プロローグ
―――痛い。
…だろ! ……モッ! ほん… んな…!
―――痛い…痛い。
んで…なの? ……ない。
―――痛い。
…内…書……だろ? あと…年の辛抱…。
―――痛い。痛い…。
お前……けねえの? つっかえねえなあ…!
―――痛い。痛い。痛い。
君ねえ…! 前も…ただろ! 聞いてるのか?!
―――痛い…。
…タカアキ!
……目を覚まして…! …お願い…! なんで…なんでこんな……!! 先生…!
…残念…ですが…。
嘘…でしょう…?
タカアキ…タカアキ…ぁああ…!!
…アキ…。
―――痛い。
胸が締め付けられ、何かせり上がってくる。
ああ、僕は消えるのか。
頬に感じるこの暖かい何かは僕の涙だろうか、それとも違う何かなのだろうか。
分からない。
でも一つだけ…わかる気がする。
――ああそうか…もう、痛くなくてすむんだ。
――やっと…やっとだ…。
――悲しませてごめん。
――でも、僕は本当はずっと…消えたかった。
――だから僕のことは忘れてほしい。
――すぐには無理だって…うん、わかってる…。
――ほんとにごめん。
――……。
――聞こえないことを承知でつぶやくけど、僕が中学から高校の時に書いてた小説…割と量があるんだけど、全部見ないで燃やしてほしい。
――いつか捨てなきゃって思ってたんだけど、そのままだったんだ…。
――もう一回言うけど中は見ないでほしいんだ。お願いだよ。
――…絶対! お願いだから見ないで!
――ちょっ!! だから!! 見ないでって…!! 言っただろ!!!!!!
――やめっ! ほんと…!! うああああ!! もおおおおおおおおおおおおお!!!
――捨てよう捨てようって思ってて!!
――でもなんか、なんていうか…色々自分なりに一生懸命考えて詰め込んだから捨てるに捨てられなくて…。
――いつかまた投稿とかできるかなって。なんとか大賞みたいなの取ってみんなからちやほやされ……。
――憧れの坂丘みこ先生とか、ヤチル中尾先生とか百合凛花先生とかに誘惑されたりとか…!(全員売れっ子美女作家)
――……クッ……自分で言うのもなんだけど、もういいおっさんなのに妄想が過ぎたわ!!
――悲しくなってきた!!死んでるのに!!
――ほんと…! 早く捨てればよかったよ!!
――ああああ!! ちくしょおおおお!!!
――なんで34にもなって今更こんな思春期みたいな胸の痛みに悩まされるんだよ!!
――死んでるのに!!
――息子のことを本当に思うなら、思春期の恥部はそっとしておいてくれよ!!
――わかるだろ! 表紙のそのなんかこう禍々しい(と当時思ってた)タイトルの手書きの書き文字で分かるだろ!なんとなく!!
――察してよ!
――それは捨てようと思ったけど結局捨てられなかった『―――』なんだよ!!
あっ 今二重の意味で死んだ気がする。
『エターナルダークサーガ(仮)』