協力関係にあった人間からもたらされた情報について語る。
「あの魔導具は、どうやら苗と引き離された事により、再び魔力の調整、場を整える為に一度地表に現れているらしい。我々が向かった時は地脈の奥底に眠ってしまっていたが、現在は厳重に守られているとはいえ、地表に出てきていると」
「世界樹の苗が失われた以上、場を整え続ける意味はありません。恐らく本来の役割が終わる前に回収してグランディアに返却されるだろう、というのが先方の読みだそうです」
「ああ。だが、連中が地球に持ち込まれたフェアウェルの瞳を奪取するだけとは思えない。それに移送を任されているであろう人間や、警護の人間を無事に済ますとも思えない。十中八九、再び大きな火種を生みだす事になるだろう」
ふむ……苗の破壊だけが目的じゃなかったのか。
「そして、リオの読みではあるが、苗そのものよりもそのフェアウェルの瞳にこそ、今回の世界樹植樹計画の肝、魔力の逆還元、地球の魔力枯渇の為の仕組みが隠されているのではないか、と。解析の為にも、是が非でも我々が手に入れる必要があるという訳だ」
質問。それっていくらでも偽造出来る物なのだろうか?
もしそれが絶対に外部からいじれない仕組みなら……セリュミエルアーチの目論見が世に出るきっかけになるんじゃ?
「質問、良いですか」
「なんだね、青年」
俺は今思った事を訊ねる。
セリュミエルアーチに対する逆転の一手にはなりうるのか? と。
「残念だが現時点では不明だ。だが結果次第では、一気に旗色を変える事が出来る。仮に……仮に反撃のきっかけになるのであれば、協力をしてくれるかもしれない相手にも心当たりがある」
「なるほど、質問は以上です」
ふむ……全ては回収後、か。
だが問題は、前回と違い、あの植樹地の警戒度が段違いだという事。
そんな魔導具、なんたらの瞳っていうのがあるなら、当然それを守ろうと考えるはず。
そして仮にセリュミエルアーチの、セシリアの思惑を証拠づける何かがあるのなら、是が非でも回収したいのだろう。
奪取の難易度はたぶん、苗の破壊よりも難しい。
「問題は地球に奪いに行くか、グランディアで待ち受けるかだ。私としてはグランディアで待ち受け、海上を輸送中に奪うのがベストだと考えているが」
「ん-、それだとちょっと悠長過ぎない? もしもセリュミエルアーチにとって不利な証拠があるなら、速攻で破棄されちゃうんじゃない? 下手したらグランディアに到着した瞬間破壊されるかも。確保が条件なら、やっぱり向こうに回収される前じゃないと」
「……確かに仮に何かサーディス側の思惑の証拠があるならその可能性もある……か。だが、現状警戒されている植樹地に送り込める人間は限られている。無論、戦力的にも」
確かに、絶対にあそこを守るとしたら……クラスメイトだったみんながいる可能性もある。
グランディアの人間の中でも、かなりの腕前がないとみんなには太刀打ち出来ないのではないか?
「ロウヒ、私が前回身体の負担を無視してまであの薬でこの姿になっていたの、どうしてだと思う? 戦力増強の他に……『私のあっちの姿を秘密にする為』なんだからね? 今回の任務は私一人で行く。さすがに女の子を警戒なんてしないでしょ?」
「あ、そうか……! リオちゃんなら……あの姿でも十分に戦えるか」
たぶん、俺と戦った時は思い切り手加減してくれたんだろうな。
なんだか凄い技も使っていたし。
でも、あの頃の俺は今よりもずっとずっと弱かった。それを考えると……。
やっぱり一人っていうのは……。
「現状、聖女は既に地球を去っている。だがその反面、配備されている兵士や兵器、それに青年の……SSの生徒も配備されているだろう。一人で大丈夫か?」
「ん-……私直接あの子達と戦った訳じゃないからなんとも言えないけど、ロウヒの見方だとどう?」
「……そうだな、警戒すべきは一之瀬の長女と……あの魔族の青年か」
「意外だな、おりゃてっきりあの雷の坊主だと思ったが」
一之瀬さんとアラリエル……?
