第一章 迷コンビ?
今回急いで書き上げた一章。
何故急いだかは投稿の日付を見ればわかるかと・・・
詳しくはあとがきにて
それでは酒場で出会った二人
そして、初めての共同作業
一体どんなことがおきるのか・・・
それでは一章をどうぞ
さて、ロイとであった街から東に約百キロの地点に位置する森の中。
そこに今俺たちはいる。
森の外に馬を置いてきたが、それは森が予想以上に険しく、人一人通るのもやっとだったからだ。
迷宮が今まで発見されなかったのも納得がいく。
一時間以上も歩いただろうか、やっとお目当ての迷宮が見えてきた。
さあ、宝探しの始まりだ!
「だー、やっと着いた」
俺も一応プロだから疲れた、と口に出して言わなかったが、うざったい草木に行く手を阻まれなくなったことは素直に助かった。
見るからに何かありそうな迷宮の入り口。
まだまだ人が出入りした形跡は少ない。
それもその筈だ。
ロイには話していなかったがこの森にはドラゴンが生息しているとの目撃情報があった。
地上最強の生物であるドラゴンと遭遇して、生きて帰れる確率は決して高くない。
しかし、ドラゴンを恐れる俺ではなかったのであった。
「さて、目的の迷宮にもたどり着いたことだし、中に入るとするか、ロイ」
「ああ、そうだな。そういえば、お前は魔法が使えるのか?」
外見からして自在に魔法を使えそうに見えないが一応聞いてみる。
「使えるような使えないような、どっちなんだろうな?」
質問に質問で返す。
「ならいい。よし、行くか」
そういって先に行く。
「ちょっ、お前、今のは突っ込む部分だろうが!ああ、待てって、置いて行くなー!」
あっさりと身を翻し行ってしまったロイの後を追いかける。
しかし、迷宮の中は真っ暗でなかなか奥を見通すことが出来なかった。
「ロイは光の玉とか、そんな松明の代わりになる魔法使えるのか?」
一応懐に松明は持っているが、念のために今はまだ使いたくないので訊いてみる。
「一応使えるが、消耗しやすい。何か物に固定すれば大丈夫だが・・・お前の剣につけるか?」
そういいながら、手のひらに光の玉を作る。
「だあ!馬鹿野郎、俺の剣にさわんな!!!」
ロイの手をするりとかわし、少しばかり距離をとる。
「別にそいつをくっつけるのは何でもいいんだろ!だったらコイツで勘弁してくれ」
そう言いつつ俺は懐から取り出した棍棒をロイに向かって投げた。
「光る剣のほうがかっこいいと思うんだが・・・しょうがない、棍棒で我慢するか」
光の玉を棍棒につける。
すると、棍棒の先にとどまり、松明のように光で周囲を照らす。
「あ、そうそう。これは俺が使わせてもらうよ。この光の玉は武器にもなるし」
そういって振り回す。
光の玉から火の粉みたいに光の一部が飛び出す。
「な!使えるだろ!」
「光る剣がかっこいいだと?この剣はこのままでも十分かっこいいだろが!見ろこの輝きを!」
そういって剣を抜き、ロイに見せる。
「純色に輝くこの光沢、すらりと伸びたこの刀身、豪快さの中にある華麗な装飾!十分に、最高に、究極にかっこいいだろが!!!」
「すきあり!」
自分の剣を自慢しているクロードの剣に、さっきもう一つ作っておいた光の玉をつける。
「ふ、どうだ!かっこいいだろ!」
「甘いわ!」
身を翻してかわした。
つもりだった・・・。
なんと、光の玉は俺の頭にくっつきそのまま輝いていた。
「あつ!ちょっ、これ何とかしやがれ、この馬鹿野郎が!」
慌てて手で払うが取れる気配はまったくない。
水も無い。
何も無い!
