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「・・・痛ぅ」

目を開けるとそこは知らない場所に寝かされていた

「椅子から転げ落ちるなんて馬鹿な子」

眼が覚めると額の冷たいタオルがあてがわれ

客間のベットに横たわっていた

隣には村長娘のビアンカが付き添っている

「ビアンカ・・・晩餐は?」

「恙無く終わったわ、あんたが居なくても

居なくても問題無かったわよ」

「ああ、そうよかった」


あの状況では何も喉を通りそうにない

晩餐が終わってほっとした


「それにしてもヒューゴ様って素敵ね

まさに私の追い求めた王子様だわ

洗練されてあれが貴族じゃないって嘘みたい

私、一眼で好きになっちゃったわ!

絶対自分の虜のしてみせる」


「ビアンカにはトールディがいるじゃない

泥仕合いでセリアから奪っておいて

村の女の子達も貴方にカンカンだったわよ」

「ヒューゴ様と比べたらトールディなんて霞んで見えちゃうわ

お父様にお願いして彼を村に留めておく事は出来ないかしら

お父様って王室にも品物を納品してるから顔が効くのよ」


村長は領主の次に村で大きな家に住んでる行商人だ

個人の馬車を持っていて村民からの生産物を

安く買い付け王都で高く売るとの話だ

村民からかなり不満も出ていて

信頼されてはいないが他に輸送手段もない為

言い値で従うしか無い。

金にがめつく長老がいた頃は大人しかったが

亡き後はやりたい放題だ

そしてここにいるビアンカも父親似の娘だ

器量は悪くないが村の娘達から評判はすこぶる悪い

相思相愛だった村娘のセリアと農夫のトールディを

別れさせトールディを恋人にしたばかりだ。

セリアがメアリの所に何度も泣きながら相談に来てたので

事細かに知ってる。

またビアンカが懐妊しない薬をこっそり用達を

お願いされた事もしばしばある。

多分トールディだけでは無く他の

男とも未だ関係があるのだろう。


「しっかしあんたも大人しそうな顔してよくやるわね

店のオーナーには向かなかったけど

まんまと次期領主様を手玉に取って

男をたぶらかす才能はあるみたいね」

「変な言いがかりはやめてよ

ビアンカみたいに私は

誰かに言い寄られた事なんて一度も無かったわ」


・・・しかも貴方と違って純潔です!


「馬鹿ね!村の男共は男爵様のから

あんたに手出しできないよに言いつけてあったのよ

差し詰め村の生贄ってところかしら、あんたが居なければ

こんなちっぽけな村に鉄道が通るなんてなかったし

皆あんたに感謝してるのよ」


・・・確かに村の祭りでも一度も

ダンスを申し込まれた事がなかったな

自分には魅力がないと諦めていたし

楽しそうに交際してる同年代の子が羨ましく思っていたが

今の言葉で少し救われた。


「だけどハーディガン卿は

渋い魅力はあるけど奥さんと子供が居るんでしょう

奥さんは恐妻家と聞くし、お金持ちでも私なら願い下げだわ」

ビアンカが可哀想な目でメアリを見たが

要らぬ同情が腹立たしい


それに村の皆から期待されてると言われ心が痛んだ

ハーディガンと添い遂げる自信が今はもう無いのだ

ヒューゴに出会ってから何もかも変わってしまった。


「とりあえず私は部屋に帰るわ、あんたも今日は遅いから

ここに泊まるようにって男爵様が言ってたわよ

何も食べてないし何か欲しいならメイド呼んでくる?」

「要らないわ

ビアンカ、ずっと付き添ってくれてありがとう

貴方もおやすみ」

「じゃあね」そう言ってビアンカは部屋を出た。


しんと静まり帰った客室は広過ぎて落ち着かない

とりあえず晩餐の時のままのドレスを脱ぎたい気分だ

その時ドアをノックされた


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