目を開けたら草原でした。
ん?
何故か体が痛くない?
って、もしかして寝てる状態でもない?
事故にあったはずなのに、体も痛くないし感覚的に横に寝てる感じでもない。
疑問に感じた私はおもいきって目を開けることにした。
・・・って、ココどこ?
まず最初に見えたのは、草原。
広い草原の中にポツポツと大きな木が見える。
足元には黄色や赤の花が咲いていて、とにかく自然がいっぱいの場所だった。
私の住んでた場所は少しだけど都会だったので、自然のある場所はお父さんの田舎ぐらいしか思いつかない。
それでも、道路はあったし家もコンビニもあった。
でも、今目の前にある風景には道路も家もない。
どこまでも広い草原だけだった。
(ちょっと待って!私、車に轢かれたよね?ってことは死んだってこと?・・で、ここは天国かどこかってこと?)
車に轢かれた記憶のある私が最初に浮かんだ事は死後の世界。
ほら、よく言うじゃない?
人は死んだら死後の世界に行って、そこにはお花畑があったりするとか。
とりあえず地獄に行かなくて良かったぁ
なぁんてのん気に考えてると、
ーーーーー‼
広い草原の中央に何故かいきなり動物が現れた。
しかも白い虎と茶色の虎。
(え?虎? 虎って普通にいるの? 動物園とかじゃなかったっけ? 確か、サファリパークにもいたっけ。って事は、ここってどっかのサファリパーク?)
事故で死んだはずの私がサファリパークにいるはずもなかったが、いきなり目の前に現れた二匹の虎に頭が混乱する。
(って、あれってこっちに来てるよね?)
私と虎の距離は多分100mくらい。
でも、少しずつこちらにむかってきていた。
(虎と遭遇した時の対処法ってなんだったっけ? 死んだフリ?ってそれは熊だった!)
徐々に近づいてくる虎を見つめながら、なんとかしようと考えるが、思いつかない。
(ちょっと待って、私死んだんだよね? なら逃げる必要なくない?)
車の事故で死んだはずなのを思い出して、急に混乱から解けたような気持ちになる。
そんな事を考えてるうちに、二匹の虎は私の目の前にきていた。
(うわ〜っ、なんだかキレイな虎! 白い虎って確か白虎って言うんだよね?)
どうせ死んだんだから・・と、二匹の虎を観察してみる。
白い虎は紫色の瞳をしていて、なんだか偉そう。
もう一つの茶色の虎は、白い虎より少し小さくて雰囲気が優しく感じる。
(へぇ〜、虎ってこんな感じなんだ。毛がなんだかふわふわそう。触りた〜い!)
始めて真近で見る虎に目をキラキラさせて観察する私の頭の中にふいに声が聞こえた。
〔なんだ?お前は?どうやってこの神域に入ってきた!〕
頭の中の声に、きょとんとする。
(なに?頭の上から声が聞こえる)
〔声がするのは当たり前だ!私が話かけてる事にさっさと答えろ。〕
頭の中で考えた事に答えが返ってくるのに驚く。
《ちょっと!誰よ!》
思わず言葉で叫ぶが、誰からの返事もない。
あるとすれば、目の前にいる虎が〈グルル・・〉と唸る声だけだ。
(なんなの?一体誰が話してるわけ!?)
〔ルドガー様。ここは私が。〕
今度はさっきとちがう優しそうな声が聞こえるが、やっぱり頭の上からだ。