地下都市 1
(・・・う・・ん・・)
少しずつ意識が浮上する。
それと同時に薄明るい物を瞼が感じた。
「稀人様。」
近くで誰かの声が聞こえる。 その声に導かれるように彩奈は目覚めた。
「お目覚めでございますか?」
聞いた事のない声に誰なのだろう?と彩奈は思う。 そしてそれと同時に意識がはっきりした。
「え? あの・・ここはどこですか? 確か私、車にはねられて・・。」
そう。
確か、車にはねられた記憶はある。
だが、その先がどうなったのかがわからない。
「ここは地下都市バルサです。 そして、ここは貴方がいた世界とは違う世界になります。」
彩奈が寝ていただろうベッドの近くには黒いローブを羽織った人が佇んでいた。 そして、どうやら彩奈に声をかけてきたのもその黒いローブを羽織った人のようだった。
「え・・と、私って死んだはずですよ? それでここにいるって・・、しかも世界が違うとか言われても。」
彩奈は顔の見せないその黒いローブの人物に不審そうな顔をしながらも、自分が違う世界にいる事に疑問をもつ。 彩奈の中には車にはねられた時の記憶しかないからである。
「ああ、これは失礼しました。 私はこの地下都市バルサの魔法管理をしている、ドルーガと申します。 稀人である貴方が異世界から渡ってきたのを感知して、こちらに運びました。 あなたは地下都市バルサに幸福を齎す為、神から選ばれたのです!」
彩奈から不審な顔で見られているのに気づきそう説明をすると、頭から黒いローブを取り払うと灰色の髪をした男性が現れた。
地下にいるからなのだろうその肌は青白く、瞳はグレーだがかなり白っぽい。 一見すると病人なのでは?と思わせるくらい病的な顔をしていた。 ドルーガに病気なのでは?と聞くと、地下都市に住む物の大半はドルーガと同じように肌は青白く、そして全体に色素が薄いのだそうだ。 これは、地下に住む物の運命らしい。
「稀人である貴方が地下都市に来て下さったおかげで、この地下都市もこれから栄えることでしょう! 地上とは比べ物にならないくらいにね。」
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彩奈が地下都市で目覚めて一週間がたった。
ここ地下都市バルサの主はオルテン・シュナイ・バルサと名乗ったみるからに脂ぎって小太りした40代で、彩奈が近づきたくない種類のおじさんだった。
目覚めてすぐにドルーガがオルテンを呼びそこで紹介されたのだったが、彩奈は初めて会うその地下都市の主は見覚えのあるような気がしていた。 ニコニコとしたオルテンの笑顔に内心(気持ち悪い)と思ったが、この世界に来てこれからお世話にあるのだから・・と我慢していた。
「よく来てくれた!」
そう言って彩奈の手を取った時には、そのベタベタした感触に思わず手を振り払ってしまいそうになったくらいだ。
それに何故だかわからないが、彩奈は常に(ここは違う)という感覚がしていた。 地下都市バルサの名前も初めて聞いたのに、聞いたことがあるような気がしていた。 そして、この世界についてドルーガに教えてもらっている時も、魔法都市を首都にもつオルライドや獣人国ヴィラハルドの名前にやっぱり知っていると何故か思ってしまう。
特にヴィラハルドの名前を聞いた時には、懐かしいとさえ思ってしまっていたのだ。
だが地上の国の事を詳しく聞こうとすると、オルテンやその側近であるソルダンに(地上に対しては良い話を聞かない)や、(稀人が地下都市に現れるのを知った地上の国に無理やり連れて行かれて軟禁されてしまう)など聞かされてしまう。
その為、彩奈は(地上は恐ろしい所なんだ。)と思うようになっていた。
その頃地上では、彩奈がいなくなってすぐに役病が流行りはじめていた。
獣人国に稀人が現れたはずなのに?と人々は首を傾げていたが、そのうち獣人国に現れた稀人がいなくなった・・という噂が何処からともなく流れていた。
更新遅くなりました。
こちらも不定期っぽくなっています。
話の概要はできているんですが、文章を纏めるのになかなか・・。
読んでいただきありがとうございます!




