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推しが尊すぎて、気づいたら私もアイドルになってた件  作者: AI子
第1章 陽キャ女子高生、人生初の“推し”に出会うまで

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第2話 距離感の達人 日和の本領発揮

 翌日の朝。

 教室に入ると、優ちゃんはすでに席に座っていた。

 昨日よりも、少しだけ背筋が伸びている気がする。


「おはよー、優ちゃん!」


 私が声をかけると、優ちゃんはびくっと肩を揺らしたあと、ゆっくりと顔を上げた。


「……おはよう、ひよりさん」


 その声はまだ小さいけど、昨日よりは確かに明るい。


(よしよし、いい感じ)


 私は心の中でガッツポーズをした。


 優ちゃんは、私が話しかけるときだけ、ほんの少し安心したような表情を見せる。

 でも、他のクラスメイトが話しかけると、途端に固まってしまう。


 ――こういうタイプ、私は何人も見てきた。


 人見知りで、警戒心が強くて、でも本当は誰かと仲良くなりたい。

 そんな子の“距離感”を見極めるのは、私の得意分野だ。


「優ちゃん、今日の授業って何だっけ?」


「えっと……現代文と、数学と……」


「うわ、数学かぁ。私、数字見ると眠くなるんだよね」


 わざと軽い話題を振ると、優ちゃんはくすっと笑った。


「……わかる、かも」


「でしょー? 数学の先生の声って、なんか子守唄っぽくない?」


「ふふ……」


 その笑顔は、昨日よりずっと柔らかかった。


(かわいい……!)


 私はまた心の中で叫んだ。

 でも、表情はあくまで自然体。


 ――深入りしすぎず、でも離れすぎず。

 この絶妙な距離感が大事なのだ。


 そんな私たちのやり取りを、近くの席の美咲が見ていた。


「ひよりー、転入生ちゃんと仲良くなってんじゃん!」


「まあねー。優ちゃん、かわいいよ」


「わかる! 守ってあげたくなるタイプ!」


 美咲はギャルだけど、根はめちゃくちゃ優しい。

 優ちゃんは少し緊張したように美咲を見たが、私が笑っているのを見て、安心したように小さく会釈した。


「よろしくね、優ちゃん! うちら、ひよりの友達だから!」


「……よろしく、お願いします」


 優ちゃんの声は小さいけど、ちゃんと届いていた。


(よし、これで優ちゃんの“安全圏”が広がった)


 私は心の中で満足する。


 ――でも、このときの私はまだ知らなかった。

 優ちゃんの“お願い”が、ただの付き添いでは終わらないことを。


 そして、私自身がそのオーディションで、

 **人生初の“推し”に出会ってしまうことも。**


---


 昼休み。

 私は優ちゃんを誘って、一緒にお弁当を食べることにした。


「ひよりさんって……その、友達多いんですね」


「んー、どうだろ? ただ話しかけられやすいだけだよ」


「……すごいです。私、そういうの……苦手で」


「苦手でもいいじゃん。無理に広げなくていいよ」


「……え?」


「優ちゃんが安心できる人が、一人でもいれば十分だよ」


 優ちゃんは目を丸くした。


「……ひよりさんって、変わってますね」


「よく言われる!」


 私は笑った。

 優ちゃんも、少しだけ笑った。


 そのときだった。


「白石さーん、これプリント!」


 クラスの男子がプリントを持ってきた。

 優ちゃんは一瞬で固まる。


(あ、これは……)


 私はすぐに間に入った。


「ありがとー! 優ちゃん、これ今日の宿題だって」


「……あ、ありがとう……ございます」


 男子は「お、おう」と照れながら去っていった。


「優ちゃん、無理しなくていいからね」


「……ひよりさんがいると、安心します」


 その言葉に、私は胸がじんわり温かくなった。


(この子、本当に繊細なんだな)


 だからこそ、守りたくなる。


 ――でも、このときの私はまだ知らなかった。


 優ちゃんの“お願い”が、私の人生を変えることになるなんて。


 そして、

 **私が人生で初めて“推したい”と思う相手に出会うことになるなんて。**


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