【 第三章 】 EP 3 Battle Against the Ghost
【 EP 3 Battle Against the Ghost 】
【第三章】
「すばしっこ過ぎるっ!!!!」
ズギューッ、ズギューッ!
と…「重たいレーザー砲」を撃ち続けているオレ…
「持ちこたえて」
「あァ、やってはいるが数が多過ぎるっ!一体、どんだけ居るってんだっ!?コイツらっ!!!!」
「残りおよそ、4000」
「4000だとぉっ!?オマエの言う数字は毎度毎度、度肝を抜いてくれるなァっ!?」
ズギューッ、ズギューッ!
「一騎当千って言葉を知っているかっ!?」
「知っている」
「アレでも、一人で1000人が相手なんだ!ソレの4倍っていったら、どんだけのコトに成っているかァっ!少しは考えて貰いてぇモンだなァっ!?」
ズギューッ、ズギューッ!
「持ちこたえて、あと4000なら、対応可能な範囲」
オマエには「対応可能な範囲」なのかもしれないが、オレはなっ!何の訓練も受けていない一介の高校生でしか無いんダヨっ!!!!
「撃ち続けて」
「あァ、今やってるよっ!!!」
ズギューッ、ズギューッ!ズギューッ!……
と、まァ、ナゼ…オレがこんな某ガンシューティングのような状況に置かれているのかと、いうとハナシは少し、さかのぼる…
いつものようにリナに手を握られて「レコレディ・アルト」に連れて来られたオレ…、毎度のコトながら多少、このときだけは悪い気はしない、と、いうのは、男子の諸君ならワカッテ貰えるのでは無いかと…いや、ハナシが反れたスマン…
ナゼ、さっきのようなSTG戦闘シーンにオレが巻き込まれていたのかと、いうと、だ、いつものようにリナに「レコレディ・アルト」に連れて来られたときのコト…
「ふぅ…コレで「何ヶ所目」だ…?」
「43ヶ所…」
「97兆分の43か…、一生掛かってもまわり切らないな?コリャ……」
「アナタの「力」が必要…ワタシ達のような造られたアンドロイドではその「力」に限界がある…」
「ワカッタよ、オレの存在が「宇宙の存続」に必要だっていうんダロ?そういうコトであれば、及ばずながら手伝わないっていうワケにはいかないサ…、オレだって今のこの生活が無くなっちまうなんていうコトには成って欲しくは無いからな…?」
「ありがとう…」
アンドロイドにお礼を言われるとは…、こんなハナシ何処の誰に言ったって信じて貰えそうに無いゼ…
「今日は…この「空間」…」
「あァ、ワカッタよ」
43ヶ所目とも成ると、さすがにオレもソコでの「過ごし方」と、いうのが色々と出来て来て、ハンディモバイルでゲームをしたり、やりたくは無いが学校の宿題をやったりと…2、3時間のヒマを潰すコトなんざ、多感ないち高校生であるオレにとっては造作も無いコトで…
ソレにこうしている間にも自分を媒介として色々な本達が記録されていく、そしてソレら多種多様な情報をただ座っているだけで、頭の中に吸収してイケるというのは、割りと好奇心旺盛でもあるオレにとっては、ソレはソレで充実した時間と成っていた、と、いうような感じで、ま、ソレなりに楽しくリナに連れて来られる「レコレディ・アルト」でのひとときを過ごしていたワケなのだが…
今日のソレは…今まで散々驚かされていたリナのハナシを…ある意味、裏付けるかのような…、コレまでを凌駕する「驚くべき事態」との遭遇だった…
いつものように、モバイルでゲームをしてヒマを潰していたときのコト……
パッ、突然、辺りが真っ暗に成った
「んあ?」
「っ!?」
「なっ!なんだっ!?一体、何があったんだ!?」
「傍を離れないで…」
「あ、あァ…、っていうか、一体なんだっ!?何が起こったっていうんだ!?」
いつもは少々、照明がキツメ過ぎるんじゃないのか?と、いう位に、どっかの「明るい家電量販店」のような感じの眩しい光に包まれている「レコレディ・アルト」…、ソレがまるで「停電」でもしたかのように真っ暗に成ってしまった
「ぉ…ぉぃ、コレ、一体……」
そんなオレに返答をするコトなく、何やら「ひとり言」のようにブツブツと何かを言っているリナ
「エリア・アルトリミア 1775《イチナナナナゴー》 にて異常事態、敵性因子の「侵入」を確認「戦闘許可」を願います…」
な…っ、なんだ?なんか良く聞こえなかったが「戦闘許可」とか言ってなかったか?なんか「物騒なコト」が起きるんじゃないだろうなァ?