確かに意外だ。カイかカナメの方が警戒度は上だと思ったけど。
「ふうん、魔族もいたんだ」
「ああ。恐らくは北方の出身だろう」
俺も、作戦の為に情報を出すべきだろうか。
……クラスメイトを売り渡すみたいで……俺は嫌だな。
聞かれない限りは黙っていよう。うん……これだけは。
「北方魔族……リョウカ、生徒の情報、出せる?」
「一応、彼等もユウキ君同様、利用されているような状態です。くれぐれも命を奪うような事しないで……と言いたいところですが、貴女一人では万が一もありますか」
「なるほど、生徒の情報は出さないと。ちゃんと理事長してるじゃん。少し見直してあげる。ま、私でも多少は苦戦する、と。不殺じゃちょっと面倒そうだね」
「だが、さすがに彼等を殺すのは、ここにいる秋宮リョウカと青年の協力をこれからも得るには最低限の条件だろう。そうだな? ユウキ君、リョウカ」
「当然です。出来れば人的被害は最小限にとどめてください」
「俺も、クラスメイトだけは……さすがに無傷ってのは難しい思いますけど、殺したり重症を負わせるのは」
生きていたらそれでいい、なんて言わない。幾らこの世界に魔法があっても、大怪我は……。
「あーあ……思ったよりも高難易度のミッションになりそうだねー、これ。誰か適当に人間つけて――と思ったけど、足手まといになっちゃうかな?」
「現状、この部隊の練度であの子達と渡り合える人間は限られる。拠点の防衛の事も考えると、人員を割くのは難しいだろうな」
俺が手伝う……のは無理か。一番有名なのは俺まであるからな、地球だと。
「あの、生徒さん達を守る為でしたら、私が手伝う事も可能ですが」
するとその時、イクシアさんがとんでもない事を言いだした。
「ダメだ! 折角会えたのに……!」
「ええ、イクシアさんはダメです。リョウコはこれでも秋宮の総帥として、可能な限り情報を得ているでしょう。全てではありませんが貴女の情報も入手しているはずです」
「そうですか……私も、生徒の皆さんとは面識がありますから、つい」
よかった。イクシアさんをそんな危険な任務に行かせるなんて。
「むぅ……せめてもう一人くらい私くらい強い人間がいたらなー。やっぱり人材育成にもっと注力するべきだったよ?」
「確かにそうだな。こういった危険な作戦に耐えうる人材が我々には少ない」
「仕方ねぇでしょう。本来そういうのは俺やロウヒ、リオの姐さんの仕事でしょう。だが今回は俺もロウヒも出られねぇってんだから。坊主もまぁ……無理そうだしな」
「そうですね、生半可な変装は逆に怪しまれるでしょう。一応こちらにも一つ、イクシアさんが使用していた変装の魔導具はありますが、変装後の顔は固定、そしてその顔はあちらにも割れていますから」
「あーあーヤダヤダ。地球の看破の魔導具ってこっちより高性能だからなー」
ここは、リオちゃんが無事に作戦を済ませる事を祈るしかない……か。
するとリオちゃんも諦めたのか、覚悟を決めた様子で作戦の詳細を煮詰め始めていた。
「私のデバイス、二型と三型用意して。近接メインになりそうだしさ。あーあ……ねぇリョウカ、向こうにまだ使える戦力っていないの? 今の秋宮に懐柔されていなさそうな」
「残念ながら、そもそも総帥の入れ替わりに気が付いている人間すらいないでしょうね……今回、地球側で戦力をこちらから出す事は出来ません」
「ゲー……じゃあ最悪ほら、あのお姉さん出てくるかもじゃん。私、さすがにアレ相手しながらユウちゃんのクラスメイト凌ぐ自信ないよ?」
なんと……さらに隠し玉が秋宮にはいたと。
「はて? あのお姉さんとは?」
「ほら、だから去年の文化祭? とか言うヤツのイベントで、SSの生徒と戦ってた超強いアンタの秘蔵っ子の事。絶対出てくるでしょ……たぶん現状の秋宮の切り札だろうし」
その瞬間、室内の空気が固まった。
……いや、正確にはリョウカさんと俺とイクシアさんが固まった。
「ふむ。秋宮リョウカ、件の女性は君が『ダーインスレイヴ』とコードネームを付けている人物と同一人物だろう? 彼女は現在も地球にいると思うか?」
「……え? いえ、いませんよ確実に……なるほど……その手が……」
待てリョウカさんどの手だ。
俺は折角ここに来られたのにまさか?
いやだぞ、絶対に……! これ以上人に知られたくないし!
「皆さん、良いお知らせがあります。ダーインスレイヴこと私の懐刀、ユキですが……彼女の協力は確実に取り付ける事が可能です。今思い出しました」
「え、マジ!? あのお姉さんの協力があるなら難易度はぐっと下がるよ! いやー……あのお姉さんなら子供状態の私より強いもんたぶん。そのままこっちの組織に引き抜いたり出来ないかな?」
「出来ますよ。というかもうこちらに来ています」
やめろぉ!
