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第五章 イリーガルコロシアム 後編

 かなり時間が経ってしまいましたが、この作品を読んでくださる読者の方々、ありがとうございます。

 次回の更新も遅くなるかもしれませんが、デュアルコアをよろしくお願いします。

 それでは後編をどうぞ。

 

 ゴツン!

 

「いってぇ〜!」

 

 これで何度目だろう。こうしてガラスにぶつかるのは。

 

「くっそ〜・・・鏡だけならまだしもガラスまであるとは・・・しかも」

 

 ドン

 

 ガラスに向かって拳を当てる。すると、拳が手前に跳ね返ってくるように力の向きが反転しガラスから離れる。

 

「くっ!?壊せないときた」

 

 ここの部屋の鏡とガラスには魔法がかかっており力の向きを反転させられる。つまり、全てのものが跳ね返っていく。だから、壊そうとしても出来ない。

 

「こうもたくさんあると、今何処なのかわからねぇな。ロイのやつはどこにいるんだ?」

 

 クロードはそう言って今来たほうを向く。だが、鏡に映っている自分の姿とロイの姿だけ。

 

「さて、どうしたもんか・・・ん!?」

 

 今の状況にそう呟いているとなにやら赤い光が映し出された。そして、ボォッと音を立て脇を通り過ぎる。

 

「なんだ!?ロイのやつもう追いついてきたのか?」

 

 この火の玉は先ほど鏡で見たロイのやつと似ている・・・といってもだいたいのものは固定のイメージがあり、他の者と同じになってしまうので誰の魔法と見た目で区別することは出来ないが・・・と思いながら見ているクロード。だが、鏡に映っているロイは特に変わった動きはしていなかった。

 

(ロイではないのか・・・それなら一体誰が・・・ん!?)

 

 クロードは何かを感じ横へ転がる。すると、ボォゥと音を立てさっきの火の玉がクロードが立っていた場所を通り過ぎていく。

 

「なにっ・・・これはさっきのやつじゃねえか。なのに、威力が落ちてねぇ」

 

 そう、ここの鏡は力をそのまま反転しているのでぶつかり威力がなくなることは無い。つまり、壁にぶつかるか、何かにぶつかるかして一気に威力をなくすか、飛んでいるうちに徐々に威力を落すかしないと魔法で発動したものは消えない。この火の玉も消えずにまた戻ってくる確率のほうが高い。

 

「まったく、厄介な場所だぜ・・・くっ!?」

 

 ボォゥ、ボッとさっきとは違った火の玉が二つ飛んできた。それに気付いたクロードは何とか避ける。そして飛んできたほうを向く。

 

「そこにいるお前!出てこい!」

 

「どうやら気付かれたようですね」

 

 ちょうどこちらから鏡にも映らず見えなくなっている一角から男が姿を現す。そう、男。つまり人。モンスターではなかった。

 

「どうやら、モンスター以外にも出てくるようだな」

 

 クロードは確認するように呟く。

 

「いいえ。あなたは少し勘違いしているようですね」

 

 男はクロードの呟きにこたえる。

 

「なに!?」

 

「そうですね・・・外見だけでは判断できないとでも言っておきましょうか」

 

 男のその言葉は何か含みを持っているがどういうことかわからない。何を勘違いしているというのだろうか。

 

「・・・それはどういうことだ?」

 

「知りたいですか?そうですね・・・私に勝ったら教えてあげましょう」

 

 そう言って火の玉を作り出しクロードに向けて放った。

 

「くっ・・・」

 

 クロードはすばやく横に避ける。

 

「よし、いいだろ。もともと、てめぇを倒すことには変わりねぇからな!」

 

 そういうのと同時にしゃがみこんでいる状態から一撃を放つ。拳を地面に叩きつけ衝撃を起こし、衝撃波を発する。その衝撃波は真っ直ぐ敵に向かっていく。

 

「フッ・・・あまいな」

 

「なに!?」

 

 衝撃波は男の前で向きを反転し、戻ってきた。

 

「くっ・・・ハァッ!」

 

 もう一度衝撃波を出し相殺する。同じ力でぶつかり合い綺麗に消え去る。

 

「ふぅ・・・まったく厄介な場所だぜ・・・なっ!?」

 

 ドォンとクロードの足元で爆発が起きた。相殺するのに気をとられてしまっていたクロードは吹き飛ばされ鏡に当たる。だが、力が反転され衝撃は無くダメージは少なくすんだ。

 

