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転校生

誤字・脱字がありましたら指摘をお願いします。


あの事件から十日後、その事をセラフィは上の人に言った。

 まあ別に大した事じゃあないさ、と適当に振り払われたそうだ。

 そして教授だが、教授はまたあの隠し部屋に引きこもり、何やら機器のメンテナンスをしているそうだ。この前の戦闘で(本人は参加していないが、戦いの余波で)、所々に修理が必要な箇所が出来上がったらしい。

 で、だ。肝心の主人公である辰巳はセラフィと共に帰国した。セラフィは付き添いで嫌々ながらの来日だった。

 帰国した時の時刻は午後六時。一旦イギリスにて休息を取ったため、多少ながら遅くなった。

 それで、本人曰く、『でさあ、俺って今まで何やってたの?』らしい。正確には一時間近くの間何をしていたかだが、まあ大した変わりはない。

 話は戻り、帰国後の事だった。

 辰巳は空港にてセラフィにタクシーを手配してもらい、それに乗って帰れ、とセラフィに言われた。

 まあこのくらいならと言うことで、零番ゲート入り口にて別れた。

 何だか寂しい気もするが、危険と離れられる辰巳にとってはこのくらいはまだ感情をコントロール出来る範囲内だった。

 それで、この後が大変だった。

 空港の外で待っているというタクシーを見つけるべく、空港から出ようとした時だった。


 ふと、辰巳の肩に手がポンと置かれた。


 何だ? と面倒に振り返る辰巳の考えは、セラフィから声をかけられる、また屈強な(イギリスの)警官さんに取り押さえられるというニ択のみだった。確立的には前者のほうかと思ったが、いざ振り返ってみると――違かった。もちろん、それは後者の方でもない――いや、近いかもしれない。

 そこにいたのは日本の警官だった。

 すぐに名前と住所を話すと警官は無線機で連絡を取った。

 俺、何かしたっけ? と呆然としている辰巳だったが、暫時考えていると、思い当たる府がたった一つだけあった。

 そう――


 母さんに何も言わずに旅立ってしまった事を。


 冷や汗が全身を濡らした。嫌な感じだった。

 辰巳は思わず警官に尋ねた。

「もしかして俺――」

「行方不明の少年を確保しました。・・・・・・、了解、待機してお待ちしております」

 やっぱり――ッ!! と心の中で絶叫する辰巳。吹き出す冷や汗はよりいっそう多くなった。

 後、辰巳は空港の事務室にて警官とその他職員さんとの挟み撃ちで縮こまっていた。

「それで君、私が聞くのは何だが、今までどこに行っていたんだい?」

 それ日辰巳はどこでしょうねえ、と少し緊張ぎみに言った。

 警官はまったく、とため息を漏らし、会話は途切れた。

 しばらくし、事務室のドアが砲弾のごとく開け放たれた。

「たっちゃん!!」

 そこにいたのは辰巳の母だった。目には涙が浮かんでいる。

「バカ!」

 すぐに辰巳の元へと駆け寄ると、パシン、と一発平手打ちを頬に放った。場が騒然とする。

「どれだけ心配してたと思っているのよ!! どこ行ってたの!?」

 その言葉に正直には答えられなかった。

 辰巳は今、心配してもらって嬉しいが、答えられなかった。まさかイギリス行っていました、なんて言えるわけがない。

「プチ家出してました」

 頬を掻きながら辰巳は言った。

「本っ――当に心配したんだから。もうこんな事しないでよ。母さん買い行かせて連れていかれたんだと思って悔やんでたんだから」

 いや、殆ど当たってる、と辰巳は母の腕の中で呆れながらに思った。

 すべての原因であるセラフィはここにはいない。まして言った所で母は何も覚えていないだろう。

「お母さん、会えて良かったですね」

 隣から声をかけてきたのは先程、辰巳と喋っていた警官だった。満面の笑みを辰巳の母に向けると、

「ええ。ご迷惑をお掛けしました。ほらアンタも頭下げんだよ!」

 イテ、と腕を机の角にぶつけながらも、強引に頭を下げられた。

「もうこの子にはちゃんと言い聞かせておきますので――」

 いえいえ仕事ですからと言い、警官はこの部屋を出ていった。気をきかせてくれたのだろう。

「本当にどこ行ってたの? 正直に言ってごらん」

 その問いに辰巳は言葉を濁らせた。

「言いたくないの? 悪いことはしてないでしょうね。ならいいわ、本当に心配したんだから」

 辰巳の母はもう一度見つかった事に感激を覚えながら、目尻に浮かべた液体を指で拭った。

「もう・・・・・・帰ろっか。夕飯作ってあげるから」

 それに、辰巳はコクリと頷いた。

 そしてすぐに辰巳とその母は事務室を出た。

 外にいた警官さんに挨拶を交わすとすぐにその場を後にした。


 それから数日後の事だった。後日談とも言えるかもしれない。

 辰巳は朝のニュースをちらりと見ると学校へと足を運んだ。

 そのニュースの内容は――

『数日で急成長を遂げている株式会社「」は、とうとう推定年間売上額数十億円という急成長を見せています。今回はその「」の社長であり創設者であるキッシム=エライダムさんにインタビューをいただきました。キッシムさん』

『我々「」は難民や貧困層の人々を助ける事を目標に、日々働いています』

 だそうです、というアナウンサーの声が響き、中継が終わった。

 どうやらキッシムは経済による救済への一歩を無事に成し遂げたようだった。

 そして辰巳は学校にて大変な――災いともいえる目に遭った。

 教師陣からの質疑が行われたのだ。

 まあそんなのは適当に誤魔化し、教室へと向かった。また入ると入ったで大変だった。葛野にいろいろと聞かれたのだ。ネチネチネチ聞かれた。その受け答えをしている時の辰巳の表情は笑い物だった。

 そして、だ。

 授業始まった。いつもと変わりない日々、それが辰巳には微笑ましく思った。

 担任である磯部が教壇に教科書類の資料を広げ、授業を始めようとした時だった。唐突に磯部が話始めた。もちろん、授業のことについてではない。

「今日は皆に紹介したい人がいる」

 教壇に両手をつき、ハキハキとした声で言った。

 場が騒がしくなる。

「転校生だ――」

 その言葉を聞いた瞬間、後ろの葛野が『新たなフラグ来た――!!』と叫んでいた。

 そして、磯部の合図と共に、教室のスライド式ドアが静かに開かれた。

「転校生を紹介する――」

 そこにいたのは――


「セラフィーナ=ヴァルキリーです」



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