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文学

カップラーメンに憑りつかれた男

作者: 千路文也

 これは勉強をせず、毎日遊んでばかりの高校生が実施したとある実験である。



 カップラーメンという便利な食品について俺は試行錯誤していた。このカップラーメンはあまりにも世間一般に広まり過ぎて、何気ない食料として重宝する。たとえば災害時などの緊急事態が発生した時、缶詰と1、2を争う非常食として長年トップに君臨している。ではなぜ、カップラーメンがそこまで重宝されるのか、それはお湯をかけるだけで食べられるという簡単料理だからだ。


 お湯をかけるだけでラーメンやうどんが食べられるのは料理が苦手な人にはとても助かる。現に俺もラーメンを一から作るのは、どうしても不安に駆られるのでいつもカップラーメンで済ませてしまう。


 だが、このカップラーメンはお湯のさじ加減によって味が微妙に変化する。高校生という若さでありながら既にカップラーメンマイスターを名乗る俺にとってはとても重要な事だ。若者は手軽で便利な物が好きだから仕方ない。こういった自虐も時には絶妙な調味料と変化する。


 さて、話しはそれたが本題に移ろう。カップラーメンのほとんどが3分で出来上がるという常識は皆さんもご存じだろうが、この3分という数字はまるで信用できない。伸びていたり、固かったりと味として微妙な気がする。


 そこで俺は夏休みを利用して実験をする事にした。それはカップラーメンの適切な待ち時間は何分かという内容である。


 実際に夏休みは毎日カップラーメンを食べて実験をした。最初は1分から始めたのだが、あまりにも固くてゲロマズだった。そこからどんどん時間を長くして、一週間が経つ頃には早くも2分30秒に到達していた。この2分30秒というのが俺的にも絶妙にマッチしていて、


「これはいけるぞ!」


 と、俺は友人を自宅に招き入れてタイマーできちんと計った2分30秒のカップラーメンを友人に食べさせた。「きっと美味しいと言ってくれる」そう信じてワクワクの俺だった。


 箸を持ち、ズルズルと麺をすすった友人。しばらく無言で噛み続けたと思うと、ブロブフィッシュも真っ青の渋い顔をぎこちなく動かして、こういってきた。


「なんか、固いね」


「なんやと!」


 俺はこの時ハッキリと理解した。人には好みがあるということを。自分が適切だと思った2分30秒が友達にとっては固く感じる事なんて考えれば分かることだったが、不覚にもそれには至らなかった。


 これでカップラーメンに懲りた俺は、残りの夏休みはそうめんを食べていましたとさ。




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― 新着の感想 ―
[良い点] そりゃそうですよね、麺の固さなんて人それぞれ、カップヌードルなら私は1分くらいで食べちゃいます。
2014/10/13 20:37 退会済み
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