「ギャー!!!」
「くっ・・・ふ、はははっ・・・だめだ、笑いが・・・」
何とか笑いを我慢する。
光の玉を払おうとしているが魔法を消すことはできない。
だが、普通の炎と違いこれはただの光りなので燃えたりはしない。
しかも、固定する材料に影響が出ないように、膜みたいなので保護している。
なので、熱は中に伝わらないようになっている。
「面白いし、目立つからそのままにするか。よし、出発だ!」
クロードを置いて中に入っていく。
「お前絶対にこの仕事終わったら殺す!」
ディスペル系の解除魔法は苦手だが、何とか解除してロイのあとを追う。
後ろから蹴っ飛ばしてやろうと思ったが、今は仕事中だから自重した。
そのまましばらく奥に進むと、ぽっかりと拓いた空間に出た。
そこには数体の石像が設置されていて、いかにも宝がありそうだった。
「いかにも何かありますって場所だな。おい、ロイはそっち側探してみてくれ、俺はあっち側探すから」
「わかった」
ちっ・・・面倒くせーな。
探知系の魔法でも使うか。
探知系の魔法の中で消費の少ないものを使う。
「ここら辺かな?」
そういって調べる。
この空間の中で目立つとなると、やはりこの石像だろう。
何かの悪魔を模ったものか、とても精緻で今にも動き出しそうだった。
「う〜ん、街に持っていったら高く売れそうだけど、持ち帰るわけにもいかんしな」
しばらく持ち帰る方法が無いか考えるがすぐに諦める。
ほかに何か無いか探そうとしたとき、唸り声のような音が聞こえた。
「ん、何の声だ?」
耳を澄ましてみるが、今のところ何も聞こえない。
「ロイ。お前何か喋ったか?もしくは何か変な声聞こえなかったか?」
「いや、知らないよ。ここかな?・・・いやここか?」
そういいながらどんどんトラップなどをといていく。
それに集中していて周りには気があまりまわっていなかった。
「そっか、じゃあ俺の気のせいだったのかな」
俺は人並み以上に耳やら何やらは優れているので、念のため注意しながら宝を探す。
ゴト、ゴトゴト
背後から音がしたので素早く振り向くと、そこには石像が両手を振りかぶっているのが見えた。
「どわぁ、あぶな!」
振りかぶり、下ろされた腕を何とか紙一重でかわす。
「こいつら、まさかガーゴイルか!」
厄介な相手が出てきたもんだ。
こいつらは石像や銅像に化けて人を襲い、その血肉をすする凶悪なモンスターだ。
その外皮は見た目どうり硬く、力もかなり強い。
見たところ槍やら剣を装備している。どうやら、道具を扱う知恵もあるらしい。
まったくもって厄介なやつだった。
「こういう時は魔法でドカンとやっちまえロイ!」
「ここをこうしてっと、・・・ん?何か言ったか?・・・ここはこうっと」
集中していて聞いていなかったのだ。
「あほかこの馬鹿野郎!!!!」
数体いるガーゴイルはなぜか俺ばかり狙って来ていて、ロイの馬鹿には一体も向かっていない。
「やっぱ殺す!この仕事終わったら絶対殺す!!!」
そういっているうちに迫ってくるガーゴイルたち。
やられっぱなしもしゃくなので、俺も本気を出すことにする。
「どりゃ!」
俺の右ストレートがガーゴイルの顔にめり込み、顔が砕け散った。
「まず一体目」
下手に知能があるせいか、俺の背中にある剣を警戒しているせいでやつらの動きは鈍い。
まあ、こいつらごときに俺の大切で大切な大切に扱っている剣を使うわけが無い。
「てめえらには俺の拳で十分だこら!」
二体目は後ろ回し蹴りで側頭部を粉砕し、三体目は生意気にも反撃してきたので、四体目のやつの頭をつかみ、そのまま打ち当ててやった。
そんなこんなで全部のガーゴイルを始末し終えた俺は、ロイの馬鹿野郎に近づき後頭部に拳を振り下ろした。
もちろん手加減してますとも。
岩を砕く程度には。
クロードの拳があたった・・・が、それは頭ではなかった。
「いやぁ、お見事!あんまり攻撃魔法は使いたくなかったんだよ。あと、これは念のためにかけておいた防御魔法さ」
