【 第二章 】 EP 2 Recoledy-Alt
【 EP 2 Recoledy-Alt 】
【第二章】
「んで?オレはココで何をしたらイイんだ?」
「何も、しないでイイ…」
「「何も、しないでイイ」って…じゃァ、一体何をしに来たんだ?このオレは」
「並んでいく書物を眺めていて…」
「ほっ、本当にソレでイイのか?」
「イイ…」
なっ、なんなんだ、その何というか…無味乾燥とした「味気の無い指示の内容」は…
「アナタが見守るコトで…地球のデータが上書きされていくから…」
そういえば、ココは地球上で創られた、ありとあらゆる「文字記録」が保存されている場所とか何とか言っていたな
「本当にそんなんで、何ていうか、オレは役に立っているのか?」
ソレに対し、無表情でコクリ、と、うなづくリナ
どうやら、そういうコトらしいのだが、ただ「立ち尽くして待っている」と、いうのも何なので、せっかくだから、と、そこら辺に並んでいる「書物」の一つを手に取り、開いてみた……
と、その途端のコトだった
シュィィィイッィィイィィン…っ!
「ぐっ!ぐぁっ!?」
正直、マジで自分が消し飛ぶ!?とか、なんかそんなようなコトを想ったオレがそこに居た、リナが「アナタは何もしないでイイ」と言っていたが、どうやら、そういうコトらしい…、さっき「書物」を手に取ってみたワケだがその「瞬間」の…、ぅ~ん、何ていうか「想い出したくない感じ」もしなくもないのではあるのだが、本気で頭や体のどっかが吹き飛ぶかと思った…
「「ブラストリカル・レコレディ・アルト」…、ココは、そうやってアナタのような「存在の力」で維持されている空間だから…」
どうやら、コイツの言うコトは本当のコトらしい…
オレに何か「トクベツな力」と、でも言おうか何やら、そんな「感覚のようなモノ」があるらしく、さっきは本当に…命を失い掛ける…?マジでそんな気分だった…
「さっきの…さっきのオレが、本を手に取った瞬間に起こったのは一体、なんだったんだ…っ?」
「アナタが、この空間にあるモノに直に触れたコトで、直接的にアナタを通して「地球」のあらゆる「データ」が送り込まれ…その「膨大な量」のせいで、脳内の血流がソレに追いつけず、アナタは意識昏倒を起こし掛けた…」
「……」
何処が「危険な場所」じゃ無いんってんダヨ、ソレの何処が……
「オマエ……」
「なに…」
「そんなに「アブネェ目」に遭うっていうんなら、最初になんかしら言っておいてくれよ…」
「だから…」
「なんだよ」
「アナタは何もしないでイイ、と…」
あァ、もう今後は言われなくたって、そうするサ…、さっきはマジに「身体のどっかが消し飛ぶか」とか、そんなコトを想ったくらいだからな…
どうやら、この「レコレディ・アルト」と、やらは、その「媒介」を通して維持されている空間というような場所らしく、さっきのアレは、その媒介に成っている、このオレが「不用意」に本に触れた為に送り込まれて来る「情報」が、オレの身体が耐えられる「許容量」を超え、身体が消し飛びそうに成った…と、いうような、なんかとにかく、そういうようなコトだと改めて理解した…
ふぅ…マジで死ぬかと想ったゼ…
「って、コトはだ…」
「なに…」
「オレは本当にココで、何もせず、ただ「媒介と成って、この「空間」を見守っていればイイと、そういうワケなんだな?」
「一応は…そう……」
なんだ、その「一応は」っていうのは…、なんとなく「イヤな予感」がしなくも無かったが
さっきのような目に遭うのは、もうゴメンだからと、知って置くべきコトは出来るだけ先に聞いておきたいと想い、思い切って聞いてみた…
「「一応は」っていうのは…どういうコトなんだ…?」
「ココの「空間」はあくまで「地球部門の一部分」に過ぎない…」
「って、コトは他にもこんなような「場所」があるっていうコトなのか?」
コクリ、と、うなづくリナ
「念のために、と、聞いておくが…あと、どれ位あるんだ?こんな感じの「空間」が…」
「97兆8971億」
「は、ハァ……?なっ、なんだってぇ?」
「ココは「ほんの一部」に過ぎない…」
「きゅ、97兆って……」
一体、どんだけの「数字」なんだ…、なんていうか「億」以上の数字と成るとイマイチ、と、いうか、全然ピンと来ないオレが居る
「アナタのような「存在」は数が少ない…」
「ってコトは、保存し切れないデータなんかはどう成るんだ?」
「形を失った状態で暗黒の重量だけの存在に成って「宇宙空間」に散って存在していく…」
「そ、ソレってまさか」
「そう…地球では「ダークマター」と呼ばれている存在…」
「アレか…」
正直、ア然とするしか無かった…、科学で解明出来ない「謎の存在」とかで何度か聞きかじったコトがある言葉ではあったが…、アレが「収まり切れないデータの成れの果て達」だったとは、全く想わなかった…
「「ダークマター」の比率が増えると宇宙のバランスに支障をきたす…」
