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9話「ヘイムの問答 前編」

*1

「おい、お前ら何してんだ!」



 私は声の方向を向いた。ゴムスーツを着た変な人がいる。ヘルメットを被っているから顔が見えない。



「……ヘイム?」


「ああ、そうだ。何やってんだガラガラ、ゴート。また、喧嘩か?」



 あの人がヘイム? 外見が変わっている……。



「……兄さんとの決着を邪魔しないでよ」


「泣くと女みたいな口調になるなゴート。まあ、いい。

 俺の顔でここは引いてくれないかゴート?」


「……に」



 その時だった。背筋が凍りつく光景が見えた。寸止めでヘイムが片手で持てるハンマーを右手に持ち、ハンマーをゴートの顔の前で止めていた。

 おかしい、あのハンマーはどこから出した? どうやって生成した?

 生成しているところはなかったしあった時は丸腰だった。なのにどうしてハンマーがあらわれたの?



「……わかったよヘイム」


「わかるならよろしい。ささ、帰った」



 ゴートはすぐに砂煙を出して消えた。早く動いたからだろう。でも、先のヘイムの動きはなんだろう?



「さてと、お前たちも疲れただろ。ちょうど家に誰もいないから来なよ」


「……いいですか?」


「ああ、大丈夫だ」



 ヘイムは私たちに家を案内させた。



*2

 私たちはヘイムの家に入る。中はたくさんの作られたものが置いてあった。

 剣、槍、ドライヤー、ノートパソコン、光線銃となんでも作った感じがする。

 椅子と机もあるけどこれも自作と思われる。



「どうだ、俺の家。暇すぎて作ることに熱中しているんだ」


「……家もですか?」


「そりゃあそうだろ。コーヒーはどうだ? 自家製だぜ」



 ヘイムは戸棚からコーヒーパックを出した。あの戸棚とコーヒーパックも自家製なの?

 赤いプラスチックのコップを2つ持ってきて蛇口からお湯を出しコーヒーパックを入れた。



「時間があるな……」



 ヘイムが何か考えている。

 私とガラガラは黙った状態でコーヒーを飲みほした。すると、ヘイムは口を開き。



「おい、外に出ようぜ」


「え?」


「ここじゃあ、物が壊れる。問答がしたい」



 私は黙ってヘイムについていく。



「それと、ガラガラ」



 ヘイムはガラガラに声をかけた。



「どうした?」


「何があっても外に来るな」



 え、どういうこと?



「……ああ」



 私とヘイムは外に出た。



*3

 外に出た。ヘイムは私をじっと見つめて口を動かす。



「おい、ガキ。お前は神様無罪っていうのはどう思うよ?」


「え?」



 何を言い出すんだ?



「知らないのか?

 言い表せば「神は何億人、何兆人も人を皆殺しにしても罪には問われない」ことさ。胸糞悪くねえか?」


「……」


「なんで大勢殺したやつが罪に問われねんだよと言いてえんだよ!」



 ヘイムは地面を思いっきり右足で踏みつけた。地面は右足によって踏みつけられたところから地割れが起きた。



「世界を管理しているから無罪放免? 権力高いから問題ない? 創造されたから殺されても文句ない? ふざけんなカスが!

 どんなクソでも神にも罰が必要だ! 大勢殺したやつはまた大勢人を殺す! ならば、神も殺して当然だ。

 神といえど罰は必要。どんな形であろうと必要だ」



 そうか、ヘイムは憤っているんだ。この世に大勢を殺した神が何柱もいる。それに憤っている。

 どれだけ罪を犯しても自分たちは無罪。殺されるわけがないと豪語するものたちが多くそれを殺したくてしかたないがない。だから、これだけ怒っているんだ。



「あらためて問う……」



 ヘイムは一度深呼吸して私を見た。



「お前は神様無罪をどう思う?」


「大勢殺して私の大事な人を殺した神は許しておけません」


「なるほど、それがメノス様をころす理由か」



 ヘイムは少し考えた。そして、口を開ける。



*4

「ならさ、お前の母親が極悪人だったらどうする?」



 私はヘイムをにらみつけた。何が言いたいのよ……!



「聞こえなかったのか? 極悪人だったらだ。人を大勢殺し、不幸に陥れた大悪党。

 家族といえど許せるか?」


「……」



 この人。



「おい、聞いてんのか?」


「たとえ、私の母さんが極悪人でも家族であることは、変わりません!

 愛してくれたのは事実です!!」


「なるほど……」



 ヘイムはおちついて次の質問をする。



「ならさ、仮にメノス様に勝てる勝算はあるのか?」


「……」



 ここは難しい。


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