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秋色のもみじ  作者: 桜華
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【第三章】



【第三章】

「へー、紅輝が助けに行ったんだー。急に出てくから何事かと思ったよ。」

「ほんと悪かった!!」


結局あの後、瑞樹を忘れて沖田夕紀と帰ってしまった。

反省して瑞樹に電話したら案外あっさり許してくれた。

理由を聞いても答えてくれなかったが。

「で??何か進展あったの??」

「は??」

唐突な質問を飲み込めないままだった。

「沖田さんとなんかあったかって」

「何もないよ...あ!でも下の名前で呼ばれることになった。」

「紅輝から呼んでっていったの??」


―まさか。ありえない。


確か帰ってる最中に沖田夕紀が急に止まって、

「阪田くん、あたし思ったんだけど。」

といった。

当然気になるわけで聞き返したら、

「あたし阪田くんだけ名字で呼んでる。」

「そうだね。」

俺は何を言い出すかと思っていたから急に気が抜けた。

また歩き出すと、ちこちこ着いてきた。

「下の名前で呼んでいい??」

何を今さら…。

ぶっちゃけ激しくどうでもよかった。

「好きにしなよ」

「…わかった。」


コイツ変なとこで気ぃ小せー。

あんなムチャしたくせに…

沖田夕紀は静かに笑っていた。



「紅輝…??」

「あっ!わりぃ…」

ぼーっとしてた俺は瑞樹の声でハッと我にかえった。

「そういやー、沖田夕紀がなんか敬語使わなくなった気がするんだけど。」

「あっそれ俺が言ったんだ。タメ語でいーよーって。ヤだった??」

「いや全然…」

「んじゃーそろそろ切るね。じゃーね」

「あぁ…」



もう女には近づかないって決めたのに。

沖田夕紀がどんどん近くなる。

また誰かを失うのが怖い…。


「紅輝〜。ご飯〜」

俺は部屋の電気を消した。

そして真っ暗な部屋に悩みを残したまま静かに戸をしめた。



それから俺はしばらく心にぽっかり穴が開いたようにぼーっと過ごした。


気持ちは誰かに伝えなければなかったことになるのだろうか。

誰にも伝えないままだったら何も変わらないですんでいたのだろうか。

真っ黒な空を見上げても星なんか見えない。

俺はどうしたいんだろう。

沖田夕紀と仲良くなれるほど過ちは小さくない。

償えるほど傷は浅くない。

誰か助けてー。



「紅輝〜誰か呼んでる。」

「あ??」

俺を呼んでるのは見知らない女子だった。

「コレっっ。読んでくださいっっ」

渡されたのは封筒だった。

そしてその女子は走って行ってしまった。

「へ〜。まだラブレターなんてもらうんだ」

「ね〜。もう高2の秋なのに。」

瑞樹と葉太の顔が教室の入り口から半分出てる。

「紅輝、それ貸して。」

こういう手紙をもらったときはいつも瑞樹と葉太に渡している。

瑞樹や葉太がもらったときは俺もみる。


「やっぱ紅輝はモテるねえ」

「葉太ほどじゃないよ」

葉太や瑞樹の方がモテるはずだ。

「てか俺も言える立場じゃねえけどこういうのってみない方がいいんじゃない?」

「確かに紅輝が言える立場じゃないよね」

は?“確かに”の位置間違ってるだろ!

「でもすごいよねえ。俺は告白なんて絶対できないなあ。」

「ホント。ここまでストレートに書かれると読む方も照れちゃう。」

…??