そういうと体をまとっている魔法が透明から半透明になった。
ガツンといい音がして拳がしびれた。
しかし、怒りのメーターが一回転して正常になるくらい怒った俺にはそんなものは関係なかった。
「ふ〜ん、じゃあその防御魔法と俺の拳、どっちが強いか試してみるか」
一撃、二撃、三撃、・・・壊れる気配はまるで無い。
「ちょっと待ってろ、今気合を入れる」
腰を深く落とし、呼吸をゆっくりする。
目の前の壁に集中し、破壊するイメージを強くもつ。
「あ!そうそう。隠し扉を見つけたんだよ」
そういって壁のほうに歩く。
「ここをこうしてっと・・・」
ガタンと音がして開く。
「よし、行ってみようぜ!」
そういって、進もうとする。
走る、全力で。
駆ける、高速で。
ロイの馬鹿野郎の足元に拳を打ちつけ、地面が爆砕した。
大きくえぐれた拍子に土が少しついたので軽くはたく。
「次にふざけたことしたら仕事中とか関係なく、この拳をお前にくれてやるからな」
地面には悪いが、溜まったストレスを発散したことで多少は落ち着いた。
「じゃあ行くか!」
「ああ、できるだけ気をつけるよ。さあ、進もう!」
そういって、楽しみながら進む。
何か釈然としないがまあいい。
少し進むと行き止まりになっていた。
「こりゃ何かあるな。調べてみてくれ」
わざわざ隠し扉を作っておいて行き止まり、というのは如何にも怪しい。
「何か命令されるのはなぁ、まあやったるか」
パチンと指を鳴らす。
すると、壁の一部が光りだす。
「あれだな。こうしてっと・・・」
ガコッと音がして、道らしきものができる。
「やればできるからたちが悪いよなお前は」
これほど手際よく物を探したり、暴いたりできるやつを俺は知らない。
その点に関してだけは、いろいろとむかつくこともあるが、やっぱりむかつくが、認めてやってもいいかもしれなかった。
またまた、道を歩いていくと、今度はどうやら当たりのようだった。
「よっしゃ、当たりか!」
そこには木箱や堅牢そうな箱、多種多様な箱がおいてあったのだ。
「箱?」
罠か?
いや、そんな複雑な罠はないだろう。
開けてみるかな。
「どうする?あんたに任せるよ」
「あいよ、んじゃ適当にあさってみるか」
まずは果物とかよく入っているような木箱を開ける。
しかし、中は何も入っていない。
「ハズレか、次はっと」
そういって次々と箱を開けていくが、売り物になりそうなのは一つもなかった。
「最後に残ったこいつにかけるか」
最後に残った箱は如何にも堅牢で、素手ではとても開きそうはなかった。
「魔法でこいつを開けられるか?」
「開けることはできるが・・・」
面倒くせーしなぁ。
消費したくねぇし。
「お前の拳でもできるんじゃないか?」
「しかたねえな」
先ほどと同じ要領で力を溜める。
箱に手を添えて、力任せに蓋をこじ開ける。
「うおりゃ!!!」
ガゴッン!
派手な音を立てて箱が開いた。
中身は・・・
「なんだ?メダル?」
箱の中に入っていたのは、たった二枚のメダルだった。
しかも、古ぼけていて売れるかどうかは微妙だった。
「こんだけ頑張って、これだけか・・・」
手にとって見てみるが、別段変わったとこの無い普通のメダルだ。
何かしらのマジックアイテムかもしれないので、一応もって帰ることにする。
「ほら、二枚あるからお前の分だ」
「ああ」
メダルを受け取る。
「今日はもう疲れたから撤退しないか?あとの探索は後日にしよう」
「ああ、そうだな。よし、帰るか!」
そういって出口に向かう。
そんなこんなで探索は終わり迷宮から出た。
まだ日が出ている時間帯のはずだが、なぜか外に出ても暗かった。
・・・
・・・・・・
「うそ〜。ド、ドラゴンかよ!」
暗かった理由は明白。
そこにはドラゴンがそびえ立っていた。
「くっ・・・ドラゴンか・・・行け!クロード!!」
ドラゴンのほうを指す。
「お前はこういうときのために雇ったんだ!」
