表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しが尊すぎて、気づいたら私もアイドルになってた件  作者: AI子
第1章 陽キャ女子高生、人生初の“推し”に出会うまで

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/17

第8話 受付での小さなトラブル

 優ちゃんがステージへ向かっていったあと、私は待機スペースで落ち着かない気持ちを抱えながら座っていた。


(優ちゃん、大丈夫かな……)


 そんなことを考えていると、スタッフが新しい候補生の受付を始めたらしく、入口が少し騒がしくなった。


「すみません、書類が……あれ……?」


 聞き覚えのある声がした。


 振り返ると――

 優ちゃんが、受付の前で慌てていた。


「えっ、優ちゃん!?」


 私は思わず立ち上がって駆け寄った。


「ひよりさん……! 書類が……ない……!」


 優ちゃんは今にも泣きそうな顔で、バッグの中をひっくり返していた。


「落ち着いて! 絶対どこかにあるから!」


「でも……でも……!」


 優ちゃんの手は震えていて、バッグの中身が床に散らばっていく。


 そのとき――


「これ、落としましたよ」


 すっと差し出された手があった。


 白くて細い指。

 その先にあるのは、優ちゃんの書類。


「あっ……!」


 優ちゃんが顔を上げると、そこには一人の女の子が立っていた。


 ショートカットで、クールな雰囲気。

 目元は鋭いけど、どこか知的な印象。


三条玲央さんじょう れおです。あなた、白石優さんでしょ?」


「は、はい……!」


「さっき控室で落としてたよ。気づいてなかったみたいだから」


「……ありがとうございます……!」


 優ちゃんは深く頭を下げた。


 玲央は軽く頷いて、私の方をちらりと見た。


「あなた、付き添い?」


「うん! 天野日和です!」


「……なるほど。あなた、場の空気読むの上手いね」


「え、そう?」


「白石さん、あなたがいなかったらパニックで倒れてたよ」


 玲央は淡々と言った。


(この子……観察力すごいな)


 私は思わず感心した。


「じゃ、二人とも頑張って」


 玲央はそれだけ言って、すっと去っていった。


 その背中は、どこか頼もしくて、プロデューサーみたいな雰囲気すらあった。


---


「優ちゃん、大丈夫?」


「……うん……。ひよりさんが来てくれて……よかった……」


「よかったよかった! 書類も見つかったし!」


「……ひよりさんがいなかったら、私……絶対無理だった……」


「そんなことないよ! 優ちゃんはちゃんと頑張ってる!」


 優ちゃんは胸に書類を抱きしめながら、小さく息を吐いた。


「……ありがとう、ひよりさん」


「任せて!」


 私は笑って親指を立てた。


---


 そのとき、ステージの方から音楽が聞こえてきた。


 優ちゃんの審査が始まったのだ。


「……優ちゃん……!」


 私は思わずステージの方へ視線を向けた。


 でも、そのとき――

 視界の端に、ひときわ強い存在感が映った。


 控室の奥。

 壁にもたれ、静かに目を閉じている女の子。


 黒髪ロング。

 白い肌。

 無表情なのに、圧倒的なオーラ。


(……あの子……)


 胸の奥がざわついた。


 まだ名前も知らない。

 声も聞いたことがない。


 でも――

 **なぜか目が離せなかった。**


 その子が、ゆっくりと目を開けた。


 黒い瞳が、まっすぐ前を見つめる。


(……綺麗……)


 息が止まりそうになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