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異世界神話奇譚 〜白虎の王様〜  作者: 下弦の月
波乱
36/58

*神域にて (ルドガー視点)

更新お待たせしました!!



「王! 橋梁工事の日程ですが!」


「今年の税の徴収ですが・・」


「ルドガー様! 次のお休みには是非当家の茶会に!」


「ルドガー様。 竜王コンラッド様より、稀人様への謁見の申し込みがございますが・・」


「浮遊都市リンドルンの主より、こちらも謁見の申し込みがございます。」


昨日の披露目の儀式の途中で彩奈が退席したのを知り、歓談という名の情報交換中に彩奈の様子を見に部屋へ行ったルドガー。


しかし、メイランからすでに彩奈が眠ってしまった事を聞き、顔を見る為だけにメイランからの許可を取り付け(かなり揉めたが)寝顔を充分堪能し、パーティー会場へととって返した。


それから空も白み始めた頃、やっとパーティーが終わり自室で数刻仮眠をとった後に朝議。


その日やらなければいけない事を話し合い、部屋を出た途端に囲まれてしまっていた。

そして冒頭の押し問答が開始される。


「ルドガー様。 その他にも各国の王より稀人様への謁見の申し込み、そのお連れ様より贈り物が届いておりますが如何致しましょう。」


やらなければいけない工事の日程や、税の徴収か出来ない地域への軽減方法など大事な案件から○○家での茶会の申し込み等は毎回の事だが、今朝はそれに付け加え昨夜の彩奈への謁見が多数申し込まれていた。


(ちっ・・)


ルドガーはその王らしからぬ舌打ちを内心で行う。

稀人出現の報以来、あちらこちらから多数の問い合わせがあったが、稀人お披露目の儀式まではどの国も(個人、神官でさえ)稀人に会う事は出来ない。


だが、披露目の儀式を過ぎてしまえば稀人を保護する王の許可さえ得れば謁見が可能となる。

その為、ほとんど今朝まで行われていたパーティーの後だというのに、謁見を希望する多数の王や貴族達からの申し込みが後を立たないのだ。


しかも、そのほとんどが自国への誘いや個人的な誘い(貴族に至っては殆どが自分の息子への見合い依頼)である。


(なぁにが是非当家の薔薇をご覧になって下さいだ! 茶会という名の見合いではないか!! 竜国アルカーレンなどは小旅行のつもりでアルカーレン名物トリステン山へ遊びに来て下さい〜?! あれは10日ほどかけて山へ行き、その後20日ほど泊りで遊ぶ物ではないか!! 30日などもう小旅行ではない!!)



昨夜のパーティーでいやにしつこくアルカーレンへ招待していたと思ったら、やはりこれである。


竜王コンラッドは年齢こそ230才だが、竜の230は人間で言えばまだ20代前半だ。

しかも、竜王は未だ独身。

17才だと言った稀人の彩奈とは自分より年が近く話も合うらしい。


実際パーティーで、コンラッドと彩奈が話している時に周りでは。


「お似合いですわねぇ。 アルカーレンの方と稀人様。」


「そうですな。 見たところ話も弾んでいるようだ。」


「アルカーレンの王と、ヴィラハルドの稀人様。 お二人がご結婚されれば、竜の加護と稀人様の知識でこのヴィラハルドもますます栄えましょう。」


「まぁ! それはよろしいですわ!」


「おほほほほ。」


「わはははは!」


などと言う会話があちこちから聞こえて来ていたのだ。


(ヴィラハルドに出現した稀人は、王の伴侶になるのが決まりではなかったのか!!)


古い文献には出現した国に稀人を保護する権利があり、その権利を守る為に稀人は出現した国の王や神官と婚姻する事が絶対だと記されてきた。


だが、彩奈が今まで出現した稀人達の日記を解読した結果、稀人が出現した国以外の者と一緒になった記述があったらしいのだ。


その稀人は、出現した国に属し知恵や知識を伝授し自分の出来る事をやり終えた後、隣国の王に請われて嫁いだらしい。

その後、稀人が出現した国と隣国は稀人によって強固な繋がりをもったとか。


その解読内容が明らかにされ、稀人が保護する国以外の者と婚姻を結ぶ事が可能である事を知った他の国は彩奈を獲得する為に動き出し、ヴィラハルドの高位の貴族は稀人が王以外と婚姻する可能性がある為、自分の娘を王妃にしようと動き出しているのだ。


(全く次から次へと!!)


とにかく、謁見希望の王にはまだ慣れていないのでまたいずれ・・と返事をし、茶会等の誘いは(ルドガー、彩奈の両方)悉く断りを入れている。


一部の王などは今朝方早くにヴィラハルドを経った者もいるが、未だ彩奈との謁見を諦めない国が2、3ある状態だ。


とにかく、今日からルドガーとカルナックと彩奈の三人は神域へ行く事になっている。

この世界の安定の為には一日に一度は神域で過ごさなくてはならない。


時間的にそろそろカルナックと彩奈は神域にいる頃だ。


(行くか。)


二人がいるだろう神域へとルドガーも歩を進めた。



いつものように王宮からすぐ近くにある神域への近道を通り神域へ向かう。 そうすれば神域の中にある一本の木の近くへ出るはずなのだ。


ーーーフワリという感覚の後、神域へ出たルドガーは木よりすこし遠くで二人がいるのを見つけた。 虎になっている為、目線は下だが視力は上がっているので、簡単に二人がいるのを見つける事が出来るのだ。


だがカルナックは虎の姿で座り、彩奈の方を向いたまま微動だにしない。


反対に彩奈はカルナックから離れるように歩いているのが見える。


だが、恐らく歩いているだろう彩奈とカルナックの差は少しも開いていない。


(あれは・・)


この神域は広い。 だがそれは見た目だけだ。

どの国の神域も一本の木と四阿なのは変わらない。 それはその国の神域であると同時に世界の為の神域なのだ。


ヴィラハルドにあるこの神域もヴィラハルドだけの神域なので、他の国の王が入る事は出来ない。

一つに繋がっている神域とはいえ、ヴィラハルドと他国の王が神域内で出会う事もない。


見た目にはどこまでも広がっている神域だがそれは見た目だけ。 実際に確かめようと思って歩いても、その場から殆ど動いていない・・というのが現状なのだ。


どうやらカルナックは彩奈にそれを説明もせず、そして彩奈はこの広さを確かめる為に歩いているらしい。


(カルナックも人が悪い。 神に愛された者とはいえ稀人は人間。 この広さも我々と同じようにしか見えてはいまい。)


どうやらカルナックは前々から考えていた事を稀人の彩奈で試したようだった。


それは、神に愛された者はこの神域での広さを知 っているのか?


その為だけに彩奈を試したのだ。


(全くもって性格が悪い・・ハァ)



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