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昼寝していただけなのに、山が崩れた。

作者: 花竜
掲載日:2026/01/15

今日は天気が良い


空は高く

雲は少なく

風も穏やかだ


巣の近くの山の斜面に

ごろりと寝転がった


「……ふぅ」


日差しが背中に心地いい

岩肌はほんのり温かく

翼をたたむと、ちょうどいい硬さだった


「今日も ねむれ…Zzz」


そう思いながら

眠りに落ちた


平和だ


――――


どれくらい寝ていただろう


うとうとと、

意識が沈みかけた頃


無意識に

寝返りをうった


ごろ


尾が、少し動く


ガラガラ……


山肌のどこかで

石が転がる音がした


「……ん?」


半分寝たまま

片目だけ開ける


遠くの斜面に

小さな村が見えた


何やら

人影が慌ただしく動いている


「……まあ、気のせいか」


眠気の方が勝った


再び

目を閉じた


――――


次の瞬間。


ぐらり、と

地面が揺れた


「……?」


今度は

はっきりと揺れた


背中の下で

岩がずれる感触


パラパラ

ゴロゴロ


斜面の下から

悲鳴のような声が聞こえてくる


「災厄竜が動いたぞ!!」

「目を覚ました!!」


「ふぁ〜」


上半身を起こした


その拍子に

翼が少し開く


――ドン


山肌の一部が

崩れ落ちた


村の方が

一気に騒がしくなる


「竜を討て!!」

「今だ!!」


……え?


寝ぼけ眼のまま

目をこする


「いや、誰?」


状況を理解しようとした瞬間

槍が一本、飛んできた


「危なっ!?」


反射的に翼を広げ

空へと跳び上がる


下では

人間たちが武器を構えて叫んでいる


「災厄竜だーー!!」

「昼寝竜だーー!!」


……昼寝竜?


空の上で

首をかしげた


(寝てただけなんだがな……)


――――


その日から

また新しい異名が増えたらしい


《山を崩す竜》

《眠るだけで災害を起こすもの》

《昼寝災厄竜》


……盛りすぎじゃないか?


ただ、

天気が良かったから寝ただけだ


こうして、

**災厄竜《アウル=ヴァルグラディオス》**は、

他の場所で昼寝をするのだった。

(昼寝、気持ちいい)

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