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異世界神話奇譚 〜白虎の王様〜  作者: 下弦の月
稀人の書
12/58

やっぱりお風呂が好きです。

翌日。

扉がトントンと叩かれ、その音で目が覚めた。

昨日案内された部屋は、いくつかある客室の一つで、それがそのまま彩奈の部屋になっている。 メイランさん達と話していた部屋は少し広めの応接室で、その隣に寝室がある。 ルドガーから各国に私の事を伝えたと聞き、この部屋に私がいる事が公になればこの国の貴族達も騒がしくなるだろうから・・と、王宮の人達には箝口令がしかれた。


そして、暫く私の側にはメイランさんが侍女の代わりとしてつくことになった。

王宮には何人もの侍女がいるのだが、私の側につけても高位貴族から強引に私と会えるよう話をされると、普通の侍女では断ることが出来ない。

その点、メイランさんは貴族の一員でもあるし神官の位も持っている為、いくら高位貴族でもどうしようもないのだ。


そんな話を遅くまでしていると、途中で欠伸が出てしまった私を見て今日はここまで。と、メイランさんにそのまま寝室へ案内された。

異世界に来たり、虎に会ったりと大変な一日を経験した私はベッドに入るなりすぐ眠りについてしまっていた。


扉の音に目が覚めていても、暫くは昨日の事を思い出してボーッとしていたが、外からメイランさんの声が聞こえ慌てて起きていることを知らせる。


メイランさんが扉を開いて入ってくると同時に美味しそうな匂いがしていた。 その匂いにつられたのか、お腹がぐぅと鳴る。 いつもは朝食を食べないんだけど・・と思い部屋を見ると朝にしてはやけに光が眩しい事に気づいた。


(あの、今何時くらいなんでしょう?)

どうやら朝は過ぎているようだ、と思いながら時間を聞く。

〔今は、フュン.ド程ですね。 朝食の時間は終わってしまいましたが、彩奈様の分は作ってもらいましたのでお食べ下さいませ。〕


聞き慣れない言葉にこちらでは時間の数え方も違うのだろうと推測する。

(あの、こちらでは時間の数え方はどうなっているのでしょう?)

ここには時計が無いのだが、どうやって時間を知るのだろうと思う。

〔こちらは一日が12に分かれています。 神官が真夜中に鐘を鳴らすのですが、それを0として、順にアイン、ツヴァイク、ドライ、フィーア、フュン、ゼクス、ズィーベン、アバト、ノイン、ツェーン、エルフ、ツヴェルとなります。 今はフュン.ドなので、フュンとゼクスの間ですね。〕


元の世界では一日が24時間だったが、こちらの世界では時間が半分という事になり、フュン.ドは11時くらいなんだろう。

そういえば、ツヴァイクやフィーアという言葉は何となく聞いた事がある気がする。

兄が大学でとっていたドイツ語の数字がそんな数え方だったのをうっすらと思い出していた。


違う世界なのに、同じような響きの言葉がある事に少し安堵する。


メイランさんの持ってきた食事をベッドの側にあるテーブルでとりながら改めて部屋を観察する。

寝室は良く見ればベッドに薄いカーテンのような物がついていた。 元の世界で見た事のあるお姫様ベッドで寝ていた事を知ってもっとよく見てから寝るんだったと、少し後悔してしまう。 ベッドの側には大きな窓があるが、今は分厚いカーテンで閉じられている。 それでも隙間から漏れ出る光に遮光用では無いのだと気づく。 恐らく私がいる部屋を知られないようにするのが目的なのだろう。

そして、部屋全体は柔らかな木目調で淡いベージュのような色をしていた。 昨日いた応接室のような所も同じような色だが、テーブルなどが焦げ茶色をしていた為これほど明るくは感じなかった。 寝室のベッドが白っぽいので、恐らくそのせいなんだろう。


食事は昨日も思ったが素材の味を生かした物が多かった。

味付けは何故か塩味がほとんどで、唯一サラダのような物にドレッシングらしきものがかかっているくらい。 オムレツに似た感じの中には具が入っていたが、やっぱり塩で味付けした物だった。 パンは少し固めだが何も付けるものが無かったのでそのまま食べる。 こちらの食事はまだこれで2回目なのだが、これが標準なんだろうか?と考えてしまう。


だが、こちらに来てまだ今日で二日しかたっていないためもう少し様子をみようと思った。


それに今日はカルナックが今までこちらに来た人の書を持ってきてくれるはずなので、とりあえずそちらを優先しなければならない。


食事を終えた私に、メイランさんがお風呂はどうします?と聞いて来た。 昨日はそれどころでは無かったのでお風呂の事までは聞かなかったが、お風呂へ入れるなら入りたい。

外国の人から見て、とかく日本人はお風呂が好きらしいと評されるように彩奈も相当な風呂好きだった。


(是非!)とメイランさんに頼み、お風呂を用意してもらう。

メイランさんに少し待つよう言われ待っていると、すぐに用意が出来た事を教えられた。

寝室から出て応接室に行き、寝室の扉がある反対へと案内される。

どうやらこの客室は応接室、寝室、お風呂が

セットになっているようだった。


お風呂についた私の手伝いをするというメイランさんに頑なに断りを入れ、一人で入っていく。 シャワーは無いが大きめのバスタブの横に少し広めの場所があり、どうやらそこで身体を洗うようだった。 ボディソープは無いが固形の石鹸みたいな物を見つけ身体を洗い軽く流す。 そしてすぐにお湯のたっぷり溜まったバスタブへ身を沈めた。

一日ぶりのお風呂にほうっとため息が漏れる。

長くつかっていたかったがメイランさんを待たせているので渋々お風呂から上がった。

タオルか何か無いのだろうか、と辺りを見回していると大きめの布を持ったメイランさんが入ってきて断る間もなく身体を拭かれてしまう。


そして、こちらの服をあっという間に着せられ、応接室に座らされた。






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