そろそろ我慢が出来ません。
金持ちでわがままなお嬢様はどこの世界にも存在するんだな、とイライラした感情を無理矢理別の事を考えて誤魔化す。
全ての人みんなと仲良くする事は出来ないとわかってはいるが、最初から敵対心剥き出しで来られるとやっぱり腹が立つ。
元の世界では、比較的穏やかな性格と周りからみられていた私だが、それは忍耐力の賜物だ。
ご近所のアイドル的存在の妹が常に側にいた為、怒りなどという感情は自分の中に押し込めてきた。
腹が立つ事があっても、妹の為、妹自慢の母親の為、いつも我慢してきた。
そのかいあって、周りの私に対する評価は穏やかな人である。
実際、色々我慢してきたせいでだいたいの事には無関心を通せてきた。
だが、先ほど出会った人は〈ツェリーナと言っていたっけ。〉目が会った時からムカムカくるような人だった。
(さっきのツェリーナでしたっけ? あの人はどういう人なんですか!? 目が会った時から何だか私を睨んでたんですが。)
怒りが収まらないその感情のままメイランに問いかける。
〔申し訳ありません。 あの方は外務長ガイリック・バルデン様の御息女で幼少の頃はルドガー様の元婚約者様でした。あの方はワニ族の方なのですが、これ以上ワニ族の力が強くなるのを懸念された前ヴィラハルド王がルドガー様とツェリーナ様のご婚約を無かった事にしたのです。 ですが、ツェリーナ様は上級貴族。 未だツェリーナ様をルドガー様のお相手に、と望む声も多く・・〕
元婚約者。
確かにルドガーはこのヴィラハルド国の王様だから、いずれ結婚するんだろう。するはずだ・・
そうは思ったが、何だか胸の奥がもやもやした気持ちになる。
それが何故なのかは自分でも良く分からなかった。
(これはアレだわ。 あんな傲慢そうな人が王妃とかになったらこの国の為にならない。 だから、こんな気分になるんだ。 うん!)
〔彩奈様?〕
一人で納得してうんうん頷いていると、メイランさんとミディアさんが不思議そうにこちらを見ていた。
(そういえばあんまり心の中で思っちゃダメだっけ。)
心の中で思った事が念話として相手に伝わる為、なるべく注意していた。
最近は慣れてきて、念話と心の中で思った事を離す事が出来ているらしく、こうやって考えている事がメイランさん達に伝わらなくなってきていた。
(あ! なんでもないです。 部屋へ戻りましょうか)
こちらへ来て数日しかたっていないが、私はこの世界とヴィラハルドの事を自分なりに良くしていきたい・・そんな感情が芽生えてきていた。
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ツェリーナ(呼び捨て決定!)との出会いから数日はミディアさんと言葉の勉強をしたり、メイランさんにヴィラハルドの事をもっと教えてもらったりして穏やかな時が過ぎていた。
ツェリーナとの出会いのあの日、ルドガーから婚約の事を聞いたが、どうやらツェリーナの父親である外務長のガイリック・バルデンがごり押ししての話だったらしい。
だけど、前ヴィラハルド王からの通達で婚約が白紙になりガイリックは相当悔しがっていたらしい。
婚約が決まった時などは、ツェリーナを王妃にしていずれヴィラハルドを自分の思うように動かすのでは・・そんな噂もちらほらと流れていたようだった。
ルドガーも「私の知らない所で話が進んでいたようだったよ。」と苦笑混じりに話してくれた。
こちらへ来てそろそろ2週間がたとうとしていた。
私はこちらの言葉にも慣れ、念話を使わなくても話す事が出来るようになっていた。
言葉の壁が無くなると、以前から実行しようとしていた事をやる為に動き出す事にした。
いつものように朝食が終わり、今はこちらの言葉を書けるように勉強していたその日、メイランさんにお願い事をしていた。
「私! やりたい事があるんです。」
突然の私の言葉にメイランさんは驚く事もなく穏やかに話しかけてくる。
「どのような事でございましょう? ルドガー様からも彩奈様のよいように。と申し付けられておりますので、王宮を出る事以外でしたら承れますよ。」
やっぱり王宮を出る事は出来ないんだ。
まぁね、わかってましたよ?
ルドガーがいつも言ってたもの。
最近、間者が多くなってきてるって。
あ!間者って言うのはまぁ、所謂密偵みたいなもの? 色々と探っているらしい。
ヴィラハルドの事じゃなく、私の事を。
そのおかげで王宮は歩けても、未だ王宮の外に出た事が無かったりする。
「出るのがダメなのはわかってるもの。 そうじゃなくて、私、料理がしたいです!!」
「料理・・ですか? こちらのお食事がお口に合いませんでしたか?」
そうだよね。
料理がしたいって言っんだから、そういう返事がくると思ったんです。
「いいえ。食事はとても美味しいです。 でも、塩味とか塩味とか・・ちょっと飽き気味かな・・って。」
今までの食事は勿論美味しい。
パンもふわふわのもちもちだし、野菜も新鮮。
なにより、お米があったのが嬉しい。
こちらの世界では主食がパンなのだが、時々ご飯も出る。 だけど、輸入物なのでそういつも食べられるわけではない。
それでもご飯が出た時は嬉しかったのだ。
だから、思った。 ご飯があるなら定食にして食べたい・・と。
ご飯が出た時の食事の中身は、野菜と魚をドレッシングで和えたカルパッチョ風みたいな物、そして鳥っぽい肉の塩焼きだった。
ご飯に洋風のおかず。
ハンバーグならともかく、ご飯はやっぱり和風の物と一緒に食べたい。
味噌と醤油はあるのに、ご飯の時には出て来ないのだ。
「簡単な物でいいので作る事って出来ませんか?」
必死にメイランさんへ詰め寄る私。
その様子に軽く笑みを浮かべたメイランさんは私に頷くと、「調理場へご案内致します。」そう言った。
やったー!
これで念願の定食が食べられる!!
言葉が通じるようになって、そろそろ動き出します。
何だか書き方も違ってるような?
お気に入りありがとうございます!




