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6話「ユリカ対モリヤ」

*1

 まさか、オリジンと戦うことになるなんて。当然よね。ここはメノスの領域「オリジンワールド」。生命の守護者や25体のオリジンが跋扈する世界。

 並の異能使いや、魔法使いは異能と魔法を封じられて殺される。

 だからといってこんなところで死にたくない!



「まあ、一つ言っておこうか。そもそも、お前は私に勝つことなど不可能だ」


「どうして?」


「わかっていることだ。お前がいくら努力をしても絶対に覆せない差というのが存在するのだ。

 オリジンが人間ごときに負けるわけがない」


「……」



 なんだろうこの見下し……。生命の守護者は生命を守るにしても見下すのはどうかと思う。見下して守るのはどうかと思う。なにかあるのかな?



「やけに見下してますけどなぜ?」


「知りたいか……理由を説明する材料がないな」



 オリジン内部で何かあると思う。でも、なんだろう?



「話は終わった。かかってこい!」



 行くしか無いか。私は走りホワイトステッキでモリヤに殴りかかろうとした。魔法は無効化で使えない。ならば、杖で……。



「やはりそう来るか。教えておこうか、それが無意味だとな」


「え?」



 おかしい……こんなことが?

 モリヤの後ろに黒い魔法陣がある。ここはモリヤの力で魔力は消されているのにどうして?



「いいことを教えてやろう。私の異能は無効化「オリジン」、探知、剣だ。しかし、本来ならありえない異能を持つ。私以外なら50万人か」



 まさか……そんな……。



「発動、龍の氷獄!!」



 黒い魔法陣から猛吹雪が放たれた。私は回避することができずまともに受けてしまった。足元が凍りつき体も凍った。



「魔法が使えることだ。相手の異能、魔力、神力、霊力を封じて一方的に魔法を行使する。

 お前はどんなに言っても魔法は使えない。体から炎を起こすこともな」


「こんな……」


「無駄な時間を浪費して何が楽しい? ただの人間としてすごせばいいものを……」



 こんな凍り解いてやる……。



「無駄だ。お前のがんばりなど無意味だ」



 冷徹に私の心をえぐるモリヤの声。



「教えてやろう、お前の戦いなど「無駄」とな」



「え?」



 モリヤが私に心を砕くような心を言う。



「なぜこうも勝てない相手に全力を注ぐ?

 なぜ、世界を創造しうる力の原初神に戦おうとする。

 一人間が原初神に勝てるわけ無いだろ。お前の力はしょせん、そこまでだ。いくら神話の魔法使いといえど生命の守護者を圧倒してもオリジンを超えることはできない。

 どんな力を持っても無効化「オリジン」の前では赤子の手をひねるように簡単だ。わかったら諦めろ」



 ……違う。



「なぜ、こうも追い詰められているのにあきらめない。メノス様は言っていたが人間はオリジンにない引きつける力があるという。

 余計なものだ。メノス様の父は孤独にして一人で何もかもができた。ようは引きつける力などいらない。必要なのは強大な力のみ」


「……」


「わかったか、お前にはそこへ到達していない。勝てないとわかって……」


「違う!!」



 何が起きたのかその時の私にはわからなかった。ただ、あふれ出る怒りがなしたのか?

 それとも復讐心が勝ったのか?

 私の体にあった莫大な魔力が放出した。計測できない力があふれてそれはオリジンの無効化を凌駕した。それだけじゃない、オリジンワールドであるメノスの法すら効かなくなっている。

 まるで、メノスの力に対して抵抗しているような感じだ。メノスに屈したくないという感じだ。



「バ、バカな……こんなことが……」



 あわてふためくモリヤ。が、すぐ余裕を取り戻して笑顔となった。



「いいだろう、お前が私の無効化を超えるなら力を見せてみろ」


「ええ」



 見せてやる! 強くなった私の力を!!



*2

「我は混沌の力を総括せし者の担い手……」


「混沌の手か……ならば、付け加えるか。

 その手にある破壊の右手を私が叶え……」



 かかった。



「発動、魔力直電回路!!」



 私が狙ったのは相手を狂わせる魔法「混沌の手」じゃない。相手のカウンタを狙ったさらなるカウンター魔法「魔力直電回路」。発動、詠唱中の相手に発動して相手の魔法を暴発させて大ダメージをあてる。

 高等魔法だから詠唱破棄すら難しいけど今なら詠唱を偽装する「詠唱偽装」すら可能よ。



「そう来ると思ったぞ。ならば、引き剥がしの法を発動する」



 モリヤの腹から透明な黒い物体が作られそれが離れた。あれは私の魔力直電回路の力だろう。だったら、これならどうだ!



