彩奈の苦悩
サーシャの身体から金色の光が徐々に消えていき、それと同時に青白かったサーシャの頬がピンク色に染まっていく。
それを見た彩奈はサーシャへと声をかけた。
「サーシャ!」
彩奈の声に瞼を閉じていたサーシャは目を開き彩奈を見るとベッドから頭を上げた。
「彩奈様! 私・・!」
彩奈に声をかけたサーシャを見て、近くにいた母親がサーシャの側へと駆け寄る。
「サーシャ! あなた大丈夫なの!?」
「お母様。 ええ。 さっきまで苦しかったのが嘘みたいに!!」
サーシャのその声に部屋の外から様子を見ていたサーシャの父親もサーシャの側へと駆け寄った。
「サーシャ!!」
「お父様。 ご心配をおかけ致しました。」
サーシャの言葉にサーシャの父親は彩奈へと向かいお礼を言った。
「彩奈様! ありがとうございます!!」
サーシャの父親のその言葉に、病の原因が自分にあると思っている彩奈はそのお礼に答える事が出来なかった。
そして、家族で喜んでいるサーシャへと向かい声をかけた。
「サーシャ。 早く元気になってまた私の力になってね。」
その彩奈の言葉に涙を浮かべながら何度も頷くサーシャ。
それを見て、彩奈は部屋を後にした。
後から追いかけてきたサーシャの父親から深々と頭を下げられ、是非お礼として何か・・と言われたが、彩奈はそれを振り切りサーシャの屋敷を辞した。
サーシャの屋敷の前ではメイランが馬車の近くで待っていた。
彩奈はそれに乗り込み、次のセリーヌの屋敷へと行く。
セリーヌの屋敷ではセリーヌの母親が病にかかっていたのだが、少し前におきた金色の光によってセリーヌの母親はすぐに元気になったそうだ。
そしてそれが神子である彩奈のおかげだと、そこでもお礼を言われる。
彩奈はセリーヌに母親が元気になってからまた自分の元へ来て欲しいと言い置いてセリーヌの屋敷を出て、王宮へと帰った。
馬車の中では塞ぎ込んだ様子の彩奈を見て、メイランが心配そうにしていた。
(彩奈様、何かあったのかしら。)
王宮へと戻った彩奈は朝行ったはずの神域へと行きたいと、メイランに頼み込んだ。
メイランは彩奈に少し待つように言い置いて、ルドガーの元へと急いだ。
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所変わってルドガーの執務室。
ここでは竜王コンラッドが神子である彩奈を是非自分の国に招きたいとルドガーに頼みにきていた。
だが、地下都市から帰ってきてまだ間もない為、ルドガーはその頼みを断っていた。
その為話し合いは未だ続いていた。
「だから! まだあれから日にちもそう経っていないので、もう少し落ち着いてからと言っている!」
「そう言って後へ後へと延ばす気だろお前は!! 静養にも我が国は適している! それに神域にもお連れすると言っている! 何より我の甥が彩奈に会いたいと申しておるのだ!!」
そんな言い合いの中、執務室をノックする音が聞こえてきた。
「なんだ!! まだ、話し合いが終わっていない!!」
ノックの音に会話を邪魔されてルドガーが怒鳴るように答えた。
「失礼いたします。 早急にお聞きしたい旨が!!」
外から聞こえた声がメイランだと気づいたルドガーは彩奈の事だと思い急いで扉を開けた。
「どうした。 彩奈に何か!?」
「ルドガー様。 彩奈様が神域へ行きたいと。
」
そのメイランの言葉にルドガーは首を傾けた。
「神域へはもう行ったのではなかったのか!?」
神域に行くと言っていたのは朝だったはず。
今はもう昼。まだ行ってなかったのか・・とメイランに聞くが、神域にはもう言ったと聞かされ、不思議に思った。
「一日にそう何度も行かなくとも・・・。」
そう言った後、神域へ又行く。その意味を深く捉えたルドガーはコンラッドへ向かい
「悪いが、話し合いはまた別の日にしてくれ。」
そう言ったあと、彩奈の元へといそいだ。