「油断大敵ですよ」

 

 男は床に膝をつけているクロードを見下ろしそういった。そして、クロードに向かって手を伸ばし火の玉を作り出す。

 

「これで終わりだ」

 

「くっ・・・」

 

 態勢を立て直しきれていないクロードは瞬時に周りを把握し、放たれ近づいてくる火の玉をそのあとに対応できるように避ける。だが、それは一つではなかった。クロードの避けたほうに放たれていたもう一つの火の玉を避けるため、勢いをころし火の玉の前で止まる。

 

「ふぅ・・・」

 

 ぎりぎりで避けられ安堵の溜め息をつく。だがこれがいけなかった。

 

「さっきも言ったでしょう。油断大敵だと」

 

 そういわれてから気づく。もう一つの迫る火の玉に。そう、相手は複数の火の玉を出し、反射を利用して三重攻撃を仕掛けていた。

 

「くそっ!」

 

 気づくのが遅かった。もう避けることができないと判断したクロードは腕を前にクロスさせる。

 すると、ブオォッと風が吹く。

 

「なに!?」

 

「間に合ったようだな」

 

 驚いている男とは反対の位置にロイがそう言って立っていた。どうやら、ロイの魔法に助けられたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鏡とガラスにぶつからないように慎重に進んで行くロイ。鏡に反射され視覚では判断できない。

 

「まあ、適当に行くか」

 

 そう言って勘に任せ右、左と進んでいった。すると、ドンッという衝撃とともに探していた人物の声が聞こえてきた。

 

「あっちからだな」

 

 さっきまでの表情そう言って音のするほうへ向かう。すると、そこにはクロードと男が向かい合っていた。

 

「あの男は誰だ?」

 

 正体のわからない男を警戒し、身を潜める。すると、男から火の玉が出現した。そして、クロードへ向かっていく。それを避けるクロードに後ろから他の火の玉が迫る。だが、クロードはそれに気づいていない。そう判断し魔法を発動させる。それはクロードが腕で防ごうとした瞬間だった。

 

「間に合ったようだな」

 

 驚きこっちを向く男を横目で見てから、クロードを見る。

 

「お前みたいなやつが、こんな攻撃で苦戦するとはな」

 

「ちっ、少し遊んでただけだ。お前が来るまでな」

 

 態度が気に食わなかったのかクロードは苛立たせながらそういてくる。

 

「ほぉぅ、遊んでいただけか。ならお前一人で十分だな?」

 

「ああ、こんなやつぁ、すぐにぶちのめしてやるよっ!」

 

 挑発に乗ったのかクロードは一人で男に向かっていく。

 

「一人で来るのですか?でも、正面から突進してくるなんて頭が足りていないのですかね?」

 

 男は馬鹿にしたように笑い、構えもせずに突っ立ったままそう言った。

 

「頭が足りていない?はっ、それはお前のほうだろ!」

 

 そういうとさっきまで突進していたクロードの姿が一瞬にして消え去る。

 

「ほぉぅ・・・」

 

「これでわかったか?」

 

 クロードは感心する男の後ろに回りこんでいた。

 

「そうですね、力の流れを操り速度を増し、一瞬で回り込む。そして、鏡などの障害物の位置を把握し一番良い道を選び隙を見せぬ。確かに、私の勘違いだったようですね」

 

 男は動じずに解説をする。後ろにクロードがいるのにまったく動じていないのには理由がある。

 

「それでは、怪我とかしたくは無いので、これで失礼します」

 

 そういうと男の姿がかすみ、消え去った。すると、一筋の光がさす。どうやら、あの男が残したこの部屋の出口への道しるべのようだ。

 

「これを辿って行けばいいのか・・・そういえば、ぶちのめせなかったな」

 

「くっ・・・」

 

 光を辿っていきながらそう呟くとクロードがそう反応した。

 

「言ったことも守れないとは、やっぱりその程度のやつだったというわけだ」

 

「なにっ!あいつはお前でも無理だろうがっ!」

 

 クロードをからかうように言いながら扉をくぐると、クロードはそういいながら、いつもとは違った感じの表情で後に続いた。

 

(それにしても、あの男は一体何者だったんだ?)

