暗躍
ここはヴィラハルド王宮のある一室。
各国の王様の控え室となっている棟が並んでいる。
「ふ〜やれやれ。 やっと面倒な儀式が終わったわ。 ソルダン!おるか!」
その声に奥の部屋から陰のある男性が進み出る。
「お疲れ様でした、オルテン様。 稀人はどうでしたか?」
「ふん! あれは稀人などではないわ。ただの小娘よ。 あんな小娘が稀人とはな。」
主の言葉にソルダンも同意を示したかのように首肯する。
「今までに降りたった稀人も見かけはただの娘だったようですなぁ。 全く神は何をお考えなのか。」
部屋の真ん中ほどにある椅子に腰を降ろしてやや疲れたように話すのは地下都市バルサの王、オルテン・シュナイ・バルサである。
「この世界を救う為に来る稀人があんな小娘とはな。 過去の書を読んでいて知っていてもあんな小娘に何ができるとも思えん。 神域にただいるだけでこの世界が安定する・・と昔から言い伝えられているが、それも本当かどうか分かったもんではないな。」
主のその言葉にソルダンは侍女の用意したお茶をテーブルに置き、
「では計画はお辞めになりますか?」
主の意思を確認するかのように伺う。
「ふん。言い伝えが本当でも嘘でも、もう我が国には関係のないことよ。 計画はそのまま続行する。」
ソルダンの用意したお茶を眺めながら薄笑いを浮かべ答える。
主の意を組みこれからの事を頭に浮かべながらソルダンは了承し、頭を下げる。
「御意に。」
ソルダンのその言葉に満足そうな顔をし、テーブルの上のお茶を一口飲んだ。




