表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界神話奇譚 〜白虎の王様〜  作者: 下弦の月
バルサ編
44/58

地下都市 2

「はぁ。」


ここ地下都市へ来てすでに2週間。

その間彩奈がしたことといえば、自分がいる地下都市の中心にある主宮内の散策のみである。

こちらに来た時に神殿へ行くことや神域へ行くことを求められたのだが、この主宮から神殿・神域への行き方などわからない。

最初に目覚めた時にいたドルーガにも聞いたのだが、どうやら地下都市には神官がいないらしくその為神殿・神域も機能していないらしい。 近いうちに神官を用意して神域にも行けるようにするから、と言われているのでそれを待っているのだが、今日まで神官が来た気配も無ければ神殿もどうやら未だ機能していないようだった。


事故にあい目覚めるまで、陽の光を浴びていた彩奈にとって、魔法の力で明るいとは言え地下での暮らしは窮屈なものだった。

神域に行けば青空や草原があると聞いているので早く神域に行きたいと何度も地下都市の主であるオルテンに言っているのだが、何故かのらりくらりと交わされてばかりで話が進まない。

しかもオルテンの話と言えば地下都市の主宮がどれだけ素晴らしいかの話や、オルテン自身の自慢話のみなのだ。 それを延々と聞かされ続けるのははっきり言って地獄だ。

そして毎日同じ話をするのだ。 地下都市は良い所で地上は悪い所と聞かされていても、この話を延々聞かされるよりは地上の方がマシなのではないか?と思ってしまう。


「彩奈様。 今日はいかがされますか?」


目覚めて一週間がたった頃に私付きとなった、侍女のサーリャに今日の行動を問われるが、すでに主宮内の全ても見終わっているので何をしようも無い。

サーリャはこの主宮で働き始めて間もないとのこと。 髪は薄いグレーでかなりの色白だ。 やはり地下で暮らしているせいか全体的に色素が薄い気がする。

今日こそ神殿へ行きたいとサーリャに聞くのだが、以前として(まだ準備が整っておりません)と断られてしまった。

いつもはそこで(そうですか。)とあきらめるのだが、今日の彩奈は違った。


「すみません、今日は大人しく本を読むことにします。」


そう言って彩奈は以前から準備しておいた本を5冊ほど机の上に置く。 その本を見たサーリャは一旦本を読み始めるとお昼も食べずに読むことを知っているため、

「では読み終わりましたらお声をおかけください。」

と一礼して部屋を出て行った。


これでこの部屋には少なくとも2時間以上は人が来ない。

来るとしたら昼食はどうするか?の確認の時のみだ。


そして彩奈は行動を起こすことにした。


主宮から外に出る方法は分かっている。 普段は魔法の使えるドルーガがいるが、今日は用事で地上にいる為、主宮を出ても気づかれることはない。

主宮を出て地上へ行くのが今日の目的だ。

地上への行き方はわからないが、とりあえずここを出て行けば何らかの方法は見つかるはずだ、と考えてとにかく手に入れておいた下働きの服に着替えた。

これは主宮をあちこち散策していた時にたまたま洗濯していただろう場所から落ちていたので拾っておいたのだがこの主宮では下働きの服の一つが無くなったくらいでは気にしないようだ。 どうやら下働きの人は短い期間で辞めて行く人が多く(待遇の面で辞めて行くらしい)その為服は簡素な綿で安く作っている。 なので、服の一枚や二枚では気にしないようだ。はっきり言って彩奈には無駄遣いとしか思えなかったが。

でもそのおかげでここを出るための服が手に入ったのだから今だけはそれに感謝している。


彩奈がいる部屋には護衛などいないので、顔を俯けるようにして洗濯物を両手に抱え部屋を出る。

万が一の為に部屋のベッドに服や替えのシーツなどを使って人型を作り、ベッドで寝ていると見えるように細工もしてきている。


とにかく部屋を出て洗濯する場所を目指す。

そこから外が見えるのでとりあえずそこへ行けば何とかなるかも?と思ったのだ。

下働きの服を着た娘が洗濯物を持っているので誰に見咎められる事もなく洗濯場所へついた。

そこには同じように洗濯物を持った娘がいて多くの洗濯物を洗っていた。


「あの・・」

彩奈がそう声をかけると近くにいた下働きの娘がこちらを見ずに

「ああ、そこらに置いてかまわないから。」

そう言って洗濯物を洗っている。


そして他にいる娘と話をしながら洗濯物を洗っていた。


「まったく、主宮で働けるのは凄い事だと親に言われてきたのに! 待遇の酷さってないよね!!」


「そうそう! 食べる物と言ったらパンとスープのみ。 これじゃ町で働いてた方がよっぽどマシだわ!」


「ねぇ、これが終わったら町へ行かない? いつもの所を通れば見つからないし。」


「そうね。 パーっと遊びましょう‼︎」


彩奈がその場にいるが、同じ下働きの服を着ている為、それにかまわずお喋りをしていた。


(外へ行く道があるんだ。)


娘達の会話を聞いた彩奈は新人のふりをして娘達についていくことにした。


「あの、私の仕事は終わってるのでお手伝いします。」


「あら、見かけない顔ね。 新人?」


「はい。アリーと言います。 それで、これが終わったら私も外へ遊びに行きたいんですが・・・」


「あ、いいわよ? 洗濯物もこれで終わりだし、早く済ませて遊びに行きましょ‼︎ 私はヨルダと言うのよろしくね。」


ヨルダと名乗った娘は彩奈を新人のアリーと信じて連れていってくれる事になった。


(そうと決まれば洗濯物を早く終わらさないと!)


彩奈が入った為か、それから30分程度で洗濯が終わった。

それを干す係りの人に渡すと早速外へと案内してくれた。


「アリー! こっちこっち。」


そこは洗濯していた場所から直ぐの壁だった。 壁と言っても石を積んだような物でとても頑丈そうだった。 そんな場所からどうやって外に出るのだろうと見ていると、壁と壁の間に女性が通れそうな隙間が空いていた。

普段は草に囲まれてこの隙間は見えないそうだ。


「ここから出て帰ってくるのもここからなの。 遊びと言ってもどうせ一時間くらいしか遊べないんだけどね。」


一時間後には点呼があるのでそれまでに帰ってこないといけないらしい。


「そうですね。 私も一時間しか時間がないのでちょうどです。」


新人と思われているので、話を合わせる。

ヨルダに続いて外に出て一緒に町まで行く事にする。


「私は実家によるから町についたら別行動ね。」


「あ、私も家によるので大丈夫です。」


町についたら地上に出る何らかの方法を聞こうと思っているので、別行動なのは安心する。


「わかった。 じゃあ一時間したら忘れず戻るんだよ?」


「わかりました。 ありがとうございます。」


主宮を出て10分ほど歩いて町に着くとヨルダと別れた。


「さて、地上に行く方法って誰か知ってるかなぁ。」


彩奈は知らなかった。

この地下都市から地上に行く方法は二つ。


それは魔法で空間を作り地上へ出る方法。

そして神殿で神に祈りその祈りが通じれば地上に出られる事。

だが、神殿はオルテンによって封鎖されていた。

そして神域への道もドルーガの魔術によって閉ざされている事を。


その為、この世界ではかつて国が滅びた時と同じような現象があちらこちらで起こっていた。

そして、それは地下都市にも徐々に魔の手を伸ばしていたのだった。

更新遅くなってます。

読んで下さってる方にお詫びしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