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異世界神話奇譚 〜白虎の王様〜  作者: 下弦の月
幕間
11/58

暗闇



ここは地下都市バルサの主宮。

バルサの主であるオルテン・シュナイ・バルサが、ある書状を読んでいた。


《どうやら獣人国ヴィラハルドに神に愛された者が出現したらしい。》

バルサの主であるオルテンの言葉に内大臣であるソルダンが目を見開く。

《またもや地上への出現なのですか!神は我々地下人を何とお思いか! これでまた地上との差が増すばかりではないですか!》


この世界に存在する唯一最古の書では、世界は一万年以上昔に地下から人々が地上に上がり、国を形成して始まったとされている。 そして世界に危機が訪れると同時に、別の世界から稀人がこちらの世界に飛ばされてきた。 その者が神域で過ごすことにより世界が安定されていく事から稀人は"神に愛された者"と呼ばれるようになった。


この世界には地上に九つ、地下に一つ国が存在するのだが、今まで稀人が出現したのはどれも地上ばかりだった。

世界の危機が訪れると、神官が各国に対して稀人出現の報を知らせる。


だが、前回もこの地下都市バルサにはその報は届かず、そして今回も報は届いていなかった。 それは、今までの確率から出現は地上のみと断定されていたからである。


世界の危機が訪れると勿論地下都市にもかなりの被害がでる。 地震や地割れといったものは、地下に住む者にとって地上より命の危機が高くなるのだ。 稀人出現はどの国にとっても重要な事柄だ。 世界を安寧に導くと同時に出現した国には繁栄がもたらされる。


そして、その稀人はこの地下都市には一度も出現していない。

初めはそんなに多くない人数から始まったとされている地下都市が、数千年経ち大都市になり国の名称がもうすぐ与えられるはずだった。 だが、地震・地割れが頻発する数年前よりその人口は徐々に減っていき国への格上げは無くなり、そして稀人の出現が一度も無い都市に人々は疑念をいだきはじめた。


曰く、【地下都市バルサは神に見放された地、それは代々ここを収める主が原因である。】と。


そして、今回も稀人は地上に現れた。

その事にとうとうバルサの主であるオルテンは衝撃を隠しきれないでいた。


《またも神は地上を選んだ! これは我々地下人を拒んだも同然の所業。 主よ!今度こそご決断を!!》

内大臣であるソルダンの言にオルテンは

《神が選んだのだ。 我々にはどうしようもできまい。 早まった真似をするなよ、ソルダン》


【主は動かぬのか! 我々地下人こそがこの世界の頂点に立つべき者だというのに!

・・・やはり私が動くか。】

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