「やめろぉ!」
やべ、つい心の声が。
「え、なに突然。どうしたのユウちゃん。流石に……元クラスメイトの為とはいえ、この作戦の中断は出来ないからね」
「い、いや……そうじゃなくて……リョウカさん。俺は長い旅の果て、ようやくイクシアさんと再会出来ました。ですが……再び地球に向かうとなると、また二カ月の時間、往復で四カ月です。作戦の期間を考えるともっと……俺は……俺はもう……」
もう、離れたくない。
「いえ、移動はそこまでかかりません。……実は、あるお土産を頂いているのです。移動はそうですね、往復四日程度で済みます。作戦行動でさらに期間は前後するでしょうが」
「え、何? なんのこと?」
「ふむ? それはドッグに保管されているあのコンテナか? あれは一体なんだ」
いや、時間の問題だけじゃない。俺は……でも確実性を考えるなら……。
「実は貴方達が帰還してくる一週間程前に、ここをある人物が訪ねてきました。そして素晴らしい置き土産をしていってくださったのです」
「もったいぶるね、なんなの?」
「個人用の高速ジェット機ですよ。しかも、この世界で飛行を可能とする証と共に」
「な……! 不可能だ! 空は魔神龍の領域だ、それを侵すなど……」
ジェット機……? たしかにそんなのがあれば移動時間を大幅に短縮出来るけれど……。
でもここって飛べない世界じゃないのか? やばいドラゴンがいるとかで。
「それを手配したのが……ジョーカーだとしてもですか?」
「なんと……! ここにジョーカー殿が来たのか!?」
「ええ。そして彼は空を自由に飛ぶことが出来る。それを可能とする証も一緒に置いて行ってくれました」
マジかよ。ヨシキさんここに来ていたのかよ。
……あ、でも考えてみたらニシダ主任がここにいるって事は……。
「正直、足が手に入るのはとても助かるよ。で、肝心のあのお姉さんの協力はどうやってとりつけるのさ」
「……問題は本人の意思ですね。ユウキ君、協力お願いできますか?」
……これは、クラスメイトだけの問題じゃない。
リオちゃんなら大丈夫だと俺は無意識に思い込んでいたけれど、俺やリョウカさんの為に、リオちゃんが逆に危険な目にあう可能性もある。
クラスメイトもリオちゃんも無事で済む可能性が高まるなら……俺は、俺の我儘より任務を優先すべきなのか……?
「ユウキ。私は、勿論心配をしていますし寂しいと感じています。ですが……いつか全てが元通りになった時……そこに誰かが欠けていたらどうしますか……?」
「……そうですよね」
「無論、ユウキが欠けてもダメです。ですが……私はいつも通り、私の息子の強さを信じています」
分かってる。そうするのが一番だ。
だったら……そうするしかない。
「え、なに? ユウちゃんが説得してくれるの? あのお姉さん」
「まぁ、その……リョウカさん、ここで言いますか?」
「ええ、情報は共有すべきでしょう」
ええい……!
「実は――」
俺は、全ての事実をここで語る。
ユキことダーインスレイヴは俺であり、秋宮のエージェントとしての立場を表沙汰にしないための仮の姿だと。
「なんと……! クク、クハハ! では去年の夏休み、あの段階で君はもうあれほどの力を! これは、これは愉快だ……!」
「うっそー……確かにあっちのユウちゃんちっちゃいけど……ああなる? え、凄くない?」
「ちっちゃいいうな! ええ、そうです。俺はかなり早い段階から力の制御の為に色々やって抑えてたんです」
「しかし、敵対こそしていなくてもユキという存在は十分に秋宮でも警戒されているだろうな」
「ええ。ですが、同時にリョウコはユキを取り込もうと接触してくる可能性があります。逆にチャンスでもありますよ、これは」
「と、いうと」
まさかリョウコ、妹を殺せと……?
「真実を突きつけるのに、向こうから接触をしてくるのは好都合だということです。ユキと個人的な関りをリョウコに持たせる事が出来れば、これから先に取れる作戦も増えるというもの」
「……中々綱渡りだな。青年がユキだとバレる可能性はないのか?」
「ええ、あれはR博士特性の魔導具です。解析は不可能です。ユウキ君が全裸にでもならない限り」
「なるわけないでしょう……」
というわけで……。
「では、作戦を纏めます。ジェット機にはステルス迷彩機能がありますが、それはあくまでこの場から発つときの為です。地球では頻発出来ない物とお考え下さい」
「了解。ジェット機の操縦かー……地球にいったら手足縮むから私厳しくない?」
「……ユウキ君、操縦は……」
「出来る訳ないでしょう」
「ではリオさん。地球に到着してから身体の変化までの間にどこかに着陸は可能ですか?」
「ん-……いけると思うけど、どうする? 魔力プラットフォームくらいまでしか持たないけど」
「……石崎家の領域ですね。どうしたものか……」
石崎の爺ちゃんの所か。
あの人は……どっち側の人間なのだろうか。
「リョウカ。悪いけど私達はテロリストなんだよ。ユウちゃんの友達に関係ない場所なら……普通に制圧しちゃうよ? 殺しも視野にいれて」
「っ! それしかありませんか」
「うん、決定。大丈夫、どうせそこまで腕利きがいる訳でもないだろうし、適当に拘束で済ませそうならそうするから」
「……しかしやはりリスクがありますね」
するとその時だった。どこか申し訳なさそうに会議室の扉がノックされた。
「あ、あのー……ちょっとお話があって来ていたんですが……お話が聞こえてしまって」
「ニシダさん……申し訳ありません、今ちょっと――」
「あの、私あの飛行機操縦出来ます。だって……途中であれの操縦、私が交代していましたから」
おっと! ここで大きな助け舟が! これなら……!