「支障を、きたす…と…ど、どう成るんだ…?」
恐る恐る聞いてみた…
「ワタシ達の銀河を中心に自らの重みで「崩壊した宇宙」と成って収縮したあと、別次元に吸収されて消滅する…」
「は、ハァ…?なっ、なんだってぇ?」
コイツと喋っていると…何ていうか、頭がおかしく成りそうだ…
何となく、そんなコトが頭の中で軽くよぎってしまっているオレが居た…
「だから…アナタのような「存在」が「宇宙のバランス」を取る為に必要不可欠…」
「は、ハァ……?」
なんか、とんでもないコトに成っていないか?と、焦り、一瞬言葉を失いかけたワケだが…
「オ、オレの「存在」が宇宙のバランスを取るのに「欠かせない」っていうコトなのか…?」
再び、無表情でコクリ、と、うなづくリナ
マ、マジか…、「宇宙の命運」がこのオレの肩にのし掛かっているとでも、いうってのか…、一体、なんだっつぅんだ本当に…
「ほ、他にも…居るのか…?」
「?」
「いゃ、だから、オレの他にも、そういう「媒介」に成っている「人間達」が居るのかって聞いているんだよ」
「居る…でも、最近では段々とその数が追いつかなく成って来ている…」
「って、コトは…、その「収まり切らないデータ」の比率が増えて…」
「最終的には、この「宇宙」自体が崩壊する…」
「……」
なっ、何てこった…、今まで、全くそんなコトを知らずに平々凡々、過ごして来れたっていうのに…ある意味、聞かなきゃ良かった、と…、そんなようなコトを…つい想ってしまった……
「アナタのような「力」を持っている人が、ただ「生まれて来る」のを待っていても間に合わないと判断したワタシの「上層部」に当たる「ミーナフィリカの第1ヴィオーテ」ソコで、ワタシは生み出された…、と、いうより…造られて、そのような「存在」が数多くこの宇宙には送り込まれている…」
「は、ハァ……?」
も、もうダメだ……、これ以上は、なんていうか、つっ、ついていけない…
「ちょっ!チョット待てっ」
「なに…」
「ハナシが突拍子も無さ過ぎてチョットついていけん、少し間をくれ…」
本当の本音…ソレが今のオレの心からの「気持ち」だった
「ワカッタ…」
「だっ、だってよ、待ってくれよ、オレのような「存在」が居なくなると宇宙の情報が拡散して、最終的に「銀河を始め宇宙」が崩壊するだと…?一体、どうすりゃイイってんダヨ…」
「……」
オレは一介の「高校生」でしか無かったハズだゾ…、なのに、なんでそんなオオゴトな「役目」を背負うコトに成っているって言うんだよ…、そんなコト、イキナリ言われてもよ…正直、とにかくハナシがデカ過ぎて、マジついていけん…
「大丈夫?」
「ふぅ…チョ、チョット…、とにかく、チョット待ってくれ……、オマエは何とも想わないのかよ、そんな「重要な責任」を背負っているっていうか、何ていうか、そんなようなコトのために、な、なんだって?造られたんダロ?オマエって?」
黙ってうなづくリナ
「ダメだ…その辺りからもう完全に、頭がパンクしたような状態だよ、このオレは…、チョット、とにかくチョット一旦、整理させてくれ…」
「ワカッタ…」
ふぅ…、え~~っと……、どっから「考え」ればイイんだ…?「ダークマター」が何とかかんとか…「文字記録」を収められないと…「宇宙が崩壊し消滅する」……、んで、オレの目の前に居るコイツは「ミーナ・なんとか」で造られた「人工的な存在」…ダメだ!ワカラン!
「いっぺんに説明し過ぎた?」
「あァ……、正直、チョットしんど過ぎるなんていうモンじゃないよ…、とりあえず、その、今、色んな97兆以上もあるっていう「データ」なんかを収めている「空間」での作業っていうのは間に合っているのか?まず、ソレを聞かせてくれ…」
「一応は…、上層部からワタシのような「存在」を、何人も送り込むコトでちゃんと間に合ってはいる状態…」
「って、コトは「宇宙が崩壊する」っていうのはまだ先のコトって想って、イイんだな?」
「そう…、だから…そんなに焦らないで…」
ふぅ…とりあえずは、ひと安心といったトコロのようだ…
が、ソレにしてもコイツ…、こんな「オオゴト」を淡々と話すと思ったら、人工的に造られた存在だったとは…、っていうか、なんていうか、今と成ってはそんなコトすら、どうでも良くなって来ちまったっていうような気分だ…
ふぅ……、何はともあれ、とりあえずチョットしんど過ぎて一旦、頭の中を「リセット」したい気分だゼ…、と、そんなコトをアレコレと想ってはいたのだが…、どうしても「聞いて置きたいコト」があったので、ソレを恐る恐る聞いてみるコトにした…
「一つだけ、どうしても気に成っているコトがあるんだが」
「なに…」
「なんで、オレなんダヨ、そんな「超重大な責任」をこんな、平々凡々な「凡人」のこのオレが担っちまっているっていうんダヨ…」
「…………」
な、なんだ?なんで黙っちまったんだ?また、何か「余計なコト」を聞いちまったのか?もうコレ以上、驚くような「説明」は勘弁だゾ…?
