第四章 イリーガルコロシアム 前編
いままで二人で書いていたデュアルコアですが、ここからは僕一人で書きました。まあ、片方がちょっとというかかなり変わってしまったような気が・・・
まあ、書く人が変われば変わっても仕方ないということでキャラのことは気にせずお読みください。
それでは前編をどうぞ!
蒼獣鬼を倒し賞金を手に入れた二人は体を癒すため、宿に向かった。
筋肉痛のクロードを風の魔法でロイが運んでいると・・・
「ん?」
道をふさぐように二人の前に数人の男たちが現れた。全員黒い服に黒い眼鏡と見たこともないかっこうをしていた。そんな怪しい男たちは二人を囲むように移動していた。そんな男の間から、同じ服装だが他のやつらと違って優男という感じのやつが二人の前に出てきた。
「やあ、君たちの噂を聞いたよ。すごい実力なんだってね」
とその男は友好的に話しかけてきた。一応警戒するが相手は隙だらけ。だが、何を考えているのかわからない。それに、まわりの男たちとやりあうのは分が悪い。ここは様子を見る。
「それでおれたちに何か用か?」
「そうですね。実はお二人にお願いしたい仕事があるんですよ」
男はどうやら仕事を依頼しに来たようだ。このようにハンターに依頼するということはよくあること。互いに納得した条件で行う、簡単な形式の仕事。相手によっては条件を良くする事も出来る。なので、国や組織からの要請より条件がよくなることも多い。多くのハンターはこのような仕事で稼いでいる。
条件によっては受けてもいいが、この男たちは何かある。かかわると危険だと俺の勘が言っている。
「こちらの指定したものを倒すというだけのことです。どうです?引き受けてもらえますか?」
男がいった仕事の内容は簡単なものに聞こえるがあいまいで何か裏があると感じ取れる。特に、この男自体、裏がありそうで怪しい。
「断る」
クロードも同じ考えだったのか男に向かってそういった。それを聞いた男は動じていない。まあ、予想していたのだろう。
「このくらい出すといってもですか?」
そう言って男が提示してきた金額は五百万。普通の条件ではだいたい五十万いけばいいほう。だが、男はそれよりも高い金額を提示してきた。
「それでも断る」
普通の十倍・・・何も考えないやつならここで飛びつくくらいの額。もったいないと思いながらも断る。
すると、男の表情が変わった。
「仕方ないですね」
さっきまでの笑みは無く、冷たい表情。そして、さっきとは違った声でそういうと足元が急に光りだした。
「なにっ!?」
見たことのない陣が描かれ、赤い光を放つ。その光は二人を包み込み、そして、二人の自由を奪う。
「くっ・・・俺たちになにをした!」
動かなくなったというよりも力が抜けていき動けない。このような魔法は見たことも聞いたこともない。それに魔法で陣を使用するものは無いに等しい。なぜなら、魔法とは力の流れなどを感じ、それを操ること・・・陣とはそれを自動で行うようなもの・・・その陣を使った間接的なものだと魔法の感知の段階が難しく成功しないからだ。そして、その陣を使ったものは間接的に出来るのでいろいろと設置できるし、内容を書き記しているのでプログラム化し修正も追加もできる。ここまでの説明は一般的なもの。つまり、陣を使えない者が調べた内容。だから、まだ知られていないこともある魔法である。
「あなたたちは知らなくていいことですよ」
「くっ・・・」
ロイは何も言い返すことも出来ないくらい力を失っている。クロードは先ほどの疲れもありもう意識を失っている。その、クロードを周りにいた男たちが持ち上げ抱える。そして、残りの者がこちらへとやってきた。だが、そのように思考する力もどんどん失われていきロイも眠気のようなものに襲われ、スッと意識が無くなった。
「ん・・・?」
目が覚め起きるロイ。その目に入ったのは白い壁に囲まれた小さな部屋。
「目が覚めたようだな」
話しかけてきたのはクロードだ。
「ああ」
そう短く返事をし、立ち上がる。そして、部屋の中を見渡す。ロイの一七〇ちょっと身長の1.5倍くらいの高さの天井に白い壁に囲まれている立方体のような何も無い部屋。見てわかるのはそのくらいだ。あと、わかるとしたらクロードの立っているところにある扉だけ。
「だめだ。鍵でもしまってるのか開きやしねぇ」
クロードは自分のほうに向いたロイにそう言った。
『やっとお目覚めのようですね』
何処からか聞こえてくる声。それはあの男の声だ。だが何処から聞こえてくるのだろうか。
『では、これからしてもらうことの説明でもしましょうか』
こちらが反応する前にどんどん話を進めていく。
