警官さん
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ゲートにたどり着くと、英国騎士団の要員であろう、いや、要員である複数の人たちは皆がゲートを潜っていく。その光景は何だか妙なものだった。
セラフィもゲートを潜り抜けると次は辰巳の番だ。深呼吸をすると、そのまま入っていく。他の面々はもう既にどこかへ行ってしまっていて、近くにいるのはセラフィくらいだった。
そして――
ビビビビ、とセンサーが高々と唸りを上げた。
「へ・・・・・・?」
すぐさま近くにあった事務室から三人ほどの屈強な警官が走って来た。
呆然とする辰巳、セラフィは珍しく、慌ただしい行動を見せて、
「すまん、一応本部には言っていたのだが、貴様にこれを渡すのを忘れていた」
取り出したのはコインほどの大きさがある物だった。どうやら臨時パス的な物らしい。
「ちょ、おいセラフィ!? どうしてくれちゃってんの!? 掴まないで、俺怪しいものじゃ――」
早々に駆け寄ってきた屈強な(辰巳は実際、日本とは格が違うなー、と関心していた)警官に両腕を掴まれ、余ったもう一人の警官によってガンを飛ばされていた。最後はいらないんじゃない? と思ってしまうかもしれないが、まあこれがイギリス流だと思っていただければ有難い。
ちなみに、セラフィの姿は見えなかった。
そのまま辰巳は事務室に連行され、英語での尋問を受けることになった。さすがに英語を習っているからと言って、分かるわけではない。たまーに聞き慣れている単語が耳にはいるが、それ以外は宇宙語くらいに訳が分からなかった。
しばらくして、事務室のドアが開かれた。
そこにいたのは一人の少女――セラフィだ。表情は変わりはしないものの、微かに安堵を味あわせる感じがあった。
そんなセラフィを見て、辰巳は、
「おおお! セラフィ来てくれたのか? 俺もうダメかと思った。マジで。もうどこかの警察が来て逮捕されるかと思った。ありがとー」
元気を取り戻した。
セラフィはそんな辰巳は気にせずに、必要事項だけ、プログラム通りに動くロボのように言う。
「まあな、今回は私の責任なので、謝らせていただこう。すまなかった」
軽く頭を下げた。
その後、セラフィは屈強な警官に事情を説明し、納得を得たところで事務室を出た。
今は少し先にセラフィが歩いていると言う構図でイギリス某所に存在する空港を出ようとしていた。
「なあなあ、俺たちって付き合ってるじゃん? やっぱそれってさっきのとか関係あるの?」
その質問に、セラフィはキョトンとした顔つきになった。
「何を言っているんだ貴様は、そんなの嘘に決まっているだろう。何だ、まだ気づかなかったのか。馬の耳に念仏だな」
使いどころは間違っているが 、そんなの、今はどうでもいい。この言葉に辰巳は落胆する。
「え? 嘘ってそんな。じゃあ、あの告白は嘘だって言うのか?」
目が死んでいる。
虚ろな状態だ。
「さっきも言っただろ、嘘だ」
その言葉にもう自我が崩壊した辰巳は野生の頃の本能に目覚める。
「うそだああああああッ!!」
スーパーサ○ヤ人が貴様は! という驚愕のセラフィの突っ込みを無視して、辰巳は黄金色のオーラを纏った。
「ウヒヒヒヒ、犯してやる――」
人間ではないようだ。
そんな辰巳を見たセラフィは臨戦態勢に入る。
服は私服だが、構えはしっかりとしていた。左足を少し、後ろへ引き、相手に肩を見せるような体勢になる。腕は前へとつき出す。
瞬間、辰巳は目にも見えないほどの速度に乗り、セラフィの背後を取る。しかし――
「甘いわ――ッ!!」
それを見極めたセラフィは、瞬時に回し蹴りを辰巳の顔面へとヒットさせた。
だが――ここで誤算があった。辰巳は先程、野生の頃の本能に目覚める、と書いたが、あくまで冷静な人間の判断能力は残っていた。それを蹴られた瞬間に発動させたのだ。これだけではない。ここで、セラフィの服装について説明しよう。上はピンクのTシャツに上からジーンズ生地を使ったジャケットを羽織っている。さらに上から防寒用のジャンパーを着ている。が、下はスカート一つ。その下は――
見えたのだ。
――漆黒色のパンティーが。
スカートは回し蹴りをすることによって、遠心力が働いてしまう。したがって、捲れてしまうのだ、スカートが。
だが、そんなことには気がついていない。辰巳を蹴り終え、ご満悦の表情だったからだろう。
辰巳はいい気分を一瞬だけ味わえたのだが、すぐに悲惨な運命を辿った。
空中に蹴り飛ばされた辰巳はコンマ数秒という時間を空中で過ごし、後、落下する。
ゴツ、という鈍い音が辰巳のからだ全身を襲った。
「痛ッ!?」
その衝撃で辰巳は正常の思考を取り戻した。
後頭部を手で擦りながら、起き上がると、スッキリした表情のセラフィがいた。
「あれ? 俺・・・・・・、今まで何やってたの?」
どうやらさっきまでの記憶が飛んでいるらしい。
「ほらさっさと行くぞ」
すぐに辰巳に背を向け、出口へと向かった。
辰巳も、すぐに後を追うように着いていく。
――そういえば。
辰巳は疑問が湧く。
――何やってたの?
セラフィは質問に答えてくれなかった為、分からずじまいで先を急ぐことになった。