「本当ですか? あの飛行機は確か四人乗り……十分な余裕はありますか」
「まってリョウカ。このお姉さんって非戦闘員だよね? 身の危険もある以上、作戦に関わらせるのは反対かな、私は」
「あ、それについては大丈夫と思ってくれて構いません。私はたぶん……世界一安全な人間ですから」
「……ですね。向こうに到着し次第、彼に連絡を」
そうか、ニシダさん相手ならジョーカーことヨシキさんも動いてくれるって訳か……!
……あの人、案外シスコンなのかな。
「では、ニシダさんには飛行機で地球へ向かい、そのまま直接オーストラリアに――」
「いえ、その前に一度海上都市に立ち寄るべきかと。あそこにはリョウカさんの個人用の飛行場がありますよね。飛行機はそこに隠した方がよろしいかと。ステルス機能も、僅かな間だけでしたら地球でも可能な程の魔力の蓄えはしてあるそうですから。直接オーストラリアに向かうのは、やはりリスクが高いです」
「……用意がいいというかなんというか。あれ、誰が作ったんですか」
「R博士ともう一人の……義姉が」
ああ、そういえばヨシキさんって奥さん二人もいるんだっけ。
もげろ。爆ぜろ。
「私は飛行場に潜伏しておきます。ユウキ君はそこでユキに変装をして、そちらのリオさんと一緒にオーストラリアに向かうのが宜しいかと」
「……ですが、現状近づく事すら難しいでしょう。ユキ、貴女にはもう一つやってもらう事が出来ました」
え、まだなんかあるの……?
「ユキとして、リョウコとコンタクトを取ってください。貴女をオーストラリアの防衛に回せるよう、どうにか説得して自分を売り込んで下さい」
「……あの、いきなり難易度が跳ね上がったんですが」
「……今の状況なら、あの子はきっと人材を手に入れる為冷静さを失っているでしょう。今、ニシダさんが去った事で更に追い詰められている。そこに消息不明だったユキが現れ、耳触りの良い事を言われたら……揺らぐ、でしょうね。あの子はそこまで強くはない」
俺が……騙す? 出来るのか、そんな事が。
「では総括します。リオさん、ユウキ君を乗せた飛行機をニシダさんが操縦、直接地球の海上都市へと向かう。その後、秋宮総帥であるリョウコと接触、オーストラリアへの派遣を勝ち取る。不可能であった場合は、リオさんと二人でオーストラリア入りを果たし、強引にでも植樹地へ向かう。その後……魔導具の回収に訪れるであろうセリュミエルの一団を襲撃、魔導具を奪取した後、ニシダさんが操縦する飛行機でオーストラリアを脱出」
「あの、何気に私の役割増えていませんか?」
「ええ、申し訳ありませんがアテにさせて頂きます。これは……ユウキ君の地位や、生徒達の自由。そして地球の未来がかかっています。利用出来るものはなんでも利用する事にしました」
「……ジョーカーをも、ですか」
「……はい」
そうして、作戦が煮詰められていく。
また、イクシアさんと離れ離れになってしまう。でも、これは……イクシアさんとまた、大腕を振って地球で暮らす為に必要な事……なんだよな。
「ユウキ。今回の私は、この安全な場所でしっかり貴方の帰りを待っています。……もう、誰もいない、私のいない家に一人戻るとういう事はありません。それだけは安心してくださいね」
「イクシアさん……! はい……! 必ず戻ります、もう……あんな思いはしたくないし、させません!」
待っていてくれている人がいるのって、こんなに心強かったんだな。
「じゃ、今回は私とユウちゃんの任務か……ちょっと感慨深いかも」
「はは……確かに。俺としては再戦が楽しみだったけど」
「あ、じゃあそれはこの会議が終わったら訓練でもしよっか」
「お、本当!? 今の俺凄く強いからなー?」
「えー? 私もめちゃめちゃ強いよ? なんてったってこの身体だからねー?」
まだ、クラスメイトと戦う事になるかもしれないという事実に対して後ろ向きな気持ちもある。
でも……その先に未来の為に。そしてみんなの危険を少しでも下げる為に。
俺は今一度戦おう。大切なクラスメイトと――
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