3人の中に一瞬の沈黙が流れた。

「沖田夕紀!?」

「あ!ごめん!見ちゃだめだった?」

「今日遅かったね。どうしたの??」

瑞樹は何事もなかったかのように冷静で沖田夕紀に返事をする。

微妙に話が噛み合っていないが。

「…寝坊しちゃった。」

「へえ。」

沖田夕紀のその言い方になにか違和感を感じた。

どこかいつもと違うような…そんな何かが引っかかった。


「紅輝くん…??」

「あっ…」

ハッと気がついた。

「どうしたの?紅輝最近ボーっとしてるね」

「…疲れてんのかも。今日帰るわ」

「昼ご飯は?」

「いいや。」

「あ、日曜ね。」

「おー」



昼前の家には静けさが広がっている。

当たり前か。誰もいないし。

「はあ…。」

ため息がこぼれる。

ベッドになだれ込むと自然と眠ってしまった。


夢を見た。

俺は深い暗闇の中にいて、走っても走っても風景が変わらない。

ドコを見ても真っ暗で、手に持っている時計の針は止まっている。

光なんて許されない。

頭の中にぐるぐる回るその言葉。



ハッと目を覚ましたら、汗をかいていた。

この時期汗をかくなんてありえない。

夢のことはうろ覚えだった。

なのに鮮明な恐怖だけが頭からはなれない。


ピーンポーン。

インターホンが部屋に響いた。

時計を見るともう15時を指していた。

どれだけの間、寝ていたんだろう。

「…はい。」

「紅輝?俺。」

「瑞樹?ちょっと待って。」

ガチャッとドアを開けると3人の姿があった。

何故かすごく安心した。

恐怖の渦はまだ抜けない。

でも、心が楽になった気がした。

「おじゃまします。」

「あたしまで来ちゃってよかったのかな?」

沖田夕紀は玄関先で戸惑っている。

「いいよ。別に。」

だってもうイヤじゃない。


―いつから?


急に頭痛が走った。

俺は痛みのあまりその場に座り込んでしまう。


「紅輝くん!?」

沖田夕紀の声がスゴく苦しかった。


俺はいつからコイツがイヤじゃなくなった?


俺はいつからこの3人がいて安心感を覚えるようになった?


わからない。


沖田夕紀が俺の中に入ってくる度、俺の中にヒビが入る。


近づくな。


これ以上…。



「紅輝??大丈夫?」


ふと目を開けると見慣れた天井だった。

瑞樹や葉太、沖田夕紀が心配そうに俺を見ている。

「部屋まで運んでくれたのか…」

「俺と瑞樹で。対処の仕方は夕紀ちゃんが教えてくれたんだ。」

「悪いな。」

「気にしないでよ。友達何だから当たり前だよ。」

「じゃあそろそろあたしたち帰るね。」

「…悪かったな。」


友達…。

沖田夕紀はいつから?

会った時から?


俺はまた睡魔に襲われて、眠ってしまった。




「紅輝…大丈夫かなあ」

「心配だね。」

「うん」

あたしたち3人はとぼとぼ歩いていた。

紅輝くんが目の前でしゃがんだ。

熱もないし、ただの疲れからくる頭痛だと思うんだけど…。

あの汗は尋常じゃない。

何かにうなされてるような…。


あたしは前を歩いている人たちにぶつかってしまった。

「あ、すみません」

顔を見上げた瞬間、一気に血の気がひいた。

「あ?…沖田!?」

「うそ!!まぢ!?」

「へえ〜??」

コイツら…。なんで…!?

「いなくなったと思ったらこんなトコにいたんだ。」

「どうりで見つからないわけだあ。」

「また来ようかなあ。まあそん時はよろしく。」

「あ…」

声が出ない。

恐怖?驚き?

あたしは自然と瑞樹くんの腕を掴んでいた。

「…あ!!ごめん。」

パッと手を離すと、瑞樹くんはニコッと笑ってくれた。

「今のガラ悪そうな人たち誰?知り合いみたいだけど…」

確かに、1人は明らかにガラ悪い。

もう1人は制服だけど死ぬほどスカート短いし、最後の1人はどうなんだろ。

タバコくわえてるくらい?

ま、良くないか。

てか堂々と犯罪!!