バァーーーン!と、壁の一部を強烈に叩くリナ
「なっ、何やってんだ!?オマエっ!」
まるで、突然ヒステリーでも起こしたのか?と、いうようなリナの行為にア然とするオレ…、観ると、リナが叩いた壁が開き、ソコに戦争映画で観るような「ロケットランチャー」のようなライフルのような観たコトの無い、しかし、ソレが「銃器」であるコトが「ひと目」でワカルような物体がソコにあった
「コレを使って」
「使ってって…っ、なんだ!?一体、何が始まるっていうんだよ!?」
「敵性因子との交戦」
「こ、交戦…?」
マジに「物騒なコト」が始まるってぇのか?コレから……っ
「っていうか、コレなんだよ、どう使えっていうんだよっ!」
「フィールディッド・レーザー」
「なんだってぇ?」
「水素融合出力のレーザー砲、ソレでアナタに接近する「浮遊分子達」を遠ざけて」
「とっ、遠ざける!?なんだァ、そりゃあ!?」
「物理的な攻撃による浮遊分子の撃滅は不可能、ただし、その反衝撃力で相手に対し「一定の距離」を保つコトには有効」
「なっ、なんだか知らネェけど、コレで、なんかを撃てばイイってのか!?」
「そぅ…」
「一体、何が「始まる」っていうんダヨっ!?「浮遊分子」とか言っていたな?一体、どんなのが現れるってんダ?」
最初に来たとき「危険な場所じゃない」とか言っていなかったか?ぇぇ、おぃ、ソレにオレは「銃」なんて撃ったコトもネェんだゾ!?いゃ、あるか…ちっちゃい頃、エアガンで…って、そんなコトを言っている場合かっ!このズシリと来る、なんつってた?「フィールディッド・レーザー?」どう考えてもコリャ、エアガンなんかとは全然違う、まさにホンモノの「銃器」って感じだゾ!?色々とハナシが違うんじゃネェのか!?リナよ、えぇ、おぃ!
と、そんなアレやコレやと焦りに焦って色んなコトが駆け巡るオレの頭の中…、ソレの想像を遥かに超えるような連中が…ついに…次々と現れだした!
「来た」
観りゃァ、わかる!
「って、なんなんダヨ、アレは一体っ!?」
「アナタは、攻撃に集中して…取り憑かれたら、終わり…」
終わり?終わりだってぇ!?何が終わるってぇ言うんだっ!?16年のオレの短いと言えば短いと言えるような人生がかっ!?
「コレから何が始まるって言うんダヨっ!?」
「一体も撃ち漏らさず、遠ざけて」
簡単に言ってくれるなっ!何度も言うがっ!オレは銃なんか撃ったコトっ!?
「撃って!」
「くぅ、ちきしょーっ!マジにやんネェとイケねぇみてぇだなっ!?コリャァ!どう成ってもしらネェぞっ!!!!?」
ズギューーーーン…ッ!
その衝撃はとんでもない「威力」だった…、正直、反動で身体が吹き飛びそうに成るくらいのモノ凄い「衝撃」が撃った手から伝わってきた…っ
そのレーザーをくらい吹き飛ぶ例の「浮遊分子」とかいうヤツ
「なっ、なんなんだありゃァっ!!!!!!」
「浮遊情報生命体の成れの果て…、アナタ達の星の言葉で言えば…「幽霊」にあたる存在…」
「ゴーストってワケかっ!?」
「そう…取り憑かれたら…終わり」
「簡単に言ってくれるゼっ!?」
ズギューッ!ズギューッ!
