地下都市 6
あれから部屋へと何事もなく帰ってきた彩奈とドラバルト。
本当はすぐにでも竜王にドラバルトを合わせたかったのだが、あの部屋にいきなり入っていく事が出来るわけもなく。
それに、あれから少し聞いたところどうやら竜王はこのバルサの主宮に一泊するとのこと。 この主宮に泊まるのであれば時間もあることだろうし、又この部屋を抜けて行けばいいと思ったからである。
それにいつオルテンがこの部屋に来るとも限らない。 いつもはオルテンが主宮にいない時を狙って出かけている。 オルテンが主宮にいる時はいつも理由をつけてこの部屋へと訪ねてくるので、なかなか抜ける事が出来ない。 今日はどうやら竜王が宿泊するのでオルテンも主宮から出かけるのは無さそうだ。
(まぁ、神殿について聞けばどうせすぐこの部屋からは出ていくだろうけどね。)
オルテンがこの部屋に来てもすぐに神殿について質問すれば決まって必ず〔その事は又いずれ。〕と話を誤魔化され、そしてすぐ後に部屋から出て行くのが常である。 もし抜け出るとすればその後にすればいいだけだ。
(とりあえず今日はオルテンが来るまで動けないかな。)
すでに昼食の時間になっている。
オルテンは来客と食事をするのでこちらへはまだ来られないと、ソルダンが伝えにきた。 相変わらず昼食を寝室とは違う部屋においてもらい、侍女の人には終わったら呼ぶからと言って部屋から出てもらう。
(昼食はドラバルトと一緒に食べたいしね。)
朝食はオルテンにたまに呼ばれる為、ドラバルトの分は別に用意してもらう軽食を部屋へと持っていく。 夕食は部屋に用意してもらってたまにドラバルトと食べている。 たまにオルテンに夕食へと呼ばれるが夜は部屋でゆっくり食べたいので、と断っている。
ドラバルトと昼食を分け合って食べ、この日のオルテンの訪れを待っていると、又もソルダンが部屋へとやってきた。 どうやらどうしても避けられない貴族との会合がある為、夕食前頃まで帰ってこないらしい。
(チャンス!)
「そうなんですか。 では私はどうすれば?」
「本日は来客がお泊まりになりますので、なるべくお部屋から出ないようお願い致します。 申し訳ありませんが、お部屋の前に護衛を置かせていただきます。」
いきなりのソルダンの言葉に驚く。
護衛!?
今までそんな事無かったのに。
(それってマズくない!?)
「護衛って、何故ですか? 」
「お泊まりのお客様がちょっと特別でして、稀人である貴方に何かあったら困ります。 ですから護衛がお付きになります。 申し訳ありませんが、本日のみですのでどうかご了承下さい。 」
そう言うとソルダンは部屋を出た。
「どうしよう!! 護衛がいたんじゃ竜王の所へドラバルトを連れて行けないじゃない。」
せっかくオルテンがいないというのに、この部屋を出る事が出来なくなってしまった。
どうしよう、どうしようと必死に考えてみるがなかなかいい案が思い浮かばない。 内心であたふたしていると、ドラバルトが妙に静かな事に気がついた。
「ドラバルト? もうソルダンもいないから大丈夫だよ。」
ソルダンがいる間ずっと寝室にいたドラバルト。 ソルダンがいなくなってすぐ私の側へと来たのに一言も声を発していないのだ。 そのドラバルトは私の側にちょこんと座って何故か中空をみていた。
私が声をかけても、反応しないドラバルト。 流石におかしいと思い、両肩を持ってグラグラ揺するとやっとこちらに気づいたかのようだった。
「大丈夫だよ。 コンラッド様がこちらに来るって言ってる。」
私が竜王に会いたいのだと知っているドラバルトはどうやら竜だけが通じる特殊な念話を使って、自分がここにいる事を伝えたそうだ。 ドラバルトから念話を受け取った竜王は驚いた後、どこにいるのかをドラバルトから聞き、そしてドラバルトを叱っていたらしい。
(この短い間に。)
そして、応接室からこの部屋までの道のりを伝えたそうだ。
今いるのは応接室ではないらしいが、そこから程近い客室らしく今すぐこちらに向かうと言ったらしかった。
「良かったね。 これで帰れるよ。」
竜王がきたらドラバルトを連れて帰るだろう。 できればその時地上の事とかも聞けるといいな、なんて考えていると部屋の外で何か言い合いをしている声が聞こえてきた。
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「ですから、ここをお通しするわけには行きません!」
「我はアルカーレンの竜王ぞ。 バルサのオルテン殿は主宮の中ならどこでも自由に、と言って下さった。 なのにそなたはオルテンの言葉に逆らう気か。 それとも何か、竜である我にオルテン殿は嘘を言っているのか?」
「そ・・そんな。 私はただ誰が来ようとここを通してはならんと言われてますので、それを守っているだけです。」
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どうやらこの部屋の前では護衛と竜王が言い合いをしているらしかった。
私は何があったのか、と気づいたふりをしながら部屋の扉を開いた。
「どうしたの? 騒がしいようだけど。」
私のかけた声に振り向いた護衛と竜王だろう人。
「いけません! 急いで扉を閉めて中へ入っていて下さい!」
そう言って護衛の人が扉を閉めようとしたその時、竜王が護衛の肩を押しのけてこちらへと向かってきた。
「彩奈様ではありませんか!!」
その言葉を発した人を見るが知らない人だった。
いや、知らない。 知らないはずなのだ。
だけど、何故か竜王の顔を知っていると思った。
「あの、何処かでお会い致しました?」
私のその言葉に竜王は「やはり・・・」と呟いた。
「記憶が改竄されている? いや失われている、のか?」
(記憶の改竄? 記憶が失われている? どういう意味なのだろう? もしかしてずっと見ている夢に何か関係があるのかな? )
竜王の呟いた言葉にそれが私に関係があるものだと気づいた。
「やはりバルサがからんでいたのか。 彩奈様、とにかくヴィラハルドに急いで念話を飛ばしました。 すぐにルドガーがジークを伴ってこちらへと来ます!」
ルドガー?
ジーク?
聞いたことのない名前のはずだ。
それなのにルドガーを知っている気がした。
何故?
ルドガーという名前をとても懐かしく感じる。
そして、
目の前の空間が少しだけ捻れたと思ったら、そこから金色の髪にアメジストの瞳、そして小麦色の肌をした若い男の人と青い髪に緑の瞳をした男の人がそこに現れた。
それと同時に彩奈は金色の髪をした男の人に「彩奈!」と呼ばれたと同時に何故か抱きしめられていた。
次でバルサの主オルテンと決着の時です。
もしかしたらこの話は編集するかも?です。
何となく話がまとまっていないような気がして。
こんな拙い物語を読んでいただきありがとうございます!




