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奇怪

作者: 奈良漬け

これは実に奇怪な物語です。

 今、僕の目の前では奇怪なことが起きている。

会社員の様な風貌の男がこちらをじっと見ている。

もちろん僕は何もしていない。

いつまでたっても男は僕をじっと見ている。

ゆらゆら揺れる電車内、その男は異様な雰囲気を放っていた。


 それから十分程度、

男が僕をじっと見つめ僕は寝ている振りをしてうつむくという構図が続いた。

僕は少し怖くなった。

危険な人間は目が虚ろだとよく言うが、向かいに座って僕をじっと見つめるその男が正にそうだった。

目に生を感じない、もしゾンビが存在するならきっとこんな目をしているだろう。

そんな男に十数分見られているいる僕はたまったもんじゃない。

でも、もうすぐ駅に着く。

あと一駅でこの男から開放される、そう思うと少し恐怖感が和らいだ気がする。


 車内にアナウンスが流れた、もうすぐ駅に着くことを知らせるアナウンス。

つまりもうすぐ僕はこの車内から脱出できるわけだ。

ちらっと前を見る、先程と変わらず男は僕を見ている。

僅かな時間なのだが僕はもうこの状況になれてきた。

人間の適応能力はこういうところでも機能するのかな、なんて馬鹿なことを考えた。


 そんなくだらないことを考えている内に僕の乗った電車は駅に着いた。

安堵感からか溜息が洩れる。

溜息をすると幸せが逃げる、とかそういうのはあまり気にしないタイプなので溜息はよくする方だ。

はぁ。今の溜息で先程までの恐怖感も一緒に出ていった気がする。

男はまだ僕を見ている、だが僕はもうこの電車から降りる。

もうこの男は僕を見ることはないだろう。

ゆっくりとドアに向かって歩いていく。


 うぅ、という微かな呻き声が聞こえたのはそれからすぐのことだった。

異様な声だ、人間のものとは思えない。

例えるなら、血に飢えた獣ような。

咄嗟に後ろを振り向いてしまった。

さっきの男がまだ僕をじっと見ながら重そうに口を開いていた。


あっ。


本能的に危険と察した時にはもう遅かった。

男の口から、にゅる。っと触手のようなものが出てきていた。

一瞬でドアから出ようとした僕を掴んだそれは、とてもぬるぬるしていた。

何度も抵抗して触手から出ようとしたが、抵抗をするごとにそれが僕を拘束する力が強くなっていった。


そして、ある異変に気付いた。

この異様な状況にも関わらず他の乗客達は、誰一人僕のことを気に留めなかった。

何度も、何度も叫び声を上げた、助けを求める声を。

だが、その声は誰にも届かない。

よくよく周りの乗客達を見てみると、この男と同じような目。

つまり、ゾンビのような、生気がまるで宿っていない目をしていた。

たぶんこれから僕がどんなに声を上げようとも、その声は誰にも届かないだろう。


こうして抵抗する術も、助けを求める術も失った僕は諦めを悟り、ぐったりと意識を失った。


 はっ、と顔を上げる。僕は寝ていたみたいだ。

どうも奇怪な夢を見ていた気がする。

でも残念ながらよく覚えていない。

そんなことはもうどうでもいい。

それより今、僕の目の前で実に奇怪なことが起きている。

どうも奈良漬けです。


なんか不気味な物語を作りたい気分だったんで作ってみました。


不気味に書くことに集中し過ぎて文章がちょっとおかしいかもです。


ブックマーク等、是非よろしくお願いします。

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