四方八方から現れるそのゴースト達…、オレは撃つ度に掛かる腕へのかなりの「衝撃」に耐えながら、とにかく撃ち続けた…、観ると、壁からもその半透明でトコロドコロがうっすらと怪しげに光りながら、形を成すようで成さない状態で忍び寄るその「浮遊分子」と、やら達…
「く…っ、か、壁っ!天井っ!床からも出てくるゾっ!?んとにっ!?なんなんダヨ、コイツら一体っ!」
「次元と次元の「隙間に出来た空間を利用し、その姿を「具現化」させた情報因子達の最期の姿…」
「あァ、ワカッタよっ!!!!もう何でもイイ!どっからでも掛かってきやがれってんだっ!とにかく近づけなきゃイイんダロっ!」
「そぅ…その間にワタシが片を付ける…」
「オマエが「主役」で「オレは援護」ってワケかっ!なんだか知らネェがァ了解だっ!」
ズギューッ!ズギューッ!ズギューッ!
「アナタには申し訳無いと感じている…、でも、今はレーザーを当てるコトに集中して…」
「ワカッテるよ!取り憑かれたら終わりなんダロっ!ちなみに取り憑かれたらどう成っちまぅんだっ!?」
「彼らと同じ…アナタもゴーストに成って次元の「はざ間」を永遠にただよう浮遊分子に成る…」
「なんだってぇっ!?そんなのはゴメンだっ!!!!い…っ、一応、オレだって人間なんだからな!?この歳で「幽霊」になんかにゃ成りたかネェぞっ!!!!」
ズギューッ!ズギューッ!
「おっ、おぉぉぉいっ!コイツら撃っても全然死なネェぞ!本当に、コレでイイのかよっ!?」
「レーザーで、浮遊分子を撃滅させるコトは出来ない…、アナタはとにかく彼らを遠ざけるコトに集中して…」
「いつに成ったらやっつけられるんだ!?コイツらはっ!」
「残り、あと、4000…10分ほどの時間を要する」
何て言った!?今…4000だってぇ!?コイツの言う数字はいつもいっつも度肝を抜いてくれる「数字」ばっかりだなァっ!?
「ソレまで持ち応えろってのかっ!?足元から出てきたらどうすんダヨっ!?コイツら、四方八方から沸き出てくるゾっ!?」
「「結界」を張っている…、四方3mまでの床面からは彼らは出てくるコトは出来ない…安心して」
何が、どう安心しろって言うんダヨ!全然、安心出来ネェよ!4000体の「幽霊」を撃ち続けなきゃなんネェような状態なんだゾ!こんなトコロで死んじまったらどうすんだ!えぇ、おぃ!まずはパソコンを処分しとけば良かった、中身を見られたら…恥ずかしいのが色々となんて、そんなコト、考えている場合じゃネェ!
ズギューッ!ズギューッ!ズギューッ!
「その「結界」と、やらを空中にも張ってくれりゃァ、イイんじゃネェのかっ!?」
「物質として「固体化」されたモノに対して以外「結界」を維持するコトは出来ない…、常時流動している「空中」への「結界の造成」は不可能…」
「くっ、ったく、じゃ、結局コイツらの殆どをこのズシリと重いフィールディッド・レーザーってのでやっつけネェといけネェってワケかっ!」
「アナタには、申し訳無いと感じている、でも…撃ち続けて……」
「ワカッタよっ!その「謝罪」はあとでタップリと聞かせて貰うとして、早くコイツらを何とかしてくれっ!!!!」
「可能な限り…迅速に対応する…」
ズギューッ!ズギューッ!ズギューッ!……
と…、そんなコトがあり……、リナの言う通り、きっかり10分ほどで…ようやく、と、いうか…例の薄気味悪い半透明のトコロドコロが光っている怪しい「浮遊物体」はその姿を…現さなくなった……
「ふぅ……、終わった…のか……?」
「終わった」
「改めて聞くが…今のは一体なんだったんダヨ…、もう「腕」が疲れてヘトヘトだゼ…」
「……」
「「謝罪」しろ、なんて言わネェからよ、とにかく、何だったのかだけは知って置きてぇんだよ…ふぅ…ふぅ…ふぅ……」
その後、リナは今のコトに対し「責任」を感じている為なのかはワカラナイが重々しく、今の「連中」が何だったのかを語りだした、ソレによると…
