披露目の儀式 〜王宮〜 1
ルドガーの後をついて神殿に来た時と同じ転移陣まで歩く。
次は王宮での披露目の為、神殿での衣装とは違う豪華なドレスを着なければならないのだが、これが又々一人では着られないのだった。 その為、メイランさんや侍女の二人に手伝って貰わなければいけないからだ。
(良かったぁ、便利な物があって。)
神殿から王宮まで歩いたら約30分はかかる。 それが転移陣で移動すると、5分もかからず行き来ができる。
ルドガーと一緒に王宮の転移陣まで帰ってきて部屋を出ると、すでにそこにはメイランさんが待ち構えていた。
「さぁ!彩奈様。 お急ぎになりませんと!! ルドガー様、失礼いたします。」
私の手を取りルドガーに一礼すると、早足で王宮の中の自室まで戻ってきた。
自室ではサーシャとセリーヌが私を待っていたようで、ドレスやアクセサリーを用意していた。
「彩奈様。 ドレスの準備は出来ております!」
「お着替えです、お着替え!!」
サーシャとセリーヌの手によって神殿用の衣装は脱がされ、ドレスを着付けられる。
ドレスは昔の貴族がきていたような物だが、コルセットは着けないタイプの物だった。こちらでは身長の高い人や体格の良い人が多いせいか、コルセットのような体を締め付ける物は普及していなかった。
(ドレスだからちょっと不安だったけど、普通ので良かったぁ)
コルセットは身体を極限まで締め付けて着る物だと昔の事が書いた本などで見た事があったので、それを着けなくていいと思っただけでもホッとする。
こちらではドレスの下に着る物もあるのだが、そんなに締め付ける事のないサポーターみたいな物なので着るのは比較的簡単だ。 ただドレスが相変わらず隠しボタンがたくさんなので、結局一人では着られない。
サーシャとセリーヌがドレスを着付けている間に、メイランさんが髪を櫛で梳いてくれる。
神殿ではそのままだった髪は、ドレスに合わせて軽く纏めるようだ。
「彩奈様の髪はとてもお綺麗なので、半分は降ろしておきましょうね。」
そのメイランさんの言うように出来上がった形は、半分だけ纏めてそこに花飾りを着け、
残りは背中にかかるように流れている。
その髪が出来上がったと同時にドレスの着付けも終わったようで、サーシャとセリーヌがネックレスとイヤリングを着けていた。
ネックレスは大きいルビーがついた物で、ルビーの周りには小さなダイヤが散りばめられている。 イヤリングはネックレスに合わせた物のようで小さなルビーとダイヤが交互に縦に並んでいる物だった。
全ての着付けが終わり、サーシャとセリーヌが使わなかった物を片付けている。
サーシャとセリーヌも貴族の一員なので、これから着替えて披露目の儀に出席するらしい。
「貴族と言っても末端なんですけどね」
サーシャのその言葉にセリーヌは頷く。
「彩奈様を披露目の儀で見られるだけで嬉しいです!」
そう言うセリーヌに合わせるようにサーシャも頷いている。
「私はこちらでの用事がありますので、待機となります。 広間まではお送り致します。」
メイランさんも貴族なのに、披露目の儀には出ないようだ。 メイランさんも一緒に・・と言ったが、若い時分に散々出ておりますので。と断られてしまった。
「ああいう華やかな場所は苦手なので・・」
本当に嫌そうに話すメイランさんを無理にとは言えないので了承する事にした。
本当は緊張するので、メイランさんに側にいて欲しかったのだが・・
「そろそろ広間に行きましょうか。」
サーシャとセリーヌは一足先にこの部屋を出ていっている。
ドレスに着替え次第、広間に行くそうだ。
末端貴族なので、早めに入っておかないと父親に怒られるらしい。
私は皆が集まってから最後の登場なので、少し待っていたのだ。
メイランさんに手を引かれ自室を出る。
今度は白金にオレンジのラインがある廊下へ進んで行く。
広間は外に通じる廊下から回り込んだ場所にあるらしい。
廊下を進み殆ど自室の反対側まで来た時、かなり大きな扉の前でメイランさんが止まる。
「中からお名前を呼ばれますので、聞こえたら扉が開かれますので中へ入って下さい。 入ればそのままルドガー様の前まで進むだけですので。」
扉の前には二人の人が立っている。
この人達はこの大きな扉を開くだけの為に立っているらしい。
そのまま暫く待っていると、中から
「披露目の儀開始でございます! 稀人様、お名前を彩奈様とおっしゃいます! どうぞ!!」
そんな声が聞こえてくると同時に、扉の前にいた二人が大きな扉をゆっくりと開く。
扉が開いたのを見てメイランさんが頭を下げる。
「いってらっしゃいませ」
メイランさんの言葉を受け、扉から中へと入って行った。
更新遅くなり、ごめんなさい。
風邪で暫くは二日おき更新になるかもしれません。