『簡単なことです。それは、ここを出ること。そこの扉を開けておく。あとは自分たちで頑張ってくれたまえ』
するとガチャっと音が鳴り扉が開いた。
「進めということか」
「ああ、それしかないようだな」
この扉意外に特に無い。ここでじっとしているわけにも行かない。
「よし、行くか」
そう言ってこの部屋に一つしかない扉をくぐる。すると、大きな空間に出た。それは、部屋全体が大きな球状に。つまり・・・
「うおっ!?」
足場が無くなり、下にへこむようにある半球状の床の曲面をゴロゴロと転げ落ちていく。だが、落ちたのはクロードだけだ。なぜなら、ロイは宙に浮いているからだ。
「何してんだ、お前は」
落ちていったクロードを見下ろしながら言う。
「お前のせいだろ!くそっ、騙しやがって」
クロードはなんとも無かったのかすぐに起き上がり、ロイに向かってそういった。
「は?何か騙すようなこと言ったか?」
「言ってはいないが、騙されるだろ普通!先に何事も無いように歩いていけば大丈夫なんだと思うだろうが!」
そう、先に入っていったロイのあとを追うように入ったクロードは床がなくなっていること気づかずそのまま落ちていったのだ。まあ、それがロイのせいになるとは限らないが、ロイを信用してこうなったとも言えるので、これはロイのせいだと決め付け、こうしてロイにやつ当たりしている。
「おいおい。人のせいにするなよ。足元を見なかったお前が悪いんだからな」
やれやれというふうに手を上げあきれたふうに言う。
「くぅっ・・・確かに見ていなかったが、もうそんなことはかんけぇねぇ・・・」
ロイの態度にとうとう我慢の限界がきたのか、クロードは怒りのこもった声でそういうと拳を作った。
「いつもお前は協力的では無かったよな?そのせいで俺がどんなに苦労していたかわかるか?」
一言言うごとに力が拳に集まっていく。
「そうだったか?ちゃんと協力していたつもりだが」
「あれで協力していただと?はっ、笑わせるなよ。あんな初級魔法だけしか使ってないくせによ!」
そう。ロイが今まで塚手いたのは初歩的な魔法。火、水の属性の魔法は身近にある力なので一番使いやすく組み立てやすい。しかも、その中で爆発や火炎など武器でも出来るような最も簡単なことしかしていない。
「初級魔法でも効いていたからいいじゃないか」
確かに、ロイの初級魔法は効いていた。普通のものとは速度も威力も上だからだ。
「確かにそうかもしれない。だが、初級魔法より上の魔法ならすぐ倒せたかもしれない。いや、こっちの負担は減っていた。だがそれはまだいいほうだ。その魔法はいつも俺のことを巻き込んでいないか?」
今までの戦闘を思い出してみるといつも巻き込まれていることに気づく。
「確かに・・・そうかもしれないな」
ロイは今気づいたかのようにそういった。
「まあ、気にするな」
わびることも無いロイの態度に今まで我慢してきたものがあふれ出てきた。
「お前がどういうやつかよ〜くわかった」
拳に集まった力が一気に集束する。今まで漂うようにあふれ出ていた無駄な力まで集まり、それは凝縮された凄まじい力となり、クロードの拳にまとまりつく。
「こんなやつはパートナーじゃねぇ。今ここで呪いを断ち切ってやるわ!」
そう言ってロイに向かって拳を放つ。だが、ロイとは距離があり拳は届くはずが無い。拳はただ空をついただけ。
「ふっ、何やっているんだ?そんな拳が届くはず無いだろ」
ロイはクロードがいつも近距離戦だったので届くはずが無いと油断していた。だが、クロードの口元が少し上がったのを見てとっさに防御壁を作り横によける。
ゴオォォゥッ!
さっきまでロイがいた場所に何か見えないものが通り過ぎる。ぎりぎりでよけたがロイは見えない衝撃によりよけたほうに飛ばされた。
ドカン!
ロイは何とか壁への衝突は避けることが出来た。だが、さっきの見えない何かが壁に到達し、すごい音を立て壁をえぐっていた。
「くっ・・・なんだと・・・」
ロイは体勢をたちなおし、クロードを見る。飛び道具のようなものは持っていない。となると衝撃だけでこんな事を・・・と分析していく。今の攻撃は空気を使い、衝撃を伝え飛ばしたもの。いつも言っている技名を言わなかったのは油断させるためなのだろう。
「ちっ・・・まあいい、次は当ててやる!」
ぴちゃ!
とクロードが構えなおすと足元から鳴った。
「ん?みずだと?」
そう。この部屋にどんどん水が流れてきていた。そして、その半球状の床に水が溜まってきているのである。クロードはロイのほうを睨むがロイもこの状況に驚いているようだ。ということは第三者、つまりあの男の仕業だろう。
どしんっ!