「アホか、この馬鹿野郎が、雇われたのとは違うだろ!」
ここでそんな言い争いをしているわけにもいかず、突貫する。
普通は逃げるのが一番良策なのだが、この距離で見つかってしまったら殺りあうしかない。
幸いにして相手は下級ドラゴン。
やってやれないことは無い。
渾身の一撃をドラゴンの腹にお見舞いするも、外皮の堅さはガーゴイルの比ではなかった。
「痛っ、堅いな」
堅い上にでかい。
体長は5メートルを越すだろうでかさだ。
今の一撃程度の攻撃では微塵も効いていないようだった。
ドラゴンは一度大きく息を吸ったかと思うと、業火をはいた。
「どわ、あぶね!」
一度大きく離れる。
「駄目だな。素手が効くと思ってるのか?」
そういいながらのんきの観戦している。
「俺に剣を使わせようってか?嫌だね」
俺は再びドラゴンの懐にもぐりこみ、力の限りに殴りまくる。
さすがに多少は効いているのか動きが鈍い。
「どっせい!」
高くジャンプしてやつの首筋に踵を落とす。
綺麗に決まった。
地面に倒れる巨体。
「ハアハア、ハア。ほら!てめえの番だロイ!」
「いやぁ、凄いですね!・・・で、何をしろと?」
倒れているドラゴンを見て言う。
「お前やっぱ今すぐ殺すか?きっとこの地球も綺麗になるだろうさ」
拳を固く握り、本当の敵に殴りかかる。
もちろんドラゴンを殴るときよりも強く殴りますよ。
いやぁ、憎しみって人を強くするんですね、うん。
「しょうがないな。では・・・」
パチンと指を鳴らす。
すると、急に気温が下がっていく。
そして、一瞬のうちにドラゴンが凍りつく。
しかも、近くにいたクロードにも影響が出ていた。
「あとは止めを刺せば終わりですよ」
ドラゴンの熱で温まっていたものを急激に冷し凍らせたので、さっきまで堅かった外皮はもろくなった。
「とりあえずわざとだってのはわかった。後で覚悟しとけよ!」
これ以上長引かせるとどんな被害を被るかわからなかったので、早々に決着をつけることにする。
凍りついた腕をかまわず動かし、剣を抜く。
そして、巨大なやつの首を狙い振り落とす。
その速さは拳の時の数倍。
ゴトリと落ちる生首は生々しく、飛び散る血は熱かった。
「うわぁ〜、俺の剣に血が、汚れが〜」
すばやく手入れ用の布を手に取り、剣の手入れに取り掛かる。
「くそ、だから剣は使いたくなかったのに。汚れが落ちないじゃねえか馬鹿野郎!」
ロイにつめより、文句を言う。
そんなに大事なのかよ。
「すぐに拭けば大丈夫だろ。それでも駄目なら魔法で綺麗にしてやるよ。ただし、有料だがな」
そういいながら魔法で服を綺麗にする。
「大事な剣なんだよ、それこそ自分の身よりな」
この剣には思い入れなどという言葉では済まされないほどに、大切にする理由がある。
必死になって磨くと何とか汚れは取れ、元の輝きに戻ったように見える。
「ふう、何とかなったか。今日は無駄に疲れたな・・・」
「それならもう解散だな。また会おう!」
そういって背を向けて歩き出す。
「ああ、もう会うこともないだろうがな。じゃあな」
剣を吊って、歩き出す。
とんでもない馬鹿野郎だったが、魔法の腕は確かだった。
これで性格がもっとまともなら、今後もパートナーとしてやっていきたいぐらいだった。
「しっかし、今回の収穫がこのメダルだけか・・・」
職業柄無駄足などは慣れていたつもりなのだが、さすがにドラゴンまで戦ったのだ。
もう少しまともなものがほしかった。
このとき俺は疲れていたせいか、メダルに描かれていた絵、ドラゴンの絵柄の目が光ったことを見逃していた。
まさか、そのせいで再び、あの馬鹿野郎とコンビを組むことになるとは、今の俺は思いもしなかったのであった。
ありえないミスをしてしまいました。
そう、一章を載せる前に二章を載せてしまったのです。
だから、前書きにも書いたように急いで書き上げました。
一度二章を消したのでわからなかったかもしれませんね。
どうでしたか?
このまま二章もどうぞ