「「中性子星と中性子星」の結合時、次元の歪みが発生する…、その場所は、そのすぐ付近の場合もあれば何万光年も離れた場所で発生するコトもありその位置の「予測」は不可能」
「その「次元の歪み」の影響ってのが、今のココに現れたってのか」
「そぅ…」
そんな稀に起こる中性子星同士の衝突…、ソレが「宇宙」のあちらこちらに点在している「レコレディ・アルト」に対し影響を及ぼすコトは、たまにはあるといえばあるというモノの…今回のように、97兆もあるウチの一つの中でその影響と「出くわすコト」はほぼ皆無であり、従って、ソコで「作業」をするオレのような「人間」や「アンドロイド」達がソレに伴って出現する「幽霊」達と出くわす確立もほぼゼロに近い数字に成るというコトで、リナの言う「危険な場所では無い」と、いうのもあながち「ウソ」では無く、リナ自身も「ゴースト」と遭遇したのは「初めて」とのコトだった…
そして説明を続けるリナ
「その「次元の歪み」が生じた際「ダークマター」と成っている宇宙で行き場所の無くなっている「情報因子の成れの果て」達の分子間に「相互干渉」をする力が生じ、そして、その「姿」が具現化する」
「ソレがさっきオレ達が観た「幽霊」達の正体だった、と、いうワケだ…」
「そぅ…」
更に聞いてみれば、今回、オレ達の居た「レコレディ・アルト」に侵入した「ゴースト」は約7000体程で、その内、2000ぐらいは「レコレディ・アルト」の「セキュリティ・シールド」に触れた際に消滅、残った5000体ほどが、具現化した状態でオレ達の前に現れた、と、いうコトだった…
「はァ…何ともはや……5000体の「幽霊」とシューティングしていたってぇのか…」
コイツと居ると…「驚くコト」の連続、と、いうか…、そんな「言葉」では片付けられないようなコトばかりが起こるような気がするゼ…、そんなオレの気持ちを察してか…少し「申し訳なさげ」なリナがソコに佇んでいた…、その姿は…何ていうか、落ち込んでいる一人のかよわい「普通の女の子」って感じで「チョットかわいいな」とか想ってしまったオレが居たのは内緒のハナシだ…
「ま、なんつぅかよ?気にすんなよ、結局、こうして無事だったワケだし…、シューティング・ゲームみたいで面白いっちゃ面白かったしよ、他では得られない「イイ体験」をさせて貰ったよ」
「そぅ…」
「念の為に聞いておくが…、今回とは違うようなまたなんつぅんだ?「敵」みたいなヤツっていうのは居たりするのか?居るんだったらよ、先に聞かせて貰っておいた方が…「腹積もり」が出来るっていうかよ、そんなんだから、聞かせておいてくれよ」
と、いうオレの問いに対してリナは…
「的確には答えられない…」
との、コトだった…、リナを造った「ミーナ・フィリカ」でも宇宙全体のその「全て」を把握出来ているワケでは無く、今回のように、まず「あり得ない」だろう、と、いうような「幽霊」との遭遇や、はたまた…
「「レコレディ・アルト」の「セキュリティ・シールド」を破るコトに「執念」を燃やすハッカーのような「文明生物」が今後、現れないとは言えない…」
と、まァ、そんなようなコトだった…
ふぅ…まァでも、なんにしても、疲れたゼ……、ホンモノの「銃撃戦」ってぇのがこんなにもシンドイものなのか、と、思うと…チョット、二度とあっては欲しく無いっていうような気もしなくは無いのだが…、やはり…男の子なのかなァ?オレは…、例の「フィールディッド・レーザー」を撃っているとき…少しばかりの「爽快感」を感じてしまっていたのは…オレの中だけの「ヒミツ」にしておこう…、何となく、そんなようなコトを想って…、その日のお仕事と、いうか…「レコレディ・アルト」での「作業」を終え、またリナに連れられ、「通常の世界」に戻った…
その日のオレだった…