「ちょっとだけ、知り合い…。」

「そうなんだ…」

瑞樹くんは心配そうにしていたが、あたしはニッと笑って家に帰った。

「ありがとね。」

「ううん…」

2人の背中を見送って、門をしめた。



「ねえ瑞樹、俺思ったんだけど、あの人たちに夕紀ちゃんいじめられてたんじゃない?」

「…俺もそう思う。」




「紅輝、もう大丈夫?」

「あぁ…うん。迷惑かけたな。」

「いいよ。友達だろ??」

日曜、俺は約束通りおごらされる。

頭痛は治ったが頭のモヤモヤが抜けない。


「沖田さん遅いね。」

「まさかあの人たちに絡まれてるんじゃ…」

「あの人たち…?」

そして俺は葉太や瑞樹から一部始終を聞いた。


俺は気がついたら走っていた。

こんなこと何度目だろう。

隣には2人がいる。

友達を助けに行くのは当たり前だろう。

もう沖田夕紀だって友達。

それは変えようのない事実だってことはもうわかっている。


そして俺は沖田夕紀の姿を見つけた。


しかしそれはいつもの沖田夕紀なんかじゃない。


「いい加減しつこいんだよ!!」

路地裏、信じられない光景が広がっていた。

沖田夕紀がゴミ箱を蹴り、相手の胸ぐらを掴んで持ち上げている。

「ここはてめぇらが来る場所じゃねぇんだよ!」

そういうとその女を投げ捨てるように、地面へ落とした。

「相変わらずの腕前じゃねえか」

「戦い方はちっとも変わらないんだあ」

「相手の血は見ない。あたしらには出来ないよ。」

「ウルサイ。失せな。今すぐに、だ」

そういうと3人はいなくなってしまった。



誰が誰をいじめたって…?

そんなのウソだろ。


そして沖田夕紀はこっちに気づいた。

「見てたんだ…」

沖田夕紀の顔はどこか寂しそうで、今にも涙があふれそうだった。

「話、聞きたいな。」

瑞樹がただそれだけを優しく、でも強く言った。

そして約束していたカフェで話を始めた。

葉太が行きたい店というのはここで、どうやら葉太の彼女がバイトしていたみたいだ。

「何から聞こうか悩むけど…」

一番始めに口を開いたのは瑞樹だった。

でも俺はそんなに優しく聞けない。

「沖田夕紀は悪くない。でもあの人たちとどういう関係なのか聞きたいんだけど。」

少し口調がキツくなってしまった。

「…あの人たちとあたしは前につるんでたの。」

口を開いた沖田夕紀は今にも泣き出しそうだった。

沖田夕紀以外誰1人、しゃべらない。

周りの客の声も聞こえないくらい俺は沖田夕紀の声を探した。

「あたし…前にちぃちゃんみたいにされた時があったの。」

「え…?」

ちぃは葉太の彼女。

ってことは女子に呼び出されたってこと?

でもあんなヤツらとつるんでたら女子も絡まねぇだろ。

「中学の時、学年で結構モテてた男の子に告白されて…。しかも付き合ったなんて噂たてられちゃって。女子に呼び出されるわ、親友にその人のこと好きな子がいて絶交されちゃうわ。クラスしてきたの。」

「…かわいそう…」

瑞樹も葉太も同情している。

でも俺は納得いかない。

「バっカじゃねぇ?確かに最初に誤解されたのは気の毒だったと思うけど、高校行って噂流されたのはそれだけのコトしてたからじゃねぇの?最後に決めたのはお前自身じゃん」

俺はガタッと立ち上がって、千円札をテーブルの上におくと店を出た。



正直がっかりした。

あいつがあんなヤツらとつるんでたことも、それを黙ってたことも。

別にもういいけど。

沖田夕紀なんて初めから…。


「紅輝くん!!」


そう、初めから…。


俺を呼ぶ声はいつも大声。


「あたしっ、紅輝くんたちを騙してたわけじゃないの!」


知ってる…。

わかってる…。

でも…


「騙されたとしか思えないから」


振り返りもせず言い捨てた後、沖田夕紀の涙がこぼれたのは見なくたってわかった。

だけど、今は冷たくすることしかできない。


俺のためにも、沖田夕紀のためにも…。


「沖田さんっ…」

「瑞樹くん…」

俺は知らなかった。


瑞樹が沖田夕紀に想いを寄せていたことに。


瑞樹は夕紀の涙を見ると、背中から優しく抱きしめた。


夕紀も抵抗なんてしなかった。


「瑞樹くん…?」


「あんな冷たいヤツより俺にしときなよ。」


「え…!?」


夕紀と瑞樹の時計の針は確実に時を刻み始めた。


もしも…

世界が変わったなら

あなたを好きじゃなくなるのかな

わたしを好きだといってくれた人を

好きになれるのかな

もしも…

世界が変わっても

あなたを好きでいられる自分はいるのかな


世界が動いた…


「俺ら…コレで終わっちゃうのかな…」

外をぼんやり眺めていた葉太はぽつりと呟いた。






今回…話がいろいろと絡んできました。




感想や誤字脱字がありましたら報告よろしくお願いします!




それと、ストロボ・エッジと高校デビューにハマりすぎました(笑)


もしよかったらオススメの少女マンガがあったら教えてください。

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