 

 さっきの男がどういうやつなのか考えながら進んでいくと、何も無い、だいたい三十歩ほどの広さの立方体の部屋に出た。その部屋は不思議なことに奥に行くほど暗くなっている。今たっているところでも足元が見えるくらいだというのに。

 

「なんだここは?暗くて何も見えやしねぇ」

 

「そうだな。ちょっと待っていろ」

 

 手を一度握り締め、ゆっくりと開くと光の玉が現れる。そして、それは徐々に強さを増していく。だが、

 

「くっ・・・光が」

 

 さっきまで強くなっていた光がしぼんでいき消え去った。まるで、あの闇に吸い取られるかのように。

 

「どうした?」

 

「上手く制御が出来ない、いや・・・乱されるといったほうがあっている」

 

 尋ねるクロードに光の玉が消えた掌を見つめながらこたえる。

 

「ふはははははっ、魔法の仕組みをある程度理解しているようだな。これは楽しめそうだ」

 

「誰だ!」

 

 深い闇の中から人影が現れる。

 

「俺のことか?俺は・・・そうだなぁ、ゼロ。ひねりが無いが良いか。というわけで俺はゼロだ」

 

 自分の名前を今決めるようなよくわからないやつ。一体何者だ?気配が感じられない。

 二人は警戒し動けずにいる。

 

「よし、それじゃあはじめるか。さあ、楽しませてくれよ」

 

 人影が、ゼロの姿がはっきりと見えるようになった。あの闇の中でも。

 

「おいおいどうした?仕掛けてこないのか?それじゃあ、こっちからいくぜ!」

 

 そういった瞬間、本当に一瞬で目の前に来ていた。そして、それを認識したときにはゼロの拳が触れる直前だった。

 

 ドンッ!

 

 何かがぶつかる音と共に吹き飛ぶ。

 

「ロイ、大丈夫かっ!」

 

「あ、ああ」

 

 拳がぶつかる前にはやく反応したクロードがゼロを吹き飛ばしたようだ。

 

「へぇ〜・・・この速さに反応できるんだぁ〜。これは楽しめそうだ」

 

 ゼロは何事も無かったかのように嬉しそうに微笑みそう言った。

 

「来るぞ」

 

「ああ、今度は大丈夫だ」

 

「それじゃあ、行くぞ」

 

 そういうとさっきと同じ速さで近寄ってくる。一人では対応出来ぬだろう。だが、今回はクロードと共に戦っている。つまり

 

「とりゃ!」

 

 ゼロの速さについていけるクロードが動きを止める。そして、

 

「食らえ!光炎」

 

 一筋の光の炎が動きを止められたゼロに向かって放たれる。だが、その光はこの速さでも当たる前に力を弱めてしまう。

 

「ふははっ・・・ふははははっ。いいぞ。これだ。今までのやつは手ごたえがなさ過ぎた。そう、今までのは戦いとは言わない。これこそが求めていた戦いだ!」

 

 ゼロはそれを避けずに受け、笑いながらそういうとまた仕掛けてきた。しかもさっきと同じにだ。どうやら手を抜いているようだ。

 

「くそっ!」

 

「だめだ。相手に当たる前に乱されてしまう」

 

「ふはははっ、今度はこっちの番だ!行け、ダークスネーク!」

 

 笑いながら物騒な技を放つゼロ。放たれたのは奥の闇と同じく黒い蛇が数匹。だが、それほど速くない。一つ一つ確実に避けていく。

 

 ごぉぉぉっ!

 

 壁や天井に当たったその蛇はえぐるように音を立て飲み込み穴を開けていく。しかも、取り込むたびに大きくなっていく。

 

「ふははははっ、全てを飲みつくせ」

 

 ゼロの放った蛇はどんどん取り込み大きくなっていく。それにつれて部屋も崩れ始める。

 

「ここは退くぞ」

 

「ああ、逃げ道も出来たことだしな」

 

 そう、蛇の作った壁や天井の穴。そこを通れば出られる。

 

「行くぞ!」

 

 ボンッ!

 

 ロイが出したのは煙球。気配を絶つための、いや、気配を乱し感知されないようにする特別な物だ。

 そして、ロイとクロードはその煙に包まれながら相手に気づかれぬように穴へと入っていった。

 

「ふっ、今回は楽しめたし見逃してやるか。あ〜あ、ここもつまんなくなったし、俺も外に出てみるか」

 

 ゼロは二人とは違う穴に入っていった。


 どうですか?

 やっぱり、話のもとを作っておかないと更新に時間がかかってしまいますね。しかも、話がまとまりにくくなるし・・・

 まあ、いまさら行っても仕方ない。

 その時の思いつきでどんどん書いていきたいと思います。

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