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異世界神話奇譚 〜白虎の王様〜  作者: 下弦の月
活動開始
19/58

料理開始!


メイランさんに案内されて、廊下を白金にオレンジのラインがある方へ進む。

暫く行って大きな扉を抜けると、廊下の色がオレンジ一色になり、多くの人が行き交っているのが見えた。


「本来、こちらには下働きの者しか出入りしておりません。 こちらに来たい場合は、ルドガー様の許可をおとりになり、必ず私かカルナックを共におつけ下さい。」


カルナックは稀人の書以来なかなかこちらに来ていない。

書の中身をこちらの文字にして書き写している為、時間がかかっているそうだ。

昨日の昼食後やってきて、もうすぐで終わるのでその後王宮に又やって来ることになっている。


神域へは最初にこちらに来て以来いっていないのだが、行かなくてもいいのかな・・と思っていたら、こちらに来て一月立つ頃に他の国に向けて稀人のお披露目があるらしい。

その披露目の日まではこちらに馴染む期間としているらしく、まだ行かなくてもいいそうだった。

ただ、その披露目の後は一日に一度神域で過ごさなくてはいけないみたいだが。


(それも1、2時間程度らしいし、まぁいいかな。)


神域でただ過ごすだけなので、そこでお昼寝をしてもいいし、食事をとってもいいらしい。

とにかく、ただ神域で穏やかに過ごしていればいいので、そこは楽そうだ。


そんな事を考えていると、ふいにメイランさんが立ち止まる。


「こちらが厨房になります。」


そう言って一つの大きな扉の前に立つ。


その扉には他にはない丸い窓みたいな物がついていて、そこを軽く覗くとかなりの人が忙しそうに動いているのが見えた。


「なんだか忙しそうなんですが・・大丈夫でしょうか・・。」


定食が食べられる!その思いだけでメイランさんに連れてきてもらったが、厨房のあまりの忙しそうな雰囲気に一瞬躊躇してしまう。


「今はまだ忙しい時間ではないのでかまいませんよ。」


メイランさんはそう言うが、(これで忙しくないんだ!)そう思ってしまうくらい中の人はあちらこちらへ動いている。


だが、そんな私の思いとは別にメイランさんは扉を開き、中へと入っていった。 そして、奥の方で指示を出しているらしい大柄な男の人の方へすたすたと歩いて行くと、

「バルク!」そう読んだ。


呼ばれた男の人はその声に

「あ? なんだ、メイランじゃねえか。 何か用か?」

そう言ってこちらに歩いてきた。


(大きい!)

遠くにいた時にも大きいとは思っていたけど、目の前までくるとその大きさに改めて驚く。 メイランさんでさえその男の人の肩まであるかどうかなので恐らくは2mは軽々超えているのだろう。


髪は濃い茶色でほとんど焦げ茶に近くかなり短い。 肌色もこちらの世界では殆どがそうなのだが、陽に焼けたような茶色だった。


「彩奈様。 こちらがここの料理長のバルクシュ・キドリーです。 バルク、こちらが稀人の彩奈様です。」


バルクシュと呼ばれた人はこちらを向いて

「あんたが稀人様か! すごいな真っ白だ!! バルクシュ・キドリーだ。 よろしくな!!」

何故か感激したかのように私の手をとり上下にぶんぶん振る。


(これは握手?握手なのはわかるけど・・腕!腕が痛いっ!)


あまりの振り回しに顔を顰めてしまう。 私のその様子を見たメイランさんが慌てて止めてくれた。


「バルク! ちょっとやり過ぎです!!」


「ん? ああ、すまんすまん! そう言えば稀人ってのは弱かったな。」


メイランさんの言葉にバルクシュさんが急いで手を離してくれた。


「あの・・彩奈と言います。 よろしくお願いします。」

腕をさすりながら私も自己紹介をする。


「で?どうしたんだ?あんたがここに来るなんて珍しいな。」

バルクシュさんが、メイランさんに向かって話す。


「彩奈様が食べたい物があるとおっしゃられて。」

私がここに来た理由とメイランさんが話すと「そうか! 何でも言ってくれ! 作ってやるぞ!!」 バルクシュさんがそう言って自信満々に胸を叩く。


だけど、私は食べたい物を作る為にここへ来たのだ。


「あの・・そうじゃなくて、私が作りたいんです。」


その言葉にバルクシュさんはおどろいたような顔をしてメイランさんに話しかける。


「? この稀人さんがメシを作るって言ってるが・・本当か?」


「そうなの。 何でも食べたい物があるとかで・・」


「だから儂が作るって言ってるんだが?」


メイランさんとバルクシュさんのやり取りに申し訳ないとは思いながらも、自分が作りたいと話しかける。

バルクシュさんは訳が分からないといった顔をしながらも私が作るのを了承してくれた。


「で? 何が作りたいんだ?」


そのバルクシュさんの言葉にとりあえず何があるのかわからないので、食材を見せてもらう事にした。


厨房から奥に進むと食材を保存している部屋があった。 常温保存の野菜などは棚に並べて置いてあるが、冷やさなければならないものは部屋の一辺にある大きな貯蔵庫にいれられていた。 貯蔵庫と言っても物置みたいな物だったが、その中はかなり冷たくて冷蔵庫みたいだった。

それは魔法都市から購入しもので、貯蔵庫自体に魔法がかけられているそうだ。


バルクシュさんに食材を教えてもらっていると、隅の方に米らしき物があるのが見えバルクシュさんにお願いして先にご飯を作ってもらう事にする。

こちらでは炊飯器なんて物はないらしく、ご飯を作るのは竈みたいな場所で鍋で炊くやり方だった。


(確かに、普通の火でもご飯は炊けるもんね。)


ご飯を炊いてもらっている間に、バルクシュさんに教えてもらった食材で料理を開始する。

こちらの世界でも野菜は元の世界と同じような物が多かった。 食事をしてても違和感はなかったので、あまり不安は無かった。

ただ、肉類に関してはその限りではなかった。

牛、鳥、豚はいなくて、それに似た肉はあるのだが、それは山に住む魔獣の肉だった。

魔獣と言っても人を襲う物から食材として飼われている物と様々で、ここに並んでいる肉も飼育されている物だった。


とりあえず肉は別の機会に使うとして、今回は緑の野菜と魚を選ぶ。

それと、キノコがあったのでそれも使うことにする。

和食にかかせないダシがあるか気になったが、魚を乾燥させたものがあり匂いを嗅いでみると削り節みたいだったのでそれを使ってダシをとっておく。

醤油と味噌もあるそうなので、それも用意してもらった。


緑の野菜はほうれん草に似たもので、茹でても生でも良いとの事だったので、早速茹でる事にした。

魚は切り身にしてもらい、それを三枚ほど使う事にする。 白身だったので、例のアレが作れそうだ。


甘味が欲しくて砂糖が無いか聞いたが、こちらでは砂糖はなく、少し色の違うザラザラした物を用意された。

いつも元の世界で使っていた白い砂糖ではなかったが、味は同じだったので色の違う砂糖だと思いそれを使う事にする。

先に醤油とダシで茹でた野菜に軽く味付けして一品目が出来上がった。 言わずと知れたお浸しである。


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