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事後?

 憲兵隊が帰ってから一時間半。

 七人は遅めの朝食をとっていた。ブライルとセシリアはどこかに行ったらしく、ここにはいなかった。

 結局、全て策略だった。

 三人が男女の営みを行っていたら、流石に兵士も騙せるだろうと思っての事で、彼女がシェリルとルルーナを夕登の部屋に運んだらしい。

 夕登は異世界に来て、まだ二日目であるがこんな濃すぎる時間に驚きつつ、これからの事を考えては心労が積み重なっている途中だ。


「全く、アリシアは趣味が悪いな。俺は割と怒ってるぞ?」


「本当だよ。起きたらユウトとルルーがいるんだもん。びっくりしたよ。ってか、朝からあんなもの見せられるし」


「ははっ! 300年も生きておると若者へのいたずら心が芽生えるのじゃ」


「そう? アリシアはファインプレーだったと思うけど?」


「「お前にとってはな!」」


 一悶着あって、憲兵隊の目をやり過ごした夕登とシェリルは嘆息しながらアリシアを恨めし気な目を向ける。

 シェリルは夕登のアレを見てしまい、しかも、男性特有である朝の生理現象の真っただ中のフルサイズを見てしまったのだ。

 よほどのショックだったのだろう、一時間ほど放心していて、やっと正気に戻ったところだった。

 アリシアを恨む気持ちは夕登より大きいはずだ。

 事件を大きくし、アリシアの思惑通り活躍したルルーナは、どこか満足そうな表情でパンを齧っていた。


「それに、アンリさんも知ってたんですよね? なのに、あんな演技をして」


「それに関してはごめんなさいね。でも私、実はなんだかんだ言って、ユウト君と二人がくんずほぐれつお楽しみだったりするのかなぁ? って心配してたのよ?」


「そうですか。それはご心配をおかけしましたね」


 頬に手を当てながら、楽しそうなアンリに夕登は毒気を抜かれたが、やや疲れ気味であるのは言うまでもあるまい。


「朝にお洗濯を済ませたのに、シーツが汚れたら追加で洗わなくちゃいけないし」


「そっちかよ!」


「うふふ、冗談よ」


「もう何でもいいです」


 夕登はげっそりした表情で果実のジャムが塗られたパンをぼそぼそと齧り始めた。


「そう言えば、ブライルさんとアリシアさんは何処へ行かれたのでしょうか?」


「拠点へ帰ったぞ」


「どうしてなのですか? 朝ごはんくらい食べて行けばよろしかったのに」


「あ奴らは王国が遂にクロス・インペリアルに進軍させる準備を整え、四日後には全面的に開戦すると、伝えに来てくれたんじゃ」


「なっ! 王国軍が出撃するのはもう少し時間があると思ったのに!」


 シェリルはシャティーとアリシアのやり取りを聞き、驚愕した。

彼女は王国軍の出撃日をもう少し、遅く見ていた。

 諸外国や王国の情報をかき集めている部下から、聞き及び推測したものだが、外していたようだ。

 しかし、王国は街の様子からはあまり分かりづらいが、クロス・インペリアルのような大国と十分に戦うには軍備がまだ完了していなかったはずで、どうしてこうも早く出撃が出来るようになったのか大きな疑問が浮かび上がった。


「じゃが、現実は軍備が整っている。我々はやるしかあるまい」


「ということは、遂に革命を起こすのですね!」


「そうじゃ! 我々レジスタンスは王国軍の出撃前日に革命を起こす!」


 アリシアが高らかに宣言した刹那、食卓を囲んでいた六名に緊張した空気が流れる。


「やっと、やっとこの日が。私がお父さんの仇を!」


「あの人が、もう少しで報われるのね」


「これも、勇者の務め。わたくしは弱き民衆を救う存在。この命のある限り、救済を!」


「あの、馬鹿な国王に目にモノを見せないとね」


「被害の如何はあれども、私の国へ手を出した罪。必ず償わせる」


「…………」


 夕登以外は、ファンテ王国の国王オルガムへ何かしら強い恨みや怒りがあるようだ。

 己を鼓舞するようにつぶやく者がいれば、事件の当事者は一刻も早い革命を願う。

 彼女らとは元々、住んでいた世界が違うし、オルガムという男へ思い入れもない。温度差があるのは当然だったが、それでも彼女ら手伝うと決めた以上、気を抜いていられないのだ。

 覚悟を決めようと夕登なりに革命へ、思いを馳せようとした。


「ふふっ! お主ら、昂るのは良いが革命の決行日は三日後。それまで、英気を養っておくのじゃぞ? 当日、体調が悪くなって革命成功時、打ち上げる花火を見逃す出ないぞ?」

 アリシアは気合が入り過ぎて空回りしないように、卓を囲む同志へ緊張をほぐしてやろうと、気にかけて声をかける。

 六名は彼女の方を向くと、無言で頷いた。


「よし! ならば、ユウトと魔王をワシらの仲間と顔合わせをせねばな! 昼食後、皆で会いに行こうかの。お主ら準備をしてくれ」


「了解! なら、私は今、集まれる皆を拠点に連れてくる! 先に行って待ってるわ」


「わたくしも付いていきます。二人の方が早いでしょう?」


「うむ、二人とも頼んだ」


「私はお昼ご飯の買い物に行ってくるわ」


「なら、私は護衛をする」


「私はアンリとルルーに付いて行って、荷物持ちでもしようかな」


 エルとシャティーはレジスタンスのメンバーを集めに行くため、一番早く席を立った。

 それから、アンリが立ち上がり、ルルーナとシェリルがそれに付いていく。


「俺はどうしたらいいんだ?」


 夕登は女性陣の行動の速さに戸惑い、未だ席に座ったままだった。

 エルやシャティーのようにレジスタンスの仲間を集めるのは無理だし、買い物へ付いていくのは二人で足りるだろう。

 やることが見つからず、目線だけが右往左往していると、


「お主とは少し話したいことがある。ここにおってくれて構わん」


 困っている夕登を見て、アリシアは都合がいいと、彼を待機させた。

 


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