侵略
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セラフィは考えるのを止め、たどり着いた結論を辰巳、教授の二名に説明する。
「まずは多少の安全を確保した――と思われる。だが、これで安心、というわけではない。あくまでこれは段階でいうと一、だ。まだ他にもやることはたくさんある。まずは――」
セラフィは教授を呼んだ。
近くに寄る教授に、セラフィはパソコンで英国騎士団内の防犯カメラすべてにハッキングして、何が起こっているのかという情報収集を頼んだ。
次に、辰巳への指示だった。
「そうだな、貴様は私たちの誰かに用を出されるまで隅でじっとしていろ」
それに、辰巳は了承する。
さすがに辰巳も反論はしなかった。今自分に出きることなど他かが知れている。なら、じっとして、二人の指示が出るまで待っていた方が得策だ、と勘づいたのだろう。
「そうか。なら助かる」
セラフィはすぐに作業に入った。
セラフィは何の作業をしているかというと、教授が近くで作業している少し後ろで、大きな、縦横八十センチメートルほどの紙を広げて、赤ペンなどでマークを付けていた。
「何やってんだ?」
辰巳は隅っこにいながらも、そこから見える情報だけで、セラフィに質問した。
「これか。これは逃走ルート、と言うと、聞こえが悪いから脱出ルートとでも言っておこう。今教授に各防犯カメラにハッキングをしてもらった。それに映っていた映像を元に、ルートを立てているのだ」
さらに、教授からの新情報が入り、新たなマークが付けられた。
「そうなのか。で、なんなんだ、そのマークは」
しつこい! といった表情を取りながらも、セラフィは質問に答えた。
「これは敵らしき人物の居場所だ」
簡潔に言うと、鋭い眼光で辰巳を睨み付け、『もう話しかけるな』という合図を送った。
敵らしき人物。
敵――英国騎士団唯一の敵。暗黒組織。しかし、なぜこのタイミングで出てきたのだろうか。それが疑問だった。どこから出てきた、と聞かれれば、簡単だった。それぐらい、セラフィでさえ気付いていた。それは、元々英国騎士団に入っていた要員たちだった。それに気が付いたのは今さっき。この防犯カメラに映っている人物たちが次々に老騎士会を行っていた会場へ連行されていた。つまり、この連行している側が暗黒組織の要員。だがやはり、分からなかった。今さっきも言ったがなぜこのタイミングで出てきたか、ということだ。今の今までいくらでも英国騎士団を壊滅させるチャンスがあったろうに、なぜ、この今日という日を狙って――いや、本当はいつでもよかったのかもしれない。なぜならその連行している側のほとんどは英国騎士団内で『騎士』の称号を持つ猛者ばかりだ本気を出せば難なく、とまではいかないが、潰すことは出来るだろう。ましてや、今日が
特別な日というわけでもない。強いて言うなら今日がセラフィの誕生日ということぐらいだ。
「分からんな、なぜ今動く理由が、根拠がまったく見当がつかん。一体暗黒組織はなにをしたいんだ」
言っていると、教授から慌ただしく何かを言った。
「セラフィ! キッシム先生が動いた!!」
パソコンに釘付けであったはずの教授がバッ! とこちらに振り返った。それほどまでに、恐れていた。事。
セラフィは唖然とする。今まで行動していないで身動きしなかったキッシム=エライダムが動き出した。
それは、セラフィにとっては、恩師が英国騎士団の敵対組織である暗黒組織のリーダーと断定つける証拠でもあった。
これから、暗黒組織の侵略が始まる。
今回は短いです。