部屋を揺らすような振動を立て上から何かが落ちてきた。
「モンスターだと!?」
そう。上から落ちてきたのはモンスター。しかも見たことのない種類だ。全身鱗に包まれて、大きな口を持ち、四つあるうちの二つの足でたっている。たとえるなら鰐に近いであろう姿だ。
「ちっ」
クロードは一番低い場所、水が溜まっている場所から離れる。
『このモンスターはクロコダイルリゼンブル。その名の通り鰐に似ている。というより鰐といってもいい。このように一部屋に一体、敵が出てくる。それを倒せば次へ進める』
またさっきのように男の声が聞こえてきた。どうやら、勝ち抜き戦みたいなもののようだ。
ゴオォォォッ!
部屋に響き渡るような声を上げるモンスター。
(とにかくこいつを倒せばいいわけだ。そのあとにロイをやれば―――)
ビュンッ!
クロードの頬をかすめて風の刃が飛んでいく。それはモンスターに飛んでいっているがモンスターに当てるためではない。
(さっきのお返しだ!)
そうこめるようにロイは自分のほうを見る、いや睨むクロードにわかりやすい表情で返した。
(やっぱり、こっちが先だ!)
クロードはまた拳に力を集める。それに気づいたロイはクロードの邪魔をするようにパチンと指を鳴らしかぜの刃を出す。クロードはモンスターのところまで走って行き、モンスターをたてにする。
グオォォォ
モンスターは動きが鈍いのか全て食らって前のめりになる。
「遠撃波!」
ゴオゥッ!
クロードはその背中から放つ。さっきのような衝撃がモンスターの背中をかすめてロイに向かっていく。背中にかすったモンスターはその衝撃で飛ばされていく。
「空間遮断!真空!」
ロイが手を前に伸ばしそういうとロイの目の前の空間が急にゆがみ、空気の壁見たいのが出来た。
ドォン!
と飛ばされたモンスターは音を立て壁にめり込んだ。クロードの放った衝撃はその空間でとまり、掻き消えた。
「ちっ!」
この攻撃を防がれてしまったクロードには今の状況では不利だ。空中にいるロイに何か当てる方法を考えながらクロードはロイの攻撃をよけていく。
バシャバシャ
「くそっ!」
水が溜まり動く際に邪魔してくる。
(このままではやばい!)
バシャバシャと水を跳ねさせながらクロードは焦り始める。
ゴオォォォォォッ!
部屋に響き渡るモンスターの声。どうやら起きたようだ。
(そうだ!)
クロードは何か思いついたのかモンスターに向かっていく。
(ん?まさか・・・ちっ!そうはさせるか!)
クロードの思惑に気づいたロイは進行をさまたげるように放つ。だが、クロードはそれを最小限に避け一気に距離をつめた。
「くらえぇぇ!」
ドゴォォォン!
クロードの一撃はモンスターに当たり止めを刺した。すると
ガチャ
と何処からか音がなる。そして、ウィィンという機械音とともに壁の一部があいた。クロードはそこに駆け込む。そう。クロードは今の不利な状況から脱するためモンスターを倒し扉を開いたのだ。
「ちっ、防げなかったか・・・って何でクロードと戦っているんだ?・・・まあいいか、ここまでの相手と戦うのはいつもと違って楽しいからな」
そう言ってロイは警戒しながらクロードのあとを追っていった。
「なんだ、ここは」
扉を抜けるとそこは不思議な空間だった。いくつものガラスと鏡が不規則に立ち並び、距離や場所の感覚が狂うような感じだ。クロードはロイが来る前にその奥へと入っていった。
「さて、クロードは何処かな?・・・おっ、隠れずに待っているとはな!」
そう言って目の前にいるクロードに向かってパチンと指を鳴らし炎の玉を出す。だが目の前のクロードは避けようともし無かった。そしてそのまま・・・
「ん?・・・なに!?」
ロイは横に転がるように避ける。すると、ボォゥッと炎の玉が通り過ぎ後ろの壁に当たり消滅した。それは、クロードが出したものではなく、ロイが出した炎だ。そう。ロイが出した炎の玉は何かに当たり消えずに跳ね返ってきたのだ。しかも、目の前のクロードは本物ではなく鏡に写った姿。よく見ると他にも数箇所クロードが写っている。
「ちっ・・・ここではこっちが不利か」
どうやらここにある鏡は光だけではなく力までも反射するようだ。つまり、遠距離の飛ばすような魔法を使えば自分にかえってくるということだ。ここでは近距離攻撃が適している。
「まあ、まずはクロードを見つけないとな」
そういって奥に入っていった。
どちらが変わったかというと見ての通りクロードです。でも、ロイも変わってしまったような気が・・・
まあそんなことよりも、内容はどうですか?何か二人が争ってしまいましたが戦闘シーンを書いて見ました。
これは初めてといっても過言ではありません。なぜかというと、前はもう一人のほうに戦闘シーンを任せっきりにしていたからです。なので、上手くかけたかどうか気になります。というより、この章から読者が減ってしまったらとドキドキです。
この話を任せてもらったからには読者を減らすわけにはいかない。がんばるぞぉ〜!