世界を学んでいます。
私が時々思っていた事(カルナックと王様・・)呼びが念話によって青年二人に届いていたらしく、その為この王様は自分の名前を強調してそして私に名前で呼んで欲しかったようだ。
王様・・じゃなくて、ルドガーが執務とそして私が現れた事を各国に伝える為にこの場を離れた時にカルナックが〔内緒ですよ〕と言いながら教えてくれた。
今はカルナックも神官としての務めがある為、この場にはいない。
そして、暫くすると扉を叩く音がする。
その音にメイランさんが言葉を発すると扉が開いて飲み物を持った女の人が入ってくる。が、その背丈はゆうに180はあり髪は薄い茶色、しかも肌は浅黒い。一見すると男の人かと見間違えるが、その容姿はどう見ても女の人だ。
私がジッとその女の人を見つめていると手が滑ったのか、軽くカチャンと音がしてソーサーの上でカップが横向く。中にはまだ何も入っていなかったのでソーサーは汚れていないが、女の人は青ざめた顔でこちらに頭を下げる。
〔まぁまぁ、申し訳ありません。その者はつい最近成人を迎えてこちらの王宮にあがったものですから。〕
女の人のちょっとした失敗にメイランさんがフォローするも、私はさっきのメイランさんの言葉に驚く。
(成人したばっかり?嘘!背高っ!しかも15? 見えないっ)
どうやらこの世界の女の人は、この背丈が普通らしい。男の人はそれ以上。そして、私の身長【160あります!】だと10才になるかならないか・・。メイランさんも良くみればかなり背が高い。
(うわぁ・・皆が驚いたのがなんとなく納得だわ)
私はメイランさんが入れてくれたお茶を飲みながらこの世界の事を教えてもらった。
この世界にはいくつか国があり、ここはヴィラハルドで獣人の国なのは教えてもらっていたが、ここからかなり離れた隣国には魔法都市を主とするオルライドと言う国があるらしかった。
そしてそのオルライドとは反対側に存在するのは、妖精族が住むフィルトゥーレと言う国。他にも浮遊城アルファーレン、地下都市バルサなど、まるで本に出てくるような不思議がここには当たり前のように存在していた。
そして魔法の力でもどうしようもないのが、この世界の安寧なのだそうだ。
この世界には何百年かに一度、必ずある現象が発生する。
それはまるでこの世界を滅ぼす事を目的としているかのようにありとあらゆる問題がおきるのだ。
ここ獣人の国では、災害が頻発する。
隣国の魔法都市では使う魔法が段々限定されていき、ついには魔法の枯渇にまで追い込まれる。
妖精族の住まう場所では、全ての植物が枯れそして妖精がうまれなくなる。
地下都市では、度重なる地震や地割れが続きその都市機構を存続出来なくなる・・というように。
だが、この世界の神はこの世界を見捨てていなかった。
災害、魔法の減少、植物の枯れ、地震に地割れ、その現象が頻発する頃に異世界からの稀人が必ず何処からともなく現れる。それは神域の中に限定される為、この世界の人々はその現象がおきると各箇所の神域を回るのだ。
しかし、神域に入れる者は神が認めた者だけなので、各国の神官かもしくはその土地の王のみとなる。普通の人には神域の場所さえ知らず、そして立ち入ることさえ出来ない。
なので、神官と王以外がそこに居ればその人は異世界からの稀人、と言うことになる。
そして稀人に共通するのが、花のような麗しい顔にきめ細かな白い肌、そして黒髪に黒い瞳なのだそうだ。
この世界にも黒い髪の人はいるらしいのだが、黒髪に黒い瞳はいないらしい。
メイランさんによると、〔黒髪の方は必ず瞳の色が赤いのです。 そして、この獣人国民にのみ存在しており、その数は20人のみとなります。〕と言う答えが返ってきた。
この国には届け出制度というものがあり、出生は必ず届け出なければならない。
いわゆる日本での戸籍のような物があるらしかった。 そして、その戸籍が無いと仕事はおろか住む場所を確保したり、勿論結婚も出来ないらしい。
そして戸籍があるだけでこの国の色々な制度を利用できるのだ。それは、他国への留学援助だったり、家を建てる為のお金だったり(この国にはアパートとかなくて、全て一軒家なのだ!しかも国の保証つき!)とにかく色々と充実している。
税金というものもあるそうだが、この国の人達がもっと税金をとってもいいのに・・と言うくらい安いとのこと。そしてそれは、他の国全てに当てはまるそうだ。
私が今までいた世界とはあまりに違う国状に唖然としてしまう。
〔この国はとても素晴らしいんですよ。この世界も。〕
メイランさんの言葉にこの世界がどれだけ皆にとって素晴らしいのかを改めて実感させられる。
だけど、私にはどうしても聞かなければいけないことがあった。
それは、元の世界での私のこと。
事故にあった記憶を最後に途切れた意識。
でも今、私はこの場所に立っている。
それならば元の世界に帰ることが出来るのでは?と思ったのだ。
その事をメイランさんに聞くと、申し訳なさそうな顔をして〔すみません。その事は神官であるカルナック様しかご存知ありませんので、私ではご説明しかねます。〕そう言うと私に頭を下げた。
なかなかストーリーとして進んでません。
文章力の無さにちょっと落ち込み・・。
でも頑張って進めます!