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異世界神話奇譚 〜白虎の王様〜  作者: 下弦の月
稀人の書
16/58

引き続き言葉の勉強中です。


白虎が神の使いなのは聞いた事がある。

元の世界でも、かなり昔に"朱雀・青龍・玄武・白虎"がいたとかいなかったとか。

あれって平安とかの時代だったっけ?

そんなような話が昔からあったしここは異世界。

実際にルドガーっていう本物もいるんだからなんとなく納得した。


(そう言えば、私のいた所でも白虎は神からの使いとか言われてました。)


メイランさんに元の世界の事を話すと、眼を輝かせて王がどれだけすごいのかを話し始めた。


〔こちらの世界だけではなく、彩奈様の世界でも白虎は特別なんですね! さすがは我が王! やはり、獣人国は神に近い国なのですわ!! 歴代の稀人様もこのヴィラハルドに一番多く降臨なさっておいでですので!〕


ヴィラハルドは獣人の国だが、街には獣人も普通の人も混在している。

だがこの国以外は獣人が少なく、昔は一部の国で迫害もあったそうだ。

獣人というだけで職にも付けず、住む所も町から離れた所に追いやられる。

暫くはそんな時代が続いたのだが、稀人が三代続いてヴィラハルドに降り立ち、しかも三代目の稀人が獣人に対する迫害を知り心を痛め涙を流した。

その涙を流した日、迫害のあった国では奇妙な事がおこる。

雨も降っていないのに川が氾濫し、大洪水がおこったのだ。

そしてそれは、迫害の行われた町や村が集中的に襲われた。

それ以来、獣人に対する迫害は一切無くなった。 それどころか、三代続けてヴィラハルドに稀人が降り立った為ヴィラハルドは神に一番近い国と呼ばれるようになった。

それは稀人が続いて一つの国に降り立つ事がそれまで一度も無かったからで、そしてそれ以降も続いて稀人が降り立った事が無いからだった。


(そう言えば私の前はオルライドだったっけ。)


〔獣人が産まれるのは獣人の女からだけではありません。 人と人の間にも稀に獣人の子供が産まれる場合があります。 迫害があった時代、人との間に獣人が産まれた場合その子供は山に捨てられるかヴィラハルドに置き去りにされるかのどちらかでした。 でも今は獣人の子供が産まれると神に近い子供が産まれたと大事にされるのです。〕


親が子供を捨てていたという現実に少なからず衝撃を受ける。

子供は産まれてくる場所を自分で決められるわけじゃないのに。


( そんな時代があったなんて・・。 でも、良かった、今は大事にされてるんですね。)


〔はい。今は差別も迫害もありません。 これも稀人様のおかげなんです。 あ、すみません長くなってしまいましたね。 そろそろ勉強を再開しましょうか。〕


(はい。)


まだまだ知らないこの世界。

言葉を勉強するのは勿論、過去や色々な歴史などこの世界の事ももっと勉強しなければ、と思う。


元の世界にいた時は勉強なんか大嫌いだったけど、今の私はこの世界の言葉と昔の事を勉強して知っていく事に嬉しさを感じる。

それは、この世界で自分が出来る事がたくさんある事を実感出来るからだ。


それからは、ルドガーの政務が終わり夜の食事をルドガーと一緒にするまで言葉を勉強した。


ーーーーーーーーーーーー


「こんにちは。 ミディア・シューリンと申します。」


翌日、朝食後にやってきたのはミディアというメイランさんの娘さんだった。


メイランさんに似てグレーの髪に薄茶の瞳をしている。 髪は肩までの長さでその半分は上げて纏めている。 下ろした髪はサラサラで光を浴びて銀色にも見える。 二重まぶたに少し垂れた目尻はメイランさんよりマイクスさんに似ていた。


ミディアさんはすでに結婚していて二人の子供もいるらしい。

結婚前は街にある学校で先生を勤めていたらしく、今は時々近くの子供に勉強を教えていると言う。


〔お母様からお聞きしましたわ。 稀人様はこのお部屋からお出になってないそうですってね。〕


確かに彩奈はこの部屋からでた事はない。

それはルドガーから言われている事だったが、すでに私がヴィラハルドにいる事は知らされているはず。

街に出て行くことは叶わなくても、部屋の中だけで過ごさなくてもいいような気がする。


(メイランさん、この部屋から出る事は出来ますか?)


せめてどこでもいいから散歩くらいしたい。 そう思いメイランさんに聞いてみる。


〔ルドガー様にお聞きしないといけませんが、庭園くらいなら・・〕


庭園があると聞いて、早速ルドガーにお願いしようと決める。

忙しいだろうルドガーだが、お昼や夜の食事の時は時間を何とか空けて一緒にとっていたから今日もお昼にはこの部屋に来るはずなのだ。


いつも、食事が終わるとすぐにウェインが"忙しいんだからのんびり食事してる場合じゃないだろ!"とルドガーを呼びにくる。

メイランさんに聞いてもルドガーは忙しいらしく本当だと食事をしにこちらへ来る時間も無いほどらしい。


けれど、ルドガーは必ず食事を一緒に食べる。 それは、こちらに来て間もない私を気遣ってくれているのだ。

実際、ルドガーがいない時は私一人で食事をしている。

元の世界で家族と食事をしていた私にとって、一人で食べるご飯は何だか美味しく感じない。 でも、ルドガーと話をしながら食べるご飯はとても美味しく感じるのだ。

ルドガーにその事を少し話しただけだった。

その時、朝は朝議の為無理だが、昼と夜は一緒に食事をしようと約束していた。

そして、その約束が破られた事はない。


勉強がひと段落してお昼になり今日もルドガーと食事をしていた。そして食事が終わりかけた頃、ルドガーに庭園へ行きたい事を話す。


(この部屋にいてばかりだと身体がなまっちゃうんだよね。 散歩くらいでいいから・・ダメかなぁ?)


ルドガーの背が高いせいで食事の為座っていてもなんとなく上目遣いになってしまう。


〔!・・っ、・・ああ庭園くらいなら構わない。 ただしあまり長い時間は困る。 庭園も人が出入りしないわけでもないのだから。〕

とりあえず許可が出たので、早速食事後に行く事にする。


でも、話してた時にルドガーの顔が赤いのはなんでだったんだろう?



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