無題(春)
詩です
もじすうがたりない!
ごいりょくをうしなう!
蛙の鳴く音も霞める朧月夜、あと五、六日もすれば八十八夜だというのにまだ肌寒さは続く。アパートを囲む四方の田んぼからはカエルの大合唱が絶えず聞こえる。
花粉にやられた涙目で月を眺めつつ、ペットボトルを傾ける。
「ん」と液面に映る月をのみこむ。目に溜まった水でぼやけるのか、水に映るから揺らぐのか、春だから、朧月だから薄らぐのか。
ぬるくも涼しい春の夜風が部屋を過ぐ。
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