「発動……」


「馬鹿め! すでに私の魔力の一部となっている! くらえ!」



 モリヤは黒い物体を私に向けて投げつけた。詠唱するより早いので思わず避けた。物体は遠くに飛び爆発した。

 が、モリヤはわかっていたと思わんばかりに宙に長剣を5本を創造し投げつけてきた。

 私は薄い結界を張り弾いた。

 それは浅はかだった。



「それを待っていたぁっ!」



 モリヤは私の結界に張り付いた。しまった、モリヤは自身の魔法に還元する気だ。



「だったら。発動! 多段衝撃!!」


「!? しま……」



 私は結界を衝撃波に変換。大量の衝撃波が私とモリヤを襲う。でも、私はこれを想定していたので事前に柔らかい結界を張った。そして、大量の衝撃波が来た。

 モリヤは結界の発動に間に合わず衝撃波をまともに受けて地面に強く叩きつけられた。私は柔らかい結界が衝撃波を吸収し地面に叩きつけられても柔らかく衝撃を吸収し私のダメージは0。

 これでモリヤに対してのダメージはある程度あたえた。でも……。



「なるほどね……」



 モリヤは立ち上がった。傷口が頭のひたいに受けた傷が再生する。やはり、ちょっとの傷じゃあ致命傷にならないか。

 さすが、オリジン。そう簡単に倒してくれない。あれ、傷口から流れているのは赤い血じゃなくて黄色の血?

 おかしい。モリヤは確かに人間の姿をしているし赤い血が流れてもいいのにどうして黄色? でも、いいや。ここからは大魔法で倒す。

 モリヤもその気でいるみたい。大魔法同士で打ち合うか。



*3

「我が復讐、未だ達せいできず!!」


「我が正義、旗は折られたことなかし!!」



 私とモリヤの詠唱が始まる。



「敵は未だ生きており我はそのもの首に刃を突きつけたい」


「この旗を折るものがあらわれるのなら剣を振るおう」



 中間詠唱が終わり後半へ。



「この思いよ! 具現化し我が前に現れよ!!」


「眼前の敵よ! その命を絶たしてやろう!!」



 そして、魔法名へ。



「発動!! 復讐の一撃剣!!」


「発動!! 正義の鉄槌剣!!」



 私の魔法陣から白く光る巨大な剣が。

 モリヤの魔法陣からは漆黒の巨大な剣があらわれた。



「……」



 私たちはお互いをにらみつけた。必ず仕留めてやると……。



「行って!」


「行け!!」



 お互いの剣が銃弾のように早く発射された。剣と剣がぶつかり火花を散らす。普通なら同じ速度で衝突し吹き飛ぶがそうさせない。

 魔力で吹き飛ばないようくくりつけた。絶対に倒してやると。モリヤの剣も吹き飛ばないあたり本気だ。

 私たちの魔力は拮抗状態だ。どちらが退けば勝負が決する。

 私とモリヤ……。どっちだろう?

 でも、負けたくない。



(お前は私に勝つことなど不可能だ)


(無駄な時間を浪費して何が楽しい? ただの人間としてすごせばいいものを……)


(教えてやろう、お前の戦いなど「無駄」とな)


「わ……」



 そうだ、私の復讐は無駄なんかじゃない!!



「私は無駄じゃない!!」



 怒りの咆哮とともに杖が光る。



「ば、ばかな!?」



 モリヤの魔力が押された。モリヤはあせって無効化に切り替えようとした瞬間だった。その行動を私は見逃さなかった。

 私は弱くなった鉄槌剣を砕きモリヤの腹に復讐剣を突き立てた。



「そ……」



 モリヤの体は復讐剣の速度で下半身と上半身が分かれた。ちぎれた上半身は宙を舞い地面へ叩きつけられた。復讐剣は下半身を燃やして剣は壊れた。



*4

「そ……」



 モリヤが口を動かしながら何かがいいたそうだ。私は警戒しながら近づく。

 見立てはどう考えても魔力や異能が使えない。



「そ……」


「……」


「そんな……感情を見下していたのに……どうして……」


「あなたは間違いをした。確かにオリジン第一世代は機械的で強く完成されている。

 己の体を使おうとも戦える力を持っている……」


「わからない……オリジンが……負けるなんて……歴史上……ありえない……」



 確かに、オリジンが人間に負けるなんてありえない。強力な神ならまだしもどうして勝つのかわからない。



「そうだ……感情が無かったからだ。いくら冷静に魔力を扱ったとしても感情という魂を奮い立たせる力がなかった……」


「感情?」


「お前には復讐心があった。それはお前を強くした……」


「そうよ。私はあなた達との戦いに身を投じて自らを強くした。この体が砕かれようとも戦い続けるとあの地で誓ったから」


「……私には感情がなかった……己を奮い立たせることなどできるわけがない……いくら強くても最後は強い魂のあり方に負けたか」



 モリヤが最後にいいたそうだ。



「お前との戦いに負けた。だが、これから得体の知れないオリジンがあらわれる。お前を理解してくるものもいるだろうが、私を倒したことで倒すことを決めるものたちもいる」


「……」


「お前はそれでも戦うのか? 助けてくれるのが一人で結局は一人の中、戦い続けるのか? 諦めるのならいまの……」


「いいよ、私は決めたから。かならず、守護神メノスへ復讐の刃を突き立てる。母が悪だろうけど私を愛してくれた母の姿は確かよ。

 私は母を殺したメノスを許さない」



 モリヤはニコッと笑った。



「それがお前の原動力か……しかと見た……」



 モリヤの体が砕け散った。




*5

「ついにやっちまったな」



 封じられたガラガラが解放され歩いてきた。



「これから大勢のオリジンがお前を殺しに来るだろうな」


「……」


「お前に対して他の連中がどう考えているのかわからないぞ?」



 これから戦いは激化するだろうな。どんな敵が来るのかわからないけど注意しないと。


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