「ソレは…偶然としか…」
「ぐ、偶然?」
「そう…ちなみにアナタの場合は700万人に一人、くらいの存在……」
「なっ、700万人に一人くらいの……?」
ソレが多いコトなのか少ないコトなのか正直、全然ワカラン……
「でも、実際にこうやって、ココに「導かれて来る人」は更にソコから、数パーセントの「一握りの人」っていうように成る……」
「……」
ダメだ…やっぱり聞かなければ良かった…
とにかく、なんだかワカラナイが…、オレが「超重要な責任」を負ってしまい、幸か不幸か、コイツと出会い導かれて来てしまって、今後「宇宙の命運」を背負っていくハメに成るっていうコトには…変わりは無いようだ……、やはり、改めて「聞かなきゃ良かった」と…そう、想った……
「でも、焦らないで…」
「焦らないでいられるかよ、こんな「重要なコト」を背負わされて…」
少し微笑んで居るように見えるリナの表情
いや、このタイミングで微笑まれてもよ…、などと想いつつも、とりあえず少しずつではあるが「落ち着き」を取り戻しつつあった、このオレ…、そう想うと、疑問というか、なんていうか「人工的な存在」というコイツが、具体的にナニモノなのか?と、いう点に「気に成る箇所」が移っていき「好奇心」のようなモノがチョットずつではあるが、沸いて来ていた…
「とりあえず…だ」
「ん…?」
「オマエみたいな「存在」は他にも居るっていうコトなのか?」
「そう…アタシだけではなくて「他の星」にもかなりたくさん…」
「他の星」…、そういや、そんなコトも考えていなかった…
文明のある星が、よくよく考えたら「地球」だけじゃないっていうのは、あってもフシギじゃないと言えば全然フシギじゃないワケだ…が、実際に、こうしてハッキリとソレを聞かされると、なんていうか驚かずには居られないっていう心境だ…
「「他の星は」ってコトは、オマエの言うその「ミーナ・フィリカ」っていうのは一体、何処にあるんだ?」
「この「宇宙を管理している別次元…」、ワタシ達の世界では「テイルアライト・スライトステイトと呼ばれている…」
か…っ、ダメだ……またワケのワカラン「単語」が出て来た…
「べっ、別次元っていうのは、っていうか、ぅ~~ん、こっ、この「宇宙」を管理しているだって?」
「そぅ…」
「って、コトはその「テイルアラなんとか」ってぇのは、この「宇宙の外」にあるっていうのか?」
「そうではなくて、この「世界の中」にある…でも「次元が違う」から、外にあると言えば外にあるとも言えるのかもしれない…」
ワカラン…もっ、ダメだ…完全にワカラン……、きょ、今日はもうヤメて置こう…コイツから「何か」を聴くっていうのを……
「疲れた…?」
「あァ…ドップリとな……」
「……とにかく、忘れないで…、アナタの「力」が必要なの…でないと…」
「ワカッタよ、この「宇宙が崩壊する」っていうんダロ」
「そぅ…ワカッテ…くれた…?」
「あァ…正直、「責任重大」過ぎて思い切りワカリたくはないっていう感じではあるけどな…?」
「そぅ…じゃァ今日は、コレぐらいにしてそろそろ戻りましょ…?」
「あァ…そうしてくれ……、もう何て言うか…完全に頭がパンクしちまった状態だよ、今……」
「……」
そうして、いつものようにまたリナに手を握られ「現実世界」に帰ってきたオレ…
「お疲れさま…」
「あァ…マジで今日は何ていうか…、考えるコトがあり過ぎて、よく「眠れそうに無い」っていうコトだけは確かだっていうような気がしているよ…」
正直、まだ「気に成る部分」が無くも無いのだが…コレ以上聞くのはヤメておいた…イイ加減しんどさが「度」を越えていたからな…
「とりあえずはまだ、すぐにこの「宇宙が崩壊する」っていう風には成らないから、心配しないで…」
「あァ…そう聴いて、少し安心したよ」
「そぅ…ソレと、アナタのような存在は一人じゃない…だから、そんなに…抱え込まないで…」
そう言って、また少し微笑んでいるかのような表情のリナ、だから、笑うトコかよ、ソレ本当に…そんなコトを想ったりはしたのだが…
「あァ…なんていうかその言葉、とりあえずは、ありがたく…受け取っておくよ…」
「そぅ…」
そう言って、帰っていったリナ…
ふぅ…色々と「とんでもないハナシ」があり過ぎて、ドッと疲れが来てはいたが、とりあえず、今オレの目の前に広がっているこの世界…、ソレが何ていうか、こんなにも「もろいバランス」で何とか維持されていた世界だったのか、と、いうコトに…何ていうか…フシギと、妙な「愛惜の情」みたいなモノを感じながらも…、抱え込むコトに成った余りの重責に対して戸惑いを隠せない…、そんな気分の…オレが居るというのが…
今の…正直な、